お姫様とメイドさんとメイド見習い娘と一緒に天魔をメーカーする?
「あかちゃん…… 天使の?」
「あい!」
俺の手には…… 白い翼が生えた赤ん坊がいた。
「天魔って…… 天使の事なのイデ!?」
手に掴んだ天使?の赤ん坊を見ていたら、不意に後ろ髪を強く引っ張られた。
「あ!?」
「む~う!」
侍女見習いの子が俺のフードを指差すと、不機嫌な幼い声が聞こえた。
「「「かわいい♥」」」
女の子3人が俺の後頭部を見て声を上げる。
「双子だったのか?」
天使?の赤ん坊で手が塞がっている俺は、メイドさんに背を向けて……
「すみません、ちょっと取って下さい」
「う、うむ…… 仕方がないな。どれ」
「むう、む~う!!」
「イデデデデデ!?」
「これ! 離さぬか」
激しい抵抗で俺の後ろ髪が抜ける前に、メイドさんがなんとか引き剥がしてくれたのは……
「此方は…… 悪魔?」
小さな蝙蝠の様な翼が生えた赤ん坊だった。
「天使…… と、悪魔…… で、天魔って事?」
赤ん坊を交互に見ると…… 天使の方は、右が青で左が翠の瞳をしていて、髪がプラチナブロンドの前髪が眉のところでパッツンで肩ぐらいのストレートヘア。
悪魔の方は、右が朱で左が青の瞳をしていて、髪が毛先がピンクのストロベリーブロンドの肩ぐらいのゆるふわウェーブ?だった。
「「へっちょん!」」
天使と悪魔の双子が小さいくしゃみをした。
「「「かわいい♥」」」
「いや、服! 服着せないと風邪ひくから!」
俺は脱いだパーカーに浄回スキルを使いながら、双子をくるむ。
「服と言われても…… 此処には赤子の服など無いぞ」
「エイラ、シャルやアルの衣装なら着れるかもしれないわ」
「シャル? アル?」
「ミナ姫様の着せかえ人形だ。なるほど、着れるかもしれませんね」
メイドさんが急ぎ、着せかえ人形が飾られている棚から衣装箱を取り出す。
「どれが良いか……」
「これなんか…… どうでしょう?」
「ワンピース…… だと寒いのでは?」
「とりあえず、それを着せて見ては?」
「そうね。はい、手を上げて……」
「「あい?」」
「「「かわぁいい♥」」」
両手をばんざーいの体勢をした双子に、女の子の悲鳴が上がる。
「いやいや、はやく着せて下さいよ」
「う、うむ」
「そうでした!」
「ちょっとごめんね…… 少し小さいかも?」
「それだと他の衣装は着れないわ…… どうしましょう?」
「お、おい、何とかしろう」
「何とかって、そんなむちゃぶりされても……」
「そう言えば、もう1つのスキルは何だ? それでどうにかできないのか?」
「もう1つのスキルって……(ゲームセレクトに〝マイホーム〟が追加されただけ……)うん? マイホームって…… 家?」
「どうしました?」
「あ、いや…… ちょっと試してみます」
お尻がまる見えの超ミニスカ状態の双子を、お姫様のベットに座らせると……
「え~っと…… マイホームをセレクトしてと…… え!?」
ゲームセレクトの項目をマイホームにしてタップしたら、俺の目の前にワンルームマンションやアパートの様なドアが現れた。
「ふむ…… 見た事が無い扉だな。どんなスキル何だ?」
「ちょっ、ちょっと待って下さい。うん?」
「どうしたの?」
「いやそれが…… 部屋を選べるみたいで……」
ドアノブに触れると……
→ワンルームマンション風
レトロアパート風
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・
と、選択項目が現れた。
「なるほど、部屋の内容が選べるのか…… 人形部屋とか無いのか?」
「いや普通にベビールームが選べるみたいです」
「「「ベビールーム?」」」
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・
「「「かわぁいい~♥」」」
幼稚園の様な可愛らしい動物が描かれた壁と、カラフルなクッションマットの床の部屋で……
着ぐるみの白ワンコ天使と黒ニャンコ悪魔の双子に、女の子3人は可愛らしい悲鳴を上げ続けるのだった。
ちなみに…… その服を選んだのは、俺で……
「「あ~い♪」」
何故か、双子にベッタリと抱き付かれた状態でした。




