3.編集、襲来!
久しぶりに更新できました....自分の不甲斐なさで泣きたいです。(笑
問題なければ、来月ちゃんと短時間で更新できるようになれる、はず。
そう思いたいです....
翌日 12月20日(水)
学校の放課後。
「一緒に帰ろー!」
「お、帰ろうぜ!」
「あなたに聞いてない。」
「なんだと!?」
璃紗と一成は昨日と似たような会話を交わしずつ、照の答えを待ってた。
しかし、
「ごめん!今日も買い出しがあるから、二人が先に帰って!」
もらったのは二人をがっかりする返事。だが照はそんな二人の様子も心配かけずに、急ぎ足で教室を出た。
「あ、待って!」
璃紗は慌てて照の後を追って、止めようとした時もう遅い。廊下出た時、照の姿完全消えた。
「アイツ、なんかあったのか。」
「うん。絶対なんかあるよね。」
幼馴染としての直感が、照は買い出しではなく、別の事情があると教えてくれた。
「どうする?」
「私に聞かれてもーー照が自分から伝えるのを待つしかないじゃない?」
「それもそうだ。仕方ない、帰るか。」
「そうだねー」
仲良し三人組は、二人だけで帰ること、実は珍しくない。それはあのいつも口ケンカしてる二人でも一緒だ。そんな二人を、クラスメイト達いつもあることを考えた。
『ツンデレだ!』と。
●
ピンーーポン。
神野の部屋の前に、照はインターホン押した後、ドア開くのを待っている。
自分の昨日の行動を思い返しながら。
(恥ずかしい…!)
我を忘れるぐらいに色々やった気がなくもない。
というか、普段の自分は絶対そこまでやらないだろう。
それぐらい神野先生のこと憧れている。
ガチャ。ドアが開いて、その中から死んだような魚の目を持ってる人が出迎えた。
「おう、来たか。入っていいぞ。」
「お邪魔します…」
昨日と同じように廊下を通ってリビングに着いたか、今日はさすがに冷静の状態だから、色々さらに観察できそう。
部屋のあっちこっちに装飾品が飾られていて、派手ではないか、華やかな雰囲気が漂っている。
ドアの隣に大きいテレビがあって、映画鑑賞用?という用途がメインの高級なものらしい。
それ以外の空間は、ほぼ全部本棚に占拠された。
(本に囲まれてる生活、羨ましい…!)
「どうした?座っていいぞ。」
「あ、はい。」
照は神野に声かけられて、意識を戻した。
どうやら自分はまた見入りすぎて、棒みたいに立っていた。
神野はいつの間にかお茶を用意して、これも昨日と同じように、ソファーの前のテーブルに置いた。
「さっそくだが、君の作品を見せてもらおう。」
「え、今?」
「もちろん。君、学生だぞ?あまり帰りが遅くなると、親が心配するじゃない?」
「おっしゃる通りです…」
昨日神野の家を離れた後、スーパーに行って買い物したから、帰りはいつもより遅くなって、母に叱られた記憶が鮮明に浮かぶ。
照は自分のリュックからノートパソコンを取り出して、テーブルの上に置いた。
そして少し操作したら、画面に自分が書いたものが表示された。
神野に見せるために、ノートパソコンを神野の方向に回して、ちょっと赤くなった顔で話した。
「ご確認…お願い致します。」
「ふむ。どれどれ…『姫×勇~異世界に転生した僕は、姫の命令で勇者になって魔王を倒す!』」
「いやぁぁぁぁぁぁあああ!!!!!読み上げないでください!」
「読まないと内容分からないぞ?」
「見るだけでいいじゃないですか!?口に出す必要どこにもないでしょう!?」
「それはそうだ。」
「からかってますよね…?」
そこから、神野はお茶飲みながら、恥ずかしがってる照の小説を読んでいた。
20分経過。
「うん、なるほど。」
「え、もう読み終えたんですか?」
「ああ、読んだぞ。」
「早…!」
「作家はスピード遅いと、締め切りに追われるからな。」
「あ、確かに聞いたことある。」
「それで鬼編集に殺されそうになることも、まあまああるよ。」
「え、なんか怖い。」
「まあ、それは置いといて、とりあえず君の小説はな…」
「あ、はい!」
ゴクリ。
大手作家からの評価、直々聞けるなんで…!
