軍艦遊郭の姫花魁 その4
珍しく緊張して硬い面持ちになったゴルディアスがいた
指令室で、ジッとレーダーの反応を見つめている。
歴戦の強者をこんなにも緊張させる相手…………相当な敵らしい。
「お前らの持ってる例のモノが…………いらねえ客を呼び寄せちまったみてえだ。
タダでは絶対に帰らねえ、なかなかに厄介な不帰の客だ」
―――秘石
秘石の反応を追ってきた相手か。
リトさんが秘石をおさめた袋を無意識に抱きしめる。
にしても7つの海を制覇した海賊王にここまで言わしめる敵…………ちょっと緊張してきた。
「…………まさか。アイツらなの?」
愛娘の問いにゴルディアスはうなずく。
「この肌触り。ざらざらした感覚。海の表面を這ってくる腐臭…………連中が来やがった」
「…………親父の…………長年の宿敵」
エスメラルダの震える唇が敵の名を口にする。
―――巨人海賊団《パイレーツ オブ タイタン》
「…………巨人………海賊団?」
「その名の通り…………人間をむさぼり喰い、主食にする巨人族で構成された最強最悪の海賊団ニャ…………」
えげつな…………
巨人にして海賊団って…………どっちかにしろよ。
凶悪なもんを2つくっつけてどうすんだよ…………
大海原の向こう側に、山脈みたいに巨大なシルエットが見えてくる。
海に浮かぶ城郭みたいな、とんでもない大きさの海賊船。
巨人海賊団《パイレーツ オブ タイタン》の海賊船は、
船もまた巨人サイズなのだった。
逃げ場所の無い海での戦い。このサイズ感の違いはそのまま武力の違いに相当するんじゃないか?
あの超巨大海賊船で巨人たちが港町に上陸し、人々をむさぼり喰う。
悪夢みたいな情景が頭に浮かぶ。
甲板で立ち働く船員たちは、これから交戦する相手の正体を知って泣きべそをかきそうになっていた。
「遊廓にたどりつくまで…………死んでたまるかよぉおおおお!!!!!」
「死ぬときは…………遊女たちの柔らかい胸のなかだ!!!!!」
「よりにもよってなんで今!!!!?神様のイジワル!!!!!」
船員たちの涙が太陽にキラリと光る。
《夏の甲子園を戦う高校球児並みに純粋な涙ですね。
サイダーのCMに使えそうです》
…………どこが?
《ダイヤのエース 遊廓編》
それ絶対に2つの違うアニメが混じってる!!!!!
「大義も…………志も無え…………。
ただ、ひたすらに略奪を楽しみ弱い人間をもてあそび喰らうだけ…………。
お前ら下品な巨人海賊団《パイレーツ オブ タイタン》が、ワシの航路を塞ぐなどと…………」
ロリッ娘海賊王の身体から、紫色の霊気が漂い出てくる。
見た目はただの美幼女だけど、その風格は確かに歴戦の海賊王のものだった。
ゴルディアスの小さな身体から漂い出る紫色の霊気がさらに膨大な量に膨れ上がった。
海賊王の異能が発動しようとしている…………!!!!
「100年早いんじゃぁあああ!!!!!!!」
海賊王の身体が紫色のダイヤモンドみたいに光り輝きはじめた。




