侍女見習いの正体は…… 召喚された者と転生した者の初遭遇?
(子供…… の不審者?)
現代日本の不審者的な服装で、バールを持った子供がいる。
「ヤバっ!」
(あっ、逃げた!)
急に廊下の角に向かい走り出したので、真偽眼に気になる事が見えたから追い掛ける。
(何あれ?【マイホームマスターキー】…… 空間が…… 揺らいでる!?)
角を曲がった処で…… 不審者が空間に鍵を差し込んでいた。
「(えい!)逃がすか!」
「ぐえ!?」
不審者の背中に…… 突き刺す様にプロレスのスピアタックルをかました。
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「な、何…… 此処?」
俺の上で…… 女子高生?がベビールームに驚く。
(あ、残機が減った。女子高生?の体当りで死ぬとは…… 俺は何処ぞの探検家か!?)
すぐ死ぬと評判のレトロゲーキャラクターが…… 頭に浮かんだ。
(ちょっとの段差やコウモリの糞よりは…… 死ぬ確率があるか? うん? コウモリの糞にはヤバイ病原菌がいるって聞いた様な…… 転んで死ぬ人も多いって聞くよな…… なら、あのキャラクターはリアル仕様だったのか?)
心の中ですぐ死ぬ冒険家に敬礼していたら……
「あー! いた!」
俺の上の女子高生?は、天使っ子に哺乳瓶を咥えさせて固まる侍女見習いの子を指差し、大声を上げる。
「此処にいたの! 大丈夫だった? もう一人の子は?」
「え、あ、そ、そこに……」
「そこに?」
「あう、あい?」
女子高生?の下敷きになっている俺を…… 悪魔っ子がペチペチと叩く。
「騎士に捨てられた子!」
俺の背中に馬乗りのまま女子高生?が驚く…… いい加減降りてくれないかな?
「処で…… 貴様、何者だ」
「え? あ……」
何時の間にか…… メイドさんが女子高生?に槍を突き付けていた。
(だから、俺の上から降りてからにしてくれ!)
俺に馬乗りしたまま…… 突然のピンチに女子高生?が固まる。
部屋には、ペチペチと悪魔っ子が俺を叩く音だけが響いた。
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「なるほど…… 召喚された者の1人か」
「はい…… あの……」
「何だ?」
「その子も…… ですよね?」
「何? そうなのか!?」
召喚された女子高生の織倉 紗智さんは、高校2年の16歳で夏休みの校外学修中に召喚されたと話してくれました。
「で、その時に喜原くんが突き飛ばしたのが…… その子です」
その話の流れで侍女見習いの子が、俺の助けた子供だと判明しました。
「侍女見習いも召喚された者だったのか……」
「あの……」
「どうした?」
「それで…… この子は何者なんですか? あの時、私達の近くにいたのは2人…… 1人はその子です。でも、もう1人は…… 大人の男の人でした。それに…… 転生者って……」
「「え?」」
(え、今、転生者って…… 言った? 何で? あ!)
「鑑定…… スキル持ち……」
メイドさんも気付いた様だ。
たぶん…… 織倉さんは、鑑定系か鑑定ができるユニークスキル持ちだ。
「確かに、俺は転生者だよ…… 君達の勇者召喚に巻き込まれた大人の男が俺。あの召喚で、腹から真っ二つにされたんだよね…… 俺」
「え…… 真っ二つって……」
「俺…… あっちの世界に下半身を置いた状態で召喚されて…… 1度、死んだんだよ」
「「ええ!?」」
織倉さんと侍女見習いの子が驚く…… こらこら、見習いの子…… 自由神様と話した時に君もいたでしょうが?
「あの時は…… 頭がぼーっとしていて……」
魔力暴走しかけていたから、熱にうなされて覚えていない様だ。
「あの…… もしかして、此処って…… あなたのスキルですか?」
「そうなるかな? 説明できないけど!?」
話終わる前に…… 俺は、織倉さんに押し倒された。
「私も! 私も此処に住ませて下さい!…… て、死んでる!?」
押し倒された勢いで、棚に後頭部を強打した俺は……
本日、4度目の死を体感しました。




