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獣王襲来 【亜人種強制収容所編】 その13

□□




真っ白な毛並みに戻った6匹の獣人戦士たちが、軒並のきなみ地面に転がっている。



全員、壮絶にノックアウトされて気絶中。




だが…………コイツらはどれだけ力の差を見せつけられようが決して勝負をあきらめなかった。



噂にたがわぬ…………てところだ。




獣人戦士たちの頭の上や後頭部あたりにヘバりついている暗灰色のキノコだけが、未練がましくジュクジュクとうごめいている。



いくら指令を出しても、もう宿主の身体は動かない。




《自分の足で歩いてかかって来いや、おら》





急にオラついて、どうしたんですか?SIRI姉。




俺は、【反魔鋼体】を解除した。




《伝説のスーパーサイヤ人ブロリーみたいでカッコ良かったのに。


ムキムキマサムネ》




俺がいつカカロットをストーカーしたよ。





腕を組んだまま戦況を見つめていた獣王。




「ようやく2人きりになれたな?」




俺が冗談めかしてウインクすると




獣王レオニダスはギョッとした表情になって、自分のたくましい身体を両手で隠した。





……………いや、別に本気でお前の身体を奪いに行こうとしてねえわ。





《すぐ真に受けるタイプですね。獣王レオニダスさん》




『亜人種史上、最強の男』って触れ込みはどこにイッたんですかね?





プロレスラーみたいに両手を開いて熊みたいなポーズをとる獣王レオニダス。




その全身から黄金色の闘気がほとばしり出てきた。




地面が鳴動している。




小さな石や、木片なんかがひとりでに浮かび上がっていく。




天に向かって雪崩なだれ落ちる黄金の滝でも目の前に現れたかのような光景。




「ゴージャスな野郎め…………」





《スター性の塊か?ってくらいに華のある男ですね。さすがは獣王キング





俺も、対抗して暗黒闘気の出力をあげた。




黄金の滝の目前に、



夜の闇を集めた暗黒の滝でも出現したみたいな絵ヅラだ。





《どう見てもこっちが悪役》





獣王が、音も無いステップで踏み込んできた。



天変地異クラスのパワーを秘めた怪物のくせに、子猫のようにひそやかな足音で。



明らか、質量保存の法則を無視してやがる。




獣王の右ストレート。



黄金の闘気をまとった右拳が空間を引き裂く。




俺は、カウンターで左ストレートを合わせた。




夜の暗黒ヤミをネットリと引きずるような左の拳。






拳と拳が、空中でぶつかり合った。





…………がっ!!!!!!!!




ひゅん……………!!!!!!!





星と星が衝突したみたいな衝撃があたりを舐め尽くす。



ミヤコのご先祖シールドが出力全開でパーティーのみんなと6匹の獣人たちを保護していた。




その瞬間、俺の脳裏には見知らぬ映像ビジョンが流れ込んできていた。




クソ、またかよ、これ……………




獣王の中から俺のなかへと流れ込んでくる原風景ビジョン………………





□□




「カサンドラ様はまた縁談を断られたそうだ」




「…………これ以上無いくらいに好条件の縁談を次々と」




「なかにはチュエルブ国府幹部からの申し込みも含まれていたとか」




「…………あの異常にプライドの高い連中の顔を潰したとなると、戦乱のキッカケになるやも知れんぞ」



「因縁をつけ戦端を開くキッカケを作るための偽装縁談の可能性すらあるな」




「あいつらに限ってはあり得る話だ」





日陰の充満した宮殿のなかで、ヒソヒソと繰り広げられる噂話。



獣王レオニダスは、胸のなかにどこか得体の知れない不快感を覚えながら、聞くともなく高官たちの噂話を聞き流していた。



他国の、それも自分たちにとって宗主にあたる大国の姫君の縁談話なんて口を挟む事柄でも、気にする事柄でも無い。



ただ、なにかモヤモヤした不快感が胸のなかに溜まっているので、獣王オレは早くこの話題が終わってほしい、漠然とそう願っていた。




闘いのなかに常に身を置いている自分にとって、色恋のことなどまるで興味が湧かぬ話。それがこの不快感の原因だ。レオニダスはそう自己分析していた。




「レオニダス様……………」




不意に自分の名前を呼ばれたことにビックリして、獣王オレはドギマギとする


なぜ、この色恋・縁談の話の流れで自分の名前が飛び出てきたのか。意味不明だった。




山羊ヤギの顔をした亜人種の老人がこちらを見つめていた。




「…………はぁ」





「レオニダス様は幼少の頃からカサンドラ様と親しくしていたと聞いておりますが……………」




なぜか、後ろ暗い部分を掘り起こされているような嫌な感覚が胸のなかにこもっていた。




「えぇ。と言っても、ほんの小さな子供の頃の話ですが」





「レオニダス様の方からもカサンドラ様に言って聞かせてはもらえませんか。


そろそろ、国益のためを考えて縁談を受け入れるように、と」





なぜ、俺がそんな事をしなければならん?


姫のそばに仕えている女官にでも依頼すればいいだろう?




ピークに達した不快感が、形相となって表情にあらわれてしまっていたのか、



山羊ヤギの顔をした亜人種の高官が、俺の顔を見て飛び上がってガタガタと震えだした。





《百獣の王の顔になっちゃってますからね》








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