獣王襲来 【亜人種強制収容所編】 その10
ごぉおおおうっ!!!!!!!
噴火中の火山が、擬人化してぶん殴ってきたみたいな絵ヅラだ。
豪炎の乗っかった拳を、
宙に飛び上がって、後ろに思いっきり反動をつけながら
オーバーハンドで振り下ろしてきた。
ズボンッ!!!!!!!
大地の焼け焦げる匂いがする。
燃え上がりながら陥没する地面。
巨漢力士を百人くらい埋められそうな大穴が生まれている。
「アチッ!!あちちちち!!!!」
そうとう、余裕をもって回避したはずなのに肩とか腹のあたりに焦げ付くような痛みを感じた。
熱風だけで火傷。
炎獣人の殺傷力、侮り難し……………
真っ赤な燃える獣人は牙を剥いて、憎々しげな表情で俺を睨んでいる。
《ただの魔法攻撃なら、大魔王であるマサムネさんならオール無効化してしまえるのですが…………
ワンコ戦士の物理攻撃と組み合わさる事によって、魔法が大魔王の無効化スキルを突き抜けてくるようです》
ぎゅるららららららら……………!!!!!!
体幹を軸に、コマみたいに高速回転しながら、
電撃を身に纏った獣人戦士が回し蹴りを仕掛けてきた。
ヘリコプターのプロペラみたいに回転しながらの連続蹴りだ。
その蹴りの一撃一撃が、稲妻みたいな威力を秘めて帯電している。
《さながら【雷刃 竜巻旋風脚】ですね》
雷撃を吸収しているせいか、速力がさっきとは比較にならないくらい爆上げされていた。
完璧に空転させるのは無理だ。
俺は両腕をキッチリ上げて、
…………どすんっ!!!!!!
電撃を帯びた強烈な回し蹴りを受け止めた。
重い蹴りだ。
加えて、電撃のダメージも上乗せされる。
「……………リトさんの電撃に比べりゃ、ヌルいぜ」
ぜんぶ受け止めた上で、ニヤッと笑ってそう《《蹴りレポ》》してやると、
黄色い毛並みの電撃ワンコは驚愕に目を見開いていた。
《リトさんとの日頃のSMプレ……………いえ、《《ビリ活》》の成果が現れましたね》
なんスか、リトさんとの『ビリ活』って。
てか、必ず一個は新語を生み出さなきゃいけないノルマでもあるんスか?俺ら。
二匹の炎獣、雷獣の背後から、新しいバリエーションのワンコ戦士が飛びかかってくる。
真っ青な毛並みをした、氷を身に纏いし氷獣。
そして薄い緑色の毛並みをした風を身に纏いし風獣。
氷結魔法と、風刃魔法をその毛皮で吸収した2体だ。
《まるで、戦隊モノですね。
魔法戦隊マジレンジャー。
魔法の毛皮のワンコたち》
その新規の2体は、まるでプロレスの合体技みたいに、その筋肉質の肉体を息を合わせて連動させる。
ラリアットを、2本の腕をXのカタチに組み合わせるようにして、同時に仕掛けてきた。
風刃と氷雪。
その2つが合体することによって、特大の氷嵐が発生していた。
数千個の氷雪の風刃が吹き荒れる、凶悪なブリザードだった。
避けるには広範囲すぎた。
俺は、体重を乗せて、腰を入れた、渾身のアッパーカットを目の前の氷嵐にブチ込んでいた。
……………ッパン!!!!!!!!!
アッパーカットの威力だけで、特大の氷嵐が雲散霧消していた。
次の瞬間には、微かに氷刃の欠片が空気中にキラキラ舞っているだけだった。
《パンチ一発で氷嵐消滅って。
どんだけ鬼畜なパンチ力なんですか?》
顎が外れんばかりに大口を開けて、カラフルな獣人たちが唖然呆然としている。
同時に、彼らの身体にブルブルと身震いが走った。
《あのパンチを自分たちに向けられたが最後…………一撃で微細な肉片に加工される。
闘争選良の彼らだからこそ、その実力差を骨身に染みて感じ取ってしまうのでしょうね》
「悪ぃ…………最近、もっとSっ気が強くて性悪な吹雪を潜り抜けてきたばっかりなんだわ」
【雪の女王の体内】とかいう鬼畜すぎる氷雪地獄をな。
「気をつけるニャ!!!!!」
ロゼッタの声がかかる。
「相手がどれだけ強敵であっても、自分よりも遙かに上手の相手であっても、決して闘いを諦めない……………
その命が尽きるまで勝利を目指し続ける……………
それがタルパカスの戦士たちだニャ!!!!!」
…………そんな厄介な精神性の相手を、誰一人殺さずに救い切る?
これ、無理ゲーじゃね?
《自分で言い出したんだから、やり遂げましょう》