不安と興奮の気持ちが照の中に混ざって、複雑な心境が顔にも反映された。
「ダメだね。」
「ダメですか。」
やはり…予想はしたか、はっきりと言われたらキツイと照は実感した。
でも神野は、お構いなく、追い打ちをかけた。
「ああ、ダメだ。まず君が書いたものは、『異世界転生』のジャンルだから、それはもうありふれたものだよ。まあ、それを『ジャンル』として作らせてるから、仕方ないと言えば仕方ない。その上にこのジャンルを書いてデビューしたいというならば、君は色々工夫しないとだめだね。」
「そう…ですか…例えばどんなことでしょうか?」
「そうだな、まず一番最初の設定集みたいな内容を全部書き直そう。」
「え、全部?そんな…色々考えて書いたのに…」
自分の苦労全部否定されて、照は明らかに落ち込んだ。しかし神野は、
「君の設定悪くないよ。」
続いて希望をあげるような言い方をした。
「え、そうなんですか!?じゃあなんで書き直さないとだめですか?」
「『場所』が悪いんだ。」
「場所?」
「今の読者はな、初めから詰め込んだ設定より、流れがスムーズでインパクトがある内容を求めている。だから君の小説のような最初から色々『説明』を書いてストーリーの進行全くないものは、あまり好かれないよ。もちろん例外はあるさ。」
「じゃあどうすれば…」
「簡単だよ。」
神野はノートパソコンを操作して、何やら始めた。それが終わった頃に、神野はノーパソを照の方向に回して、画面を見せた。
「ほら。」
「こ、これは…!」
読みやすい。
元々一部分に集中して書いた『設定』と呼ばれた内容は、神野はそれを別のシナリオのところに何箇所移して、ストーリーが進むに連れて、ゆっくり理解できるようにした。
「すごい、先の一瞬で…3,4分も経たないのに。」
「先も言ったが、それぐらい早く間違いに気づいて、さらに直せないと、締め切りまでの時間も無駄に消えるからな。それで…」
「鬼編集ですが。」
「そうそう。」
「いったいどんな人ですか…先生にそこまで言われる人…」
「まあ、ここにいればいずれ会うこともあるだろう。」
「え、それでつまり僕は弟子になっていいってこと!?」
「そこまでは言ってない。」
「えー」
「大体、君の小説のダメな所まだ全部説明してないから。それが終わるまで弟子の話はなしだ。」
「え、まだあるんですか?」
「当たり前だ。そもそも内容的に普通すぎ。エンディングは勇者が魔王を倒して、勇者と姫は平和の日々へ、めでたしめでたし。これはまあいいとして、他のところも衝撃が足りなさすぎ。もしこれが日常系だったらいいけど、そうじゃないだろう?」
そう聞かれて、照は少し考えた後に、頷いた。
「そう、ですね。ファンタジーで冒険とバトルもあって、友情と愛と勝利な感じで書いたつもりですか…」
「君が言ってた要素は全部薄い感じだよ。キャラの濃さ感じないし。バトルシーンの描写もいまいち。これだと読み手に響かないね。」
「じゃあ、今度はどうやって変えればいいですか?」
「そうだな、例えば…」
神野再びパソコンを操作して、内容を書き直した。
「こういう感じ。」
「えっと、『負傷した勇者に、魔王がとどめを刺そうとして、持っている武器を高く掲げ、勇者に振り下ろした。その瞬間、死を覚悟して目を閉じた勇者の前に、親友が入り込んで、代わりに魔王の渾身の一撃を受けた。その莫大な力に打たれて、親友が数メートル吹っ飛ばされ、壁に激突した。勇者は驚きに満ちた目を親友の方向に向いて、目に映ったのは、血だらけの親友の姿。そう、親友は、死んだ。』」
神野が書き直した内容を読んだ照は、
「何勝手に人のキャラを殺したんですか!!!???」
怒りで大声出した。
それもそのはず。
元の内容は、勇者と親友は傷負ったものの、最後は協力して魔王を倒したという友情による勝利だったのに、その親友を意味もなく死なせた。
「まあ、その後の内容もよく見ろ。」
「…後の?」
照は神野に言われて、しぶしぶで続きを読んだ。
『親友の死に怒り出した勇者は、魔王と刺し違えても倒すと底力を振り出し、何とか魔王を瀕死の状態に追い込んだが、自分も限界…いや、そもそも限界を突破した状態だから、もう魔王を倒す余力はない。後一歩、と悔やんでる勇者に、ある声が聞こえた。『やっぱ、俺がないとだめだな。』それは、死んだはずの親友の声だ。』
