軍艦遊郭の姫花魁 その9
後ろの燃え上がる海を振り返りながら、ぽわんとした表情をしているエスメラルダ。
空いてるの方の手でその背中をぽんぽん叩いてやった。
「あひぃっ!!!!」
俺の背中にしがみつきながら大きく身体を跳ね上げるエスメラルダ。
……………なんだよ、大げさな。
《今の自分が魅力値の鬼神になってることを少しは自覚したほうがいいですよ。
女子刑務所に6年入ってる男日照りの女性に、歌舞伎町ナンバー1ホストが半裸でハグしてるようなもんですよ、今の》
どういうシチュエーションだよ!!!!?
「エスメラルダ、手を貸せ。
……………お前の異能は、役に立つ」
目を見つめてそう言うと、
頬を赤く染めて一瞬フリーズするエスメラルダ。
「…………な、なによ、それ!!!
上から目線で!!!偉そうに!!!」
すぐにいつもの小生意気な態度を取り戻した。
異能【幻想の海】
眼帯の奥が光り輝き、
エスメラルダの異能が発動する。
空中、地面、天井、壁。
空間のどんな場所にでも《《海面》》を出現させる。
それがエスメラルダの異能だった。
大空に向かって、
天国へ昇る階段みたいに、エスメラルダの幻想の海面が出現する。
俺は、サーフボードでエスメラルダの生み出した異能の海面を超高速で滑走する。
ドドドドドドドドド……………………
巨人海賊船団《パイレーツ オブ タイタン》が山を穿ち、城郭を一撃で貫通させるような強大な砲弾を無数に乱射してきた。
だが、まるでサーフボードで大空を駆けるみたいに遥か上空の《《海面》》を滑る俺とエスメラルダにはかすりもしない。
エスメラルダの異能が、そこに海面を生み出す限り、
俺のサーフボードが描く軌道のバリエーションは理論上、無限だった。
砲弾が、俺が滑る先を予測して放たれてきても、
海面はどんな複雑な軌道にでも曲がりくねったり、螺旋を描いたり、はたまたUの字を描いて戻ったり、変幻自在だった。
《なんという相性抜群の能力…………………!!!
お互いの能力を、数倍にして引き出しあうような最高の組み合わせ!!!!》
背中にいるエスメラルダと、どんどん呼吸が合っていくのが分かる。
まるで、2人で1つの戦闘生物になったみたいに、どんどんエスメラルダの鼓動と俺の鼓動がシンクロしていく。
俺は、異魔神ポケットから2本の神剣を引きずり出した。
堕天十神剣
聖闘神剣
2本の超チート級 神器に、自分の魅力値を攻撃力に変換した膨大なパワーを流し込む。
【チャームソード】
ピンク色のオーラが神剣のさきでレーザーブレードみたいに展開し、両刀の刃渡りは5メートルにも達した。
大空に描かれる海の道を雷電のスピードで滑走し、
両手の神剣で左右を行き過ぎる巨人船を滅多切りにする。
ドッン!!!!!
ドン!!!!!!!
ズドッ!!!!!!!!!
海上に、いくつもの爆裂の花が咲いた。
「…………こんっの…………
小賢しい蠅がぁああああああああああ!!!!!!!」
アダマンタイト・フルプレートの漆黒の旗艦から、女の発狂した声が響き渡ってきた。
「………………一気にケリをつけるぞ」
背中にひっついたエスメラルダにささやきかけると
「あいよっ」
うなずくエスメラルダの声は、少し楽しげに上ずっていた。




