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14.クリスマスイブーー神野と紫咲の場合~(下)

『『いただきます。』』

午後6時。紫咲がスーパーからクリスマスに相応しい食材を買って帰って、神野が手伝いながら、二人協力で晩ご飯を完成した。キッチンの横に設置された食卓に料理を運んだ後、側の椅子に座った。


クリスマスの定番料理・七面鳥ーーさすがにそこまで用意はできなかったらしいが、ピザ、ミネストローネ、フライドポテトなど、主食からデザート、ドリングまで、赤ワインも準備した。二人で食べる分にしては豪勢なぐらい作った。

「短時間でこんなにできるとは、さすがだな。」

「先生に買わせた色々な調理器具のお陰もあるだけどね。」

「それな。ここはもうお前の家みたいだな。実際ほぼ毎日来てるし。」

「先生が不摂生な生活して体を壊すと、こちらも困るので。」

「『会社の大事なトップ作家だから』、だろう?いつも聞いてるよな。」

「…わかってたら、ちゃんと仕事してください。」

「仕事、か…な、紫咲。人はなぜ仕事するだろうね?」

「はあ?」

紫咲は『なんだその馬鹿な質問は?』とっても言いたそうな顔になった。


「いや、生活のため、生きるためとか、もちろんそれは分かるけどさ。でもそれ以外のこともあるだよな。夢を追うとか、理想を叶えるためとか、自分を強くしたいとか、色々ある。」

「そうだね。屋敷を買うため、車を買うため、家族を養うため、人はそれぞれの理由で、仕事してるわ。みんな頑張って生きてるわよ。」

「それだ。」

「え?」

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?人は、仕事するために生まれてきたじゃない。苦を噛みしめるためにこの世に来たわけじゃない。()()()()()()。」

「…そうだね。でもそんなの、理想論だわ。苦労せずに人生を楽しめる人は、親か祖先がお金持ちだとか、生まれつき凄い才能をもって、他人より時間や労力をかけずに成果を出せるとか、そんの、一握りしかないわ。」

「ああ、ピラミッド(資本主義)の頂点にいるヤツだな。」

「先生も今はその一人だけどね。」

「そうだ、だから書くのをやめた。」

「え?」

紫咲はその言葉を聞いて、フリーズした。神野はそれを無視して、目の前の料理に次々と手を出した。


「…ちょっと待って、まさかと思うけど、それが小説書くのをやめた理由?」

「そうだが?」

神野の澄ました顔を見て、紫咲の眉間のシワが増えた。

()()()()()()()()()()?」

「うん、そう言った。」

「そんなワガママな理由で…!!」

「ワガママじゃないんだ。人生をかけた決断だよ。」

「…はあ?」

「仕事で楽しくないことを続けて、本音を殺したままで生きて、そんな人生面白いのか?小説書くのを仕事としてやってる作家も同じだ。」

「そ…れは…」

「世の中、そんな状態で仕事を続ける人が大勢いる。分かってる。だからその結末も知っている。成功した人もいるし、()()()()()()()()()()()()()()()()()。ただみんな、光だけを見て、闇を見ないんだ。目障りだから。」

「境、あなた…でも人はみんな、自分の好きな仕事を選んでやっていけるなんで、それこそ夢だよ?」

「ああ、だから作らなければならない。夢は、理想は、誰かがそれを目指さない限り、絶対に実現しない。人は空を飛べるようになったのは、空を飛びたいという夢があって、そこを目指した結果のように。」

神野は食卓にあるワインを取り、自分と紫咲のグラスに注ぎながら話を続けた。


「だから僕は、誰もが好きな仕事をしながら、生きていける環境を作ることを目指した。ただ、そう目指した時に真っ先に断たれたな、道が。ははは。」

神野は苦笑いしながら、ワインを飲んだ。

「…それは、最初の編集がやったことを言ってる?」

「別に彼女が悪いわけじゃない。売り上げを求めるのは、会社として当然のことだし、その会社の一員である以上、会社の命令に従うのは当然だ。例えそれは人の主張、感情、自由意思を踏み躙るものだとしても。」