「ええ!?」照はその内容見て、ビックリした声を出した。
『死んだーーと勇者が勝手に思ったが、どうやら親友は意識を失っただけらしい。』
「そして、勇者は親友と協力して、最後の最後の力を振り絞って、魔王を倒した。」と、神野は自分が書き直した内容を口で話した。
「そういう展開なんだ…」
「どう?結末変えてないけど、元の内容よりは衝撃あるだろう?」
「そうですね!こういうタイミングで死なせるのはどうかと思ったけど、最後はちゃんと生きてて良かったです。」
「まあ、そのまま殺しても良かったけどな。でもそうすると、君が書いたエンディングまでも書き直さないとだめだから、さすがに今日は時間がないね。」
「殺さないでください!」
「でも誰かが死んだ方が、インパクトがあるだろう?君も他の作品結構見ただろう。最近ていうとあのアイドルが最初に殺されたあれ…〇しの子?他は海賊王のお兄さん、鬼殺しの兄貴とか。そういった重要なキャラ死んだとき、一番読者、観客の心に響く、反響もらえるだぞ。」
「それは、確かにそうかもしれないけど…」
「…まあ、自分が書いたキャラを殺すというのは、確かに最初はちょっと痛いかもしれないね。でもそれも書けないと、シナリオ性は単純なものになるんだよ。」
「そう…ですか…」
落ち込んだ照を見ると、神野が小さいため息をして、続きを話した。
「でもまあ、先も言ったが、日常系だったら死亡シーンなんでいらないし、むしろそれ入れたら炎上になるかもな。もちろん話題性として十分ある。」
「じゃあ、僕は日常系書いた方がいいでしょうか…?」
「それは君自身で決めることだ。どんな内容でも、好きな人と嫌いな人いるから。炎上系もうまく書けば、人気出るかもな。」
「そういう人はいないと思うけど…」
ピンポンー
照が困惑している時、インターホンが鳴いた。
「え?
「あ…今日も来たか。そういえば、君、名前は?今更だけど。」
「あ…!僕、暁海 照です!」
「では、照。俺の代わりに玄関に出てくれ。」
「え、いや、そんな非常識なことを…」
「大丈夫だよ。ちょうどいいタイミングだしな。」
「??」
言われるままに、照は玄関に行って、ドアを開けたら、
「あら、かわいい子。」
それは、最初に相手に言われた言葉だ。
スーツ姿にポニーテール、いかにもキャリアウーマンの雰囲気を出してる大人の女性。
自分より身長ちょっと高く、その関係で、視線がどうしても女性の大事の部分に向いてしまう。
(大きい…!)
胸が。
それは照の感想だった。
「先生いる?」
女性は照の存在に特に気にせずに、先生ーー神野のことに関心を示した。
「あ…います!」
しまった。
相手はどういう人なのも確認せずに返事した。
万が一先生に害をなそうとする人だったらどうしよう?
照はすぐに後悔してしまったが、
「お、やっぱり君か。」
神野は廊下に歩いてきて、照の後ろに立ったままで女性を見つめた。
「ええ、私です。他の誰が来ると思いました?」
「いや?ただよく飽きないなと思っただけ。」
「先生のことだから、飽きるわけないでしょう。先生こそ、その死んだ魚のような目相変わらずですね。」
などなど、二人は結構付き合いが長いみたいな会話を交わした。
「えっと、お二人の関係は…?」
照は自分の好奇心を抑えられずに、恐る恐ると神野に聞いた。
「妻よ。」
神野が答えるより早く、女性が話した。それを聞いた照は、嫌いな食べ物を騙された食べてしまったみたいな驚きの声を張り上げた。
「ええ!?うそでしょ!?先生独身って、半年前のインタビューで話したじゃん!?」
「電撃結婚ていうのがあるよ、ぼうや。」
「うそ…」
照が何故か落ち込んだ様子になって、それを見かねたか、神野はやっと口を挟んだ。
「それぐらいにしておけ。若い子はそういう冗談通じないからな。」
「あら、冗談ではないですよ。『将来的に』妻になる、ということもあり得るでしょう、わが夫。」
「そのセリフやめて。色々危ないから。」
照は神野の話を聞き、気を取り戻し、若干上目遣いの感じで神野を見上げた。
「あの…冗談ですか?」
「ああ、冗談だ。改めて紹介しよう。」
神野は女性の方に手を差し、
「彼女は僕が先ほど伝えた、編集の紫咲 ゆかりだ。」
「え…ええ!!?」
今度は別の意味で、照が大声を放した。