地下水路…… それはボーナスステージ? 俺、謎の地下通路では…… 無敵無双!?
「水害対策か?」
用水路の横穴に入ったら、チョロチョロ程度に水が流れている通路に出た。
「ふう、とりあえず服を乾かすか……」
ショッピングで、タオルとキャンプ用品の携帯型卓上コンロと炭とライターを買うと……
「織倉さんに…… 感謝!」
タオルを身体に巻いて、服を絞り…… 卓上コンロに炭をセットして火を付ける。
「織倉さんがいなかったら…… 朝まで待っていたかな?」
よくよく考えたら、朝まで待った方が安全だった気がしたが……
「見付かったら即死の可能性が高いから……」
自分の行動が正しかったと…… 思い込む事にした。
「浄回スキルがあるって…… 最高だな」
空間も浄化するから…… 排水の匂いが無く、用水路の水もきれいになるから、俺の身体には汚れが無い。
後で知った事だが……
命の危機に無意識に浄回したらしく、俺が滑り落ちた城壁の一部が新築の様にきれいになったらしい。
「乾くのはやいな…… 撥水加工されてるのか? やはり…… あの作業着専門店の物なんじゃあ……」
城壁を滑り落ちたのに、破れたりしていない服を見て……
「俺を転生してくれ人…… 神様か? に感謝!」
後で検証したら…… 装備中の物は、死ぬと損傷がリセットされました。
「さて、服も乾いたし…… 戻るのやだから、地下水路の奥に進もう」
冷たい用水路で着衣水泳は勘弁して欲しいので…… 地下水路を進む事にした。
「ちょっと狭いけど、通路もあるのがありがたいね」
点検用なのか? 地下水路の横には通路があった。
「こう言う処って、地下スラムとか悪のアジトとか…… もしくは……」
俺は、頭にショッピングで買ったヘッドライト装備して、通路の角を曲がると……
「正解は…… アンデッドの巣でした」
塔の地下で見た物より腐敗が進んで…… 一部白骨化したゾンビラットの群れがいた。
「この! 魔石P1000のバールの力を見よ!」
俺に気付いたゾンビラットが飛びかかて来たで、浄回スキルを使ったバールで叩き落とす。
「やっぱり…… コイツら浄回だけで倒せるわ」
浄回スキルの範囲内に触れた瞬間、ゾンビラット達が光の粒子とドロップアイテムに変わる。
「え~っと…… 魔石魔石魔石魔石…… あ、首ゲット」
大半は魔石に変わったが…… 時たま、俺の首が転がる。
「残機回収…… 残機回収…… 残機回収……」
目に光の顔で目に光の無い笑顔の生首を回収する…… 俺。
「地下水路で生首…… B級ホラー…… いや、C級以下だな」
その後も、通路を進むと遭遇するゾンビラットから、魔石と時々生首(1アップアイテム)を回収しては、地下水路を進む。
「魔石と違って、触るだけて消えてくれるからましだけど…… これって、俺の身体に吸収されてるって事か?」
レトロ横スクリーンのアクションゲーみたいに、生首は触れるだけで回収できるので…… 最悪踏めば良い。
「逆に拾わなきゃいけない分、魔石の方がしんどいな…… ドロップアイテム回収のサポートキャラかユニットをぷり~ず」
転生して若くなったけど、しゃがみ続けるから腰が辛いのよ……
「しかも…… ゾンビラットだとLvが上がらなくなっているし」
塔の地下でゾンビラット達を倒した時には、Lvが上がっていたけど…… この地下水路ではステータスの表記は上がっていない。
「モンスターでLvが上がる上限みたいな物があるのか…… それとも…… 直接攻撃しないと上がらないのか?」
後で織倉さんに魔石を見せて判明したが…… 此処のゾンビラット達はLv0の発生直後モンスターだったらしく、Lv0なので貰える経験値もほぼ0の魔石も0.5Pの屑魔石でした。
「ゾンビラットだけなら大丈夫だけど…… この通路は何処に行くんだ?」
織倉さんがお金をくれたので、ショッピングで食事の心配も無いし、マイホームで双子に起こされる以外は安全な寝床もある。
「よし、行けるとこまで行こう!」
いざとなれば…… ベビールームに退避してから、スペアキー持ちの誰かと外に出れば良いしな。
そう考えた俺は、この地下水路の先を目指す事にした。
「で、此処ですか……」
地下水路に寄り添う通路を迷わず進んだら、おびただしい…… ほね、ホネ、骨、ボーン!
「地下墓地…… カタコンペ?って奴か?」
かなりの骨達が並ぶ地下墓地に出た。
カタカタカタカタカタ…… 俺が近付くと頭蓋骨の顎が嗤う様に動き出した。
「あちゃ~、ゾンビ鼠の発生元は此処か…… 悪魔払いじゃないけど」
積まれていた骨が崩れ落ちると、理科室の骨格標本の様にカタカタと立ち上がり始める。
「来な…… 今の俺はアンデッド限定で、星を取った配管工より強いぜ」
俺に掴みかかるスケルトンに……
「ふん!」
全力でバールを叩き付けた。
「あ、灰になった」
スケルトンにバールが触れた瞬間…… スケルトンの骨格が光の粒子と灰に変わる。
「次! あ、首ゲット!」
振りかぶり気味に…… 迫るスケルトンにもう一撃すると、生首(1アップアイテム)が落ちる。
「ボーナスステージ確定。さあ…… 首狩りの時間じゃ!!」
バールを持った不審者の姿に、スケルトンが一瞬怯んだ気がしたが……
たぶん、気のせいだろう。