神野は天井を見上げた。ペンダントライトしかないそこを、遠い目で、灯りを通して昔の思い出を見るように。

「むしろ僕も彼女のおかげで目覚めた。世の中に、頑張る気があっても、それを邪魔する人、足を引っ張る人がいるんだなって。そして僕は、そんなことも知らずに、夢を目指して、失敗したバカだ。才能があると自惚れで、社会という現実に潰された、バカだ。」


ああ…なるほど。彼は、目こそ希望に溢れてるけど、心の奥底は、もうドロドロで、完全にネガティブで、真っ暗な世界。だから眼鏡が必要だった。真実(こころ)に何枚の(かべ)を重ねて、自分を守るために。そんな彼に、自分ができることはーー


紫咲は神野の言葉を聞いた後、突然ワインが入ってるボトルを取り、直飲みした。

「うおい!?何してるんだ!」

神野がビックリして大声叫んだのを気にもせず、紫咲はあっという間にワインを飲み干した。

「ぷはーー美味しい!」

「いやいや、ワインはそういう飲み方じゃない…で、何で立ったんだ?」


紫咲はおもむろに席を立ち、神野へゆっくりと近づいた。

彼女の様子は明らかにおかしいが、逃げてもきっと追いかけてくると神野はそう予感した。だから、紫咲が来るのをただ待っていた。

そして目の前に到着すると、

ぎゅーーーーと、

力いっぱいに、彼女に抱きしめられた。顔はそのまま胸に埋もれて、話すのも困難の体勢になった。


「ちょ、息が…!」

「ねぇ、境。2年前のこと、覚えてる?」

紫咲は神野の抗議を無視して、昔話を持ち出した。

「ああ…もちろん、覚えてる。君と会ったのは、2年前だから。」

「ええ、2年前、あなたの入稿速度が急劇落ちたという連絡があった時、会社全体が騒いて、このままだと売り上げがぶっ飛ぶじゃないかとみんなが心配した。それで高校時代、あなたの友人だった私は、対策として宛がわれた。『神野が書くのをやめさせない』、という対策、ね。」

「訳わからない対策だな。」

「まあ、人が何らかのやばいことを起こした時、その影響を受けた赤の他人が、そいつの家族か、友人に連絡して、行動をやめさせるのがよくあること。犯罪者に人質を取られたとき、警察が親族を呼んで、やめさせると同じように、ね。」

「僕が犯罪者扱いなのか!?」

「そうよ。だってわざと書かないようにしたでしょう?小説を。」

「…まあな、僕が書かないと、この会社が、世界がどうなるのか、見たいから、やめた。」

「本当、質の悪い人ね。」


言葉は責めてるが、紫咲の顔も、声も、優しい感じだ。


「でも、会社は今も問題なく運営してるし、世界も大して変わりはなかったぞ。だから別に僕は悪くない。」

「それは屁理屈。それに、例え有名な人でも、大きな影響力持っているとしても、あなたは所詮一人。一人で世界を変えられるという人は、あれは国家元首だ。でもあなたは作家だよね。」

