本当の勇者…… かも知れない者達。
「あははははは…… 逃げるな!」
地下水路の先で地下墓地に出た俺が……
「首、首置いてけぇ!」
スケルトンにバール無双している頃…… 地上は明け方になっていた。
「光と灰と魔石と…… 俺の残機になぁれぇぇぇぇぇ!!!」
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「なあ…… 起きてるか? これって…… 夢だよな?」
「起きてるし、夢じゃねぇよ……」
「ああ、現実だ」
「わかってる事を聞くな……」
地下のせいか…… 少しじめじめした部屋の硬いベットから起き上がる俺達4人……
「くそ…… 身体いてぇ……」
「よく…… 眠れたか?」
「ぜんぜん……」
「僕は寝れたけど…… スキルのおかげで……」
「ああ、快眠だっけ?」
「うん…… 環境の変化に弱いし、スキル枠が余ったみたいだから…… 取って正解だったよ」
「くっ、俺も環境適応系スキルを取れば……」
「普通、勇者召喚で此処まで対応が酷いと思わないよな?」
「最近は勇者でも追放される系の小説とかあるから……」
「あ、それ俺も知ってる奴かも? そうか…… スキル選びの参考にするんだった! 俺の馬鹿!」
快眠スキルを取った鈴宮 栄司以外の二人は大きく頷く。
「そろそろ用意するか……」
「だな」
九重 隼の言葉に、栄司以外の村本 泰地、鉄山 丈二も起き上がる。
「しかしさぁ…… 俺達の扱い悪くね?」
昨日の内に案内されて、4人で寝た…… 窓の無い部屋を見て、泰地が呟く。
「これって…… どう考えても、軍隊とかの下っぱの部屋だよな?」
「一応…… 姫様付きの騎士団って話だから、近衛兵とか親衛隊扱いのはず…… だと思うけど……」
「そいつ等からしたら…… 俺達は勇者様のオマケの雑魚って事なんだろうよ」
「江藤が勇者で喜原が賢者って…… ギャグマンガかよ」
「言うな…… その上聖女がアレだぞ?」
「江藤くんって…… 僕よりも運動でき無かったよね?」
「どう考えても、喜原とスキルが逆なんだよ。喜原の奴、中学の時は剣道部だったし」
「キラは、その場のノリで決めるからな…… あの時は、強い魔法が使いたかったんだろうよ」
「だな。なんせ、背の高い俺ならバスケ部でモテるって、県大会常連の剣道部の推薦を蹴った男だし」
「それでレギュラーだから…… 運動神経バケモンなんだから、普通に戦士系スキル取れよ!」
「上位魔法スキルコンプって…… 酷いキャパの無駄使いだな。俺に1つくらい…… よこせよ!」
「まあまあ。でも、みんなは魔法スキル持ちでしょ?」
「そりゃあ…… なぁ?」
「まあ…… 魔法が使えるなら……」
「使いたいよな」
スキル決めの時の順番で、ビリから2番目だった栄司以外の3人は…… 何かしらの魔法スキルを選んでいた。
順番が4番目だった九重 隼は、火水風土の下位魔法スキルを……
村本 泰地が火の中位魔法スキルで、鉄山 丈二は風の中位魔法スキルを取った。
「まあ、僕も生活魔法スキルを取ったけど…… それ以外残って無かったよ」
「え、魔法スキルって…… 早い者勝ちだったか? 悪い事したな……」
隼は自分が選べないだけで、他の人は選べる物だと勘違いしていた。
「あの女神様か天使様の様子からして…… たぶん、勇者召喚されるのは1人…… 多くて3人くらいだったんじゃないかな?」
「何でわかるんだ?」
「スキルの選べる回数だよ。僕達みたいに10人以上召喚されるなら、有効な魔法やスキルなら全員が選べる方が良いし、それに…… 僕達を見た異世界の人達。あの感じとスキル決めの時の様子から…… 僕達が召喚されたのは、予想外の事だったんじゃないかな?」
「ああ、あの姫様…… 一瞬、俺達を見て焦ってたみたいだったな」
「そう、だから…… あの人達にとって…… 僕達は勇者様達のオマケなんだよ」
栄司の言葉に3人は息を飲む……
「そうか…… なら、追放された時を考えて行動だな」
「ああ」「おう」
「先ずは…… 様子を見ながら……」
「この世界の情報を集め……」
「だな」
「じゃあ、そろそろ食堂に行くか?」
準備を終えた隼が扉に向かうと、後の3人も続いた。
その様子は…… 監視の魔導具に移されていたが……
運良く…… 朝方の暗い内に明かりを付けずに話していたので、居眠りした監視者が気付く事が無かった。
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「うお!? 寝落ちした内に滅多刺しに…… あ、ボロい騎士発見! スケルトンナイトか? また減った残機を…… よこせぇ!!!」
ドロップアイテム回収中に居眠りして、骸骨騎士に刺された俺は……
「その鎧と盾と剣に魔石……」
せっかく増やした残機を減らされたので、骸骨騎士相手に浄回スキルを使ったバールで……
「そして、首置いてけぇぇぇぇぇ!!!」
多数の雑魚敵を吹き飛ばす武将の如く…… 首狩り無双をするのだった。




