獣王襲来 【亜人種強制収容所編】 その12
全身を包み込んでいる暗黒闘気の出力を、瞬間的に数倍に高めた。
《暗黒界王拳……的な?》
いえ、ただの大魔王が闘気バーン!です。
ドラッグ中毒者が見ているサイケデリックな太陽みたいな、
奇妙な色味をした究極魔法の球体。
それを見据えながら、地面を力強く蹴っ飛ばす。
高く高く跳びあがった。
そして、俺に向かってくる特大の球体を、ただただ力任せに
めたぁああああああああああん!!!!!!
蹴りぬいた。
サッカーのジャンピングボレーシュートの要領だ。
ドギュッ…………………………!!!!!!
空中で変形して。満月形から太めの三日月みたいな形状にひしゃげた究極魔法の球体。
俺の蹴り一発で、進行方向を完璧に捻じ曲げられた。
宇宙開発みたいな角度で、天高く打ち上げられていく究極魔法球。
「究極魔法を……………
ただのキックで…………
はね返した!!!!?」
リザリザさんが、UFOでも目撃した人のような唖然とした顔で声をあげた。
「歴代大魔王の誰を連れてきても、
あんな芸当は絶対に不可能ニャ……………」
カラフルな獣人たちは、いよいよ腰を抜かさんばかりにおっ魂消ていた。
《「おっ魂消~」って、バブルですか?
戦隊ヒーロー物の第1クール第1話目に、
劇場版仕様の、究極のラスボスが現れるようなモノですからね。
ヒーローたちにとっては理不尽すぎるシチュエーションですよね》
誰が、歴代戦隊ヒーローが助っ人として参戦する、オールスター劇場版仕様の強ラスボスですか?
てか、なんで俺が悪役ポジションで向こうがヒーローなんだよ。
《見た目的に。
『人は見た目が九割』》
悲しい真実!!!!
「…………どんな物事にもプラス面とマイナス面がある。
毛皮に攻撃魔法を仕込んでイキッてるお前らに、
人生の真理ってモンを教えてやんぜ?」
俺は、賢者スキルの奥義、
【魔法創成】を発動した。
既存の魔法を組み合わせることによって、
この世にまだ存在していなかった新種の魔法を創成する。
それがこの【魔法創成】だ。
《そろそろ言われなくても覚えました、そのスキル》
【絶対魔法障壁】
右手に、魔法障壁系統のなかでも最上級の呪文を発動した。
【身体強化魔法】
左手に、身体能力、攻撃力を飛躍的にアップさせる補助系魔法を発動する。
ぱんっ……………!!!
両手を、胸の前で組み合わせた。
二系統の魔法の輝きが交じり合って、新種の魔法が完成する。
身体強化魔法の効果で、俺の全身の筋肉が盛り上がる。
そして、増強された筋肉のすべてが魔法障壁特有の輝きを帯びていた。
まるで、マッチョなスタイルをしたサイボーグにでも変身したみたいに、
全身の筋肉がメタリックな光沢を帯びて光り輝く。
「【反魔鋼体】とでも名付けようか」
《魔法攻撃を無力化する『魔法障壁』
本来、防御専用であるその呪文を《《筋肉》》として纏う事によって、攻防一体の技へと昇華した?
また、奇怪な新呪文を発明しましたね》
明らかに怯えた表情の獣人兵たち。
それでも、攻撃の意志は失っていなかった。
遠距離から、自分の毛皮の属性魔法と自前の闘気を組み合わせた、【魔法オーラ弾】を次々と放ってくる。
それらの強力な飛び道具を、
俺は顔の前の蝶々《ちょうちょ》でも避けるみたいにして柔和な仕草で振り払っていく。
……………ぱひゅっ!!!!!
……………ぱひゅんっ!!!!!
盛大な勢いで迫っていた魔法オーラ弾の全てが、
俺の身体に触れた瞬間、シャボン玉みたいに呆気なく消滅した。
「もうネタ切れか?ああん?」
宇宙から飛来した未来のサイボーグ戦士みたいに、
全身の筋肉から独特な光沢を放ちながら、
俺はニヤニヤとせせら笑ってやる。
先頭にいた赤い毛並みの獣人戦士が、意を決して肉弾戦を挑んできた。
並みの人間なら一瞬で撲殺し、焼き尽くせる炎の拳。
それを全て軽々と外して……………
……………ドンッ!!!!!!
赤獣人の腹部に掌底をお見舞いしてやった。
「が……………ふっ…………………………」
獣人の赤い毛並みが、一瞬で雪のような真っ白い色に戻っていた。
ごわぁああああああああ……………!!!!!!
白くなった獣人の背後に、巨大な炎がカーテンみたいに広がっている。
俺の掌底……………【反魔鋼体】による掌底を浴びて、全ての魔法効果が打ち消されてしまったのだ。
どさ……………
獣人戦士がそのままうつ伏せに倒れ込んでいた。
完全に白目を剥いて気絶していた。