「…身の程知らずとても言いたいのか?」

「いえ?ただ、一人の力では限界があると言いたいの。だから、」


紫咲は神野を自分の胸から少し離し、彼の顔を両手で上げた。


「私といて?これからもずっと。二人だったら、変えられるかもしれないよ?」

「…酔っぱらってるのか?」

「酔ってないわ。私、酒強いもん。」

「酔っ払いはみんなそう言うんだよ!」

「酔ってないと言ったら酔ってないもん!あ…!」

紫咲の足がふらついて、体勢を崩し、神野の方に倒れた。

「おい!?大丈夫か?」

「ダイ…ジョウブ…」

紫咲が緩やかに寝息を立てた。

「寝たかよ。まあ、アルコール度高いワインだから、これ。」

アルコール度数22度。ワインを楽しむというより、お酒を飲みたい時用のワインだ。

「しかしこれはどうしたもんか…」

紫咲の家へ送るとしても、この状態だと不安だし。自分の家だと、問題ないが、

「ソファーで寝るしかないかーー」

寝床を奪われるのを嫌がる神野だが、仕方ないと自分に言い聞かせて、紫咲をお姫様抱っこで自分のベッドへ運んだ。



    ●



リビングルームから書斎を通して、さらに奥にある部屋は神野の部屋。

そして同時に工作室でもある。

大きい窓はあるが、その窓自体から、壁、床など、部屋全体は防音対策で作られた。

神野の、絶対安静の領域。

…というのは昔の話。今はもう仕事用として使ってないことにより、堕落の聖域に変わってる。

人と話したくない時は、小説か漫画、ゲームをこの部屋に持ち込めば、誰も邪魔できなくなる。


その場所に、神野は紫咲を運んできた。

「よっしょ…」

彼は紫咲を起こさないように、ベッドにゆっくり置いた。

「まさか自分のベッドに女を寝かせる日が来るとはな…」

嬉しい?いや、面倒くさいしかない。何せ、自分の寝るところなくなるから。


神野は文句を心の中に言いずつ、リビングルームに置かれたままの料理を片付けするために、部屋を離れようとしたが、


ガシッ。


神野の右手が、何かに掴まれた。そして、彼は嫌の予感がした。

「うわ!?」

反応する時間もなく、一瞬だけで、ベッドの上に寝た人は、自分になった。まさにザ・ワー〇ド。

そしてその攻撃を繰り出した人物は、またもや自分の身体の上に馬乗りの体勢で座り、勝ち気味の顔で自分を見てる。


紫咲だ。

というか彼女しかいない。

「捕まえたー♡」

彼女は愉快そうな声で宣言した。そして先と同じように、神野の手を動かないように掴んで、眼鏡もいつの間にか取っていた。


しかも気のせいか、先より力が強くなった気がする。


「今度こそ逃がさないわ。」

「…俺を捉えて、どうするつもりだ?」

「もういい年して、いい大人だから、それ聞く?」

「…先輩、酔っ払ってるぞ。」

神野はまた冗談で誤魔化そうとするが、

「ええ、酔ってるわ。そうじゃないとこんな行動取れないもん。」


あ、やば。これは酔ってないわ。

ヤブヘビだ。


神野は紫咲の返事を聞いた後、改めて彼女の目を確認すると、そこにあるのは、

獲物を取った後、心行くまで貪る獣の目付きだ。


「先、先輩?落ち着いて。まず話し合おう?」

「ゆかって呼んで。じゃないと話聞かない。」

「…ゆか、お前はお酒のせいで間違った行動してるんだ。酔いが覚める後悔するぞ。」

「その時はその時だから~」

(だめだ!コイツ、俺の話聞くつもりがない!)


俺の手をガチで動けないように抑えているし!


「境~私はね、あのトラブルが原因であなたと再び会えた。あなたは多分、気まずいと思ったけど、私は嬉しかったわ。」

紫咲はあの日の自分の気持ちを、飾りなく伝えた。

「2年前のこと覚えてると言ったけど…高校の時のことも、覚えてる?」

忘れるはずがない。高校の時はーー

「先輩と一緒に部活してた時の事か?」

「ええ、小説部、私が作った部活。でも部活と言っても、ただ小説読んで、感想を交換する場所だった。私が2年生の時、あなたが新入生で、入部希望してきた。そこからあなたが書いた小説を読む場所になった。」

「ほぼ毎日のように何かを書いたな。日々締め切りの地獄だった憶えは。」

「でも楽しかっただよね?」

「…まあ、な。」

「私も♡」

紫咲が話せば話すほど、声のトーンが高くなり、気分がよくなったようだ。


「そして私は、あなたの影響で、編集になることを決めたの。」

「…え?いや、それ初耳だ。」

「だって言ってないもん。」

「じゃあ、何で今更…」

「境に、『自分は誰かを変える力を持ってる』ということ、信じてほしいの。私は、大学卒業した後に、あなたが作家として成長することを期待しながら、編集の仕事を探したの。」

