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獣王襲来 【亜人種強制収容所編】 その8

□□




「レオニダス様……………」




さきほどの、美しい姫が自分の腕のなかにいた。




獣人族の女性の甘い体臭を、鼻の粘膜に焦げ付くほど濃密に感じている。



しっとりと滑らかな肌と柔らかな体毛が、一分の隙も無く自分の肌と密着している感覚。



二色の絵の具を混ぜるようにして溶け合っている互いの体温。



なにもかも終えた後の気だるい充実感と、安らぎが胸のなかに揺蕩たゆたってる。




大天幕の病棟のなかで見た、高貴で気高い表情とは打って変わって、


とろけるような愛らしい表情、


可愛らしさ、愛嬌を、蜜みたいに満々と溜めた美貌で、こちらを上目遣いに見つめてくる獣人族の女性。



ベッドのなかで、余韻に浸っている一時。





「お慕いしています……………レオニダス様」





たくましい胸が、甘く疼く。


人生のなかでこれ以上はあり得ないってくらい完璧な、歓喜の瞬間。




「あなた以外を愛することなど……………いまは考えられません」




世界のすべてを手にしたような幸福感と、拭い切れない汚れみたいに心の一部にこびりついた負い目。




「……………カサンドラ」




この奇跡みたいな幸福を、本当に自分なんかが受け止めてしまっていいのか、


獣王は心中で激しく葛藤している。




□□




「……………カサンドラ」




俺は獣王の心情と同期シンクロしたまま、つぶやいていた。



手は、愛らしいカサンドラ姫の幻影を追って、目の前に伸ばされている。



自分が、マサムネで、強敵 獣王と戦闘中の身の上だって事が完全に頭の中から消し飛んでいた。





ハッと、正気に返る。



異様にリアルな、現実感覚が無くなるぐらい強烈な『白昼夢』のなかにでもいたみたいだ。



一瞬、自分とレオニダス王の区別がつかなくなるぐらいに。





《マサムネさんって、



ちょくちょく誰かの人生経験を追体験するって形で、




【追憶浮気】



【懐古不倫】



をしていますよね。



【魂のヤリチン】ですよね》





追憶浮気!!!?



懐古不倫!!!?



魂のヤリチン!!!!?




耳慣れないフレーズを一度に3つもぶッ込んでくるなよ!!!!?






目の前に、雪のように白い毛並みの獣人族たちが急迫していた。




「のわっ!!!!!」





寝起き直後以上に視点が定まらないなか、



6匹の獣人族たちが容赦の無い猛攻を仕掛けてくる。




よく連携された波状攻撃。



サッカーの世界的強豪チームの攻撃オフェンス陣くらいピッタリと息が合っている。



白いイヌ科獣人たちのしなやかな筋肉が躍動する。


若々しい狼男ウルフガイたちの腹筋シックスパックがあでやかに伸縮する。




《…………眼福ですな》





少しは緊張感を持て!!!!!




なんとか、皮一枚で爪や牙による攻撃をかわしまくった。



我ながら曲芸的なディフェンス。



これだけでも金がとれる領域レベルのスーパーアクションだった。





《半裸オトコと半裸イケメン獣人たちの肉弾戦。


これ、なんていうゲイビデオですか?》




世界を見つめるフィルターが巨神兵ばりに腐れ落ちてるな。


ベテラン腐女子め。




《誰が貴腐人だ?あぁん?》




俺の回避行動の傾向をいままでデータ収集していたのか、


さらに連携が精密になっていった。



異常に高いバトルIQ……………



こいつら全員、バトルマスターだ。




ついに、避けようがないタイミングで波状攻撃を仕掛けてくる6匹の獣人族たち。



これが、ただの白ワンコなら愛らしい光景なんだが。




《微笑ましい動物映像ですね。これがただの白ワンコちゃんだったら》





リトさんの悲鳴が聴こえる。




完璧な全方位攻撃が俺を捉えた……………



そう見えた瞬間。






「ばっ!!!!!!!!」






俺は、両手を広げて、体内の暗黒闘気を全開放していた。





……………ドギャウッ!!!!!!!





それだけで、小型の核融合エンジンが臨界点を突破したような超エネルギーが俺の周囲10メートルに放散されていた。



真ん丸とした、漆黒の満月が出現したかのように。




俺を包囲していた6匹の白ワンコ戦士たちが、四方八方に弾き飛ばされた。





《なんていう理不尽な危機回避方法。ワンコ虐待ですよ》





……………あのまま八つ裂きにされてたら良かったんですかい?




6匹の獣人戦士たちは。それぞれ吹き飛ばされた先で信じられないような運動能力を見せつけて、すぐさま態勢を整えていた。



そして、その奥から、何事も無かったみたいな平然とした顔で獣王レオニダスが歩いて来ていた。




「…………あれ?おかしいな。


確かに脇腹レバーを粉砕した手ごたえがあったんじゃがのう」





《この短時間で完全に治癒してしまったという事ですか……………》





なんだ、そのチートな回復力。





《『不死身能力』と見分けがつかないほどの超『回復力』です》





…………ガチで不死身属性だったりしてな。




不敵な笑みを浮かべた獣王レオニダスは、ポキポキと首を鳴らしていた。



獣王の頭部にへばりついたキノコ状の寄生生物……………


そこに、人面が浮かび上がっている。


その気色の悪い人面キノコが、レオニダスの表情をトレースしたみたいに全く同質の笑みを浮かべていた。







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