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召喚された女学生は…… 逃げ出したい。


「休めば良かった……」


夏休み中に自由参加で行われる学修活動に参加して、被災地の復興事業で作られた工場を見学した帰りに……


「ちょっと! 何でこんなにいるのよ!」


女神や天使みたいな格好の女性が叫んでいた。


「勇者召喚でしょ!? 多くて3~4人のはずなのに…… どうしよう…… スキルが足りるかしら……」


工場見学を午前中に終えた私達は、復興見学として町並みを見ながら帰りの新幹線に乗る駅前に移動していた。予定よりもかなり早く行程が進んだので、新幹線が来るまでに2時間弱の余裕があったから……


「1時間くらい駅前を見ても良いですか?」


知らない街に興味があるので見学を申し出たら…… 全員で行動する事になり、急な雷雲を避けようとしたら…… この人?の前にいた。


「あ~…… めんどい! え~これからあなた達は、異世界に勇者召喚されます。はい、文句言わない! 召喚者は私じゃないので、文句は受け付けません」


それでも女神の様な天使の様な人に数人が叫んでいると……


「うっさい……」


まるで心臓が掴まれた様な息苦しさに襲われた。


「言うこと聞かないと…… 即死しちゃうぞ♪ わかったかな? わかったよね? なら、順番にくじ引いて。引いてたら、書かれてる順にスキル選んでね。あっ! 選べるだけ選んで良いけど…… これは勇者召喚! 魔物とかと戦う事になるから、よく考えてね」


さっきの恐怖からか…… 恐る恐る指示に従い、言う通りにスキルを選んで行く。


私が……〝真偽眼〟〝知識書庫〟〝錬金術〟の3つを選んだら、他のスキルが選べなくなった。


「はい、全員選んだので異世界に召喚されます。後の事は…… 召喚者にでも聞いてね。それじゃあ~バイバイ♪」


次の瞬間、私達は淡く光る魔法陣の上にいた。


「よく来ていただきました。異世界の…… 皆様」


顔を上げた瞬間、一瞬だけ驚いた顔した姫様達に連れられて隣の部屋に移動すると……


「いて!?」


部屋の中央にある水晶に、騎士が子供を押し付けていた。


(あんな子…… いた?)


見覚えの無い子供が水晶に触れると…… 騎士はスキル無しと言った。


(えっ!? ひ、ひどい……)


水晶でスキルを確認すると、大柄な騎士は子供を投げ捨てた。あまりの事に私がびびるのもお構い無しに、次々にスキル鑑定されて……


「錬金術か…… あなた達は此方に」


そうして私達は…… 勇者と賢者に聖女とされる3人以外は、男女別に召喚された塔からお城の一室に案内された。


「とりあえず、あなた達にはしばらく訓練してもらう事になる。辛いだろうが…… この世界で生き抜く為にがんばってほしい」


あの子供に対する行為を見ていたので、みんなは騎士に黙って従っていた。


「あの…… 小さい子と聖女と言われた子がいないのですが?」


意を決した引率の教育実習生が、女性だけに分けられた部屋にいない二人に付いて騎士に聞く。


(教育課程の最後に記念参加した学校行事で、こんな事になるとは…… お互いについてないわ)


「勇者様と賢者様、そして聖女様は、特別なスキルなのでそれぞれ別の訓練を受けに特別室だ。少女については…… 戦闘スキルでは無いので、保護している」


「そう…… ですか……」


教育実習生は何か言いたげな顔だが、騎士の態度に引き下がった。


(うんうん、怖いよね…… しかし、あの3人が勇者と賢者に聖女って…… 奴隷だったよね?)


勇者騒ぎの時に、見えてしまった……


私の真偽眼スキルに、あの3人の職業の〝偽〟の文字と…… ステータスに〝隷属〟の文字が……


(あの3人みたいに奴隷にされる前に…… なんとか逃げないと……)


騎士が部屋から出て行くのを確認して、私はベットに座り脱出計画を練り始めた。


 ・

 ・

 ・


「おさまったのか……」


「はい、上手く魔力を吸収できたみたいです」


「吸収のスキル…… 魔物が使えるのは知っていたが…… 使える人間がいるとは…… 貴様、本当に人か?」


「人ですよ…… たぶんって、槍を向けないで下さい」


「ああ、間違いなく人だよ。ちょっと変わった生まれだけどね」


「「えっ!?」」


不意の幼い声に俺とメイドさんが振り返ると……


「ミナ姫様……」


ベットの上にいた少女が上半身を起こして微笑む。


「え~っと……」


「ああ、この身体の少女の名前だね。ちょっと借りているんだよ」


「借りている…… では、あ、あなたは何者だ」


「高位管理者の一柱。君達的に言えば……〝三神〟のニの神と言われる者さ」


「ニの神…… 自由神【ヘリアレス】様!?」


メイドさんが慌てて平伏す中、唖然とする俺に少女が愛らしく笑った。



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