紫咲は、微笑みながら、

「あなたを、サポートできるために。勝手にやったけどね。」

「先輩…」

「ね、知ってる?私の担当作家は、今はあなた一人だけだよ?」

「え…そうなのか?だっててんちゃんとかスカーレットとも仕事の話をしたよな?」

「うん、『あなたの世話をする』という仕事のついてにやってた。」

「それ、ついてなのか…」

「『全力で神野を復活させる』、というのは会社の今一番目標だから。」

「まるで何かのゲームで、魔王を復活させるよう悪の組織だな。」

「でも私の気持ちと同じから。」

紫咲は急に神野を抑えてる自分の両手を離した。逃げられると思った神野は、結局逃げられなかった。

何故なら、紫咲は自分の服を脱ごうとした。

「先輩!?何をしてる?」

「野暮なこと聞かないの…♡」

「いや、冷静になろう?先輩は酔ってるから、判断力落ちてるんだ!」

「もう、うるさいわね!」

そう言って、紫咲は強引に神野の唇を奪った。

「んん!!?」

「ん…んは…ちゅ…」

単純なキスではなく、紫咲は自分の舌を伸ばし、神野の舌に絡めた。ディープキスだ。

しばらくその状態が続いた後、紫咲は満足そうな顔で、神野を離した。

まだ反応できない神野に、紫咲は話の続きを始めた。

「私は、もうあなたの専属編集になった。でも足りないの。あなたのすべてを支えたいの。今までできなかった分を、これから巻き返せるぐらいに。そう、あなたの言葉で言うと、」

紫咲は心の準備をするように、息を吸って、平静を装った声で、



「あなた専用のネタになりたい。これからもずっと。仕事でも、生活でも、私で色んなネタで作れるように。そして私も、あなただけのネタになれるように、もっと勉強して、もっと頑張るから。」



紫咲は自分の顔をゆっくりと神野に近づき、

「だから、私をちゃんと見て?私の、全部。」

「先輩…」

「ゆかって呼んで…」

2回目のキス。ただ今度、紫咲は神野にキスしながら、彼のシャツのボタンを外し始めた。

「ちゅ…れろ…ゆか、本当にいいいのか?」

「ん…いいの。昔のあなたに戻れるんだったら、私、どんなことでもするわ。」

「それは、償いのつもりか?」

「…そうかも、あの時、あなたに助けの手を、差し伸べられなかった。でもそれ以上に、小説を楽しんで書いてるあなたの姿を、見たいの。」

紫咲は話しながら、神野の体を徐々に撫でていく。

「世界を活躍する小説家ではなく、ただ一人、小説を愛するが故に、書くことを続ける、自分本位のワガママな人間として。」

「俺は…」

「今、答えなくていいの…いつまでも、待ってるわ。でも今日、この時だけ、私だけを見て…!」


切ない声が部屋に響き渡り、神野は何も伝えられないまま、ただ紫咲を受け入れた。



    ●



照と璃紗は、帰り道の途中だった。

「今日は楽しかった!」

「私も!ありがとうね、てーる♡」

「璃紗…」

自分の名前を呼ばれた瞬間、照は夕方の光景を思い返して、赤面になった。

「あ、赤くなってる!可愛い!」

「からかわないでよ!それに璃紗の方が可愛いだし…」

「え?あ、そう、そうなの?ありがとう…」

まさかのカウンターを喰らった璃紗は、照と同じ状態になった。

「ね、明日はどうするの?予定ある?」

「僕は…とりあえず先生が言った、投稿サイトのことちょっと確認して、投稿してみようと思う。」

「あ、やっと始めるだね。なんだがワクワクするね!」

「そうかな…僕は不安しかないけど。」

「でもやらないと何も始まらないって、あの赤のお姉ちゃんも言ってたし。やってみよう!」

「そう…だね。うん!後で先生にもやり方を確認する!」

「それでさ、照。明日…照の家、行っていい?」

「え?」

あまり突然のことで、照は絶句した。

「冬休みも始まったばかりだし、照の頑張ってるところも、見てみたいから…ダメ?」

「い、いや!全然大丈夫!でも、たぶん、おそらく!つまらないと思うよ!」

「照がいれば、問題ナーシング!」

元気に答える璃紗に、照は苦笑いした。

そしてその時に、


「あれ?これは…」

「…雪だ!」

真っ白で、ふわふわで、体に触れたら消える、儚い雪が、空からゆらりと降ってきた。

「わーー綺麗!」

「クリスマスイブに雪なんで、いつぶりだろう?」

「なんか噂だと、60年前らしいよ?」

「じゃあ、結構レアなことだね。」

「それこそ小説にしか存在しない話かも?」

「それ、なんだが悲しいよね。はは。」


二人は空を見上げて、夜空から満遍なく降りてくる白い結晶、人の気持ちを持ち上げる、小さな存在。

そしてその存在があるからこそ、この日を、より特別な日にした。

その名前は、『ホワイトクリスマス』。

奇跡にも言える、誰もが期待してる、特殊な日。


「来年も、また見れるといいね。」

「そうだね、照と一緒に、今日みたいに、見たいなー」

璃紗は自然と照と手を繋いだ。


純白(じゅんぱく)の雪のような、純情の二人が、未来へ純粋な願いを込めて、共に歩き出した。



    ●



そしてその雪を見てる人たちは、もちろん照と璃紗二人だけじゃない。

「境、見て、雪だよ。」

「…ああ、本当だ。」

ちょっと興奮気味の紫咲に対し、神野は疲れ切った感じで返事をした。


神野の部屋の中に、神野と紫咲は裸の状態で、ベッドの上に布団を被せたまま、一緒に窓の方を見た。

雪が降り始めてからそんなに時間経っていないが、外はもう真っ白な世界。


「今年はホワイトクリスマスだね。」

「珍しいこともあるな。」

「もしかしたら私の声を聴いて、神様も感動したから雪を降らせたかも?」

「そんなおとぎ話あるか。」

「冗談だよ冗談。うふふ。」

紫咲は神野の方へ向いて、彼の体を抱き寄せた。

「…ゆか、すっかり高校時代の感じに戻ったな。」

「そうなの?」

「話し方もな。」

「境は変わらないね。」

「…人はそう簡単に変われるものじゃないから。」

「うん、無理に変わる必要もないよ。私、境は境のままで、生きていけるのが、一番好きだから。」

「ゆか…」


支えてくれる。その言葉は、どうしようもなく自分の心に響く。

分かってた。必要なのは、自分を肯定する存在。それは読者ではなく、編集でもなく、自分の隣にいられる誰かが。

それは家族かもしれない、友人かもしれない。そして、


自分の未来を託せる存在かもしれない。


でも、だからこそ。迷う。

同じこと(トラブル)がまた起こるかもしれないとーー


「境?どうしたの?」

「…いや、なんでも。」


目の前の彼女は、仕事に対して真面目だ。

つまり、命令に忠実だ。

そんな人を、信じていいのか?

俺はーー



    ●



「これでよし、と…」

照の部屋で、彼は投稿サイトに登録をしてる。

璃紗とさようなら告げた後に、すぐに自宅へ帰って、ノートパソコンを開けて、その作業を始めた。


『どのサイトでもいいが、大手サイトの方がもちろ読者も多い。そして有名になれば、書籍化のチャンスもある。』

『ペンネーム?自分で決めろ。ただ、そうだね、かっこいい名前したいのは、誰もそう考えてる。結局ダサい名前になった例もまあまあある。でもそんなの、自分が気に入っていれば、それでいい。作家の名前を見て、小説を読むかどうか決める読者あまりいないから。』

『それでも悩むだったら、自分の名前から文字を切り取って、それをペンネームにするのが一番手取り早い。この場合、君のペンネームはーー』


作業始める前に、照はLoine(ロイン)で神野にやり方を尋ねた。

助言を貰って、色々探した結果は、


照のノーパソの画面に映ってるのは、投稿サイト最大手のーー


『サッカになろう』サイト。


そしてペンネーム、『自分の苗字をそのまましたら恥ずかしいから』という思いで、少し変化した。

ペンネームの空欄に、


『アカツキ・シー』。


というカタカナが入ってた。



クリスマスイブ。雪が降った奇跡のこの日。少年は勇気を出して、投稿サイト(まきょう)に踏み込んだ。

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