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ぼくのいない世界



走った。



ぐちゃぐちゃの心で。



走った。





まわりの生徒が悲鳴をあげてる


俺は泣きながらユキナに走りよると、



アスファルトに叩きつけられてグッタリしているその身体を抱きしめた




自分の命とひきかえにしてもいい、


そう思いながら全身全霊をこめて回復魔法を流しこんだ



俺は、何をしに、この時代に戻ってきたんだろう



自分だけ、良い人生を送って、大好きだった幼なじみを苦しめるため?


大好きだった女を自殺まで追い込むため?



こんな事のために俺は、タイムリープして2度目の人生はじめたのかよ?




身体は完全に回復させた


でも、傷ついた心はそのまま



このままじゃだめだ




俺はステータス画面をひらき





【虚無の左手】


《この左手で一撃をくらえば、人生が一掴み分、削り取られる。


記憶だけじゃなく、人生の一部そのものを相手から剥ぎ取り、奪い去る。


相手から剥ぎ取った人生は自分の一部として同化することが出来るし、捨て去る事も可能》




虚無の左手を発動させた



左手が、


紫色の炎をおびた。




眠ってるユキナの額に手を置く



俺は、【虚無の左手】で


ユキナのなかから



俺という存在そのものをった



そもそも、ユキナの人生のなかに、俺という人間は存在しなかった


スズキマサムネという人間に会ったことも無ければ名前を聞いたことも無い




今、ユキナはそういう状態になった




さらに、俺は【時わたりの呪法】を発動させる




大魔王のスキルツリーが覚醒してから



【時わたりの呪法】はその能力をさらに進化・拡張させていた




過去に戻ったり


未来に行ったり


自分の意識を、時の流れのなかで移動させるだけじゃなく



身体ごと過去や未来に飛翔したり



パラレルワールド


つまり、あり得たかも知れない可能性の世界


無数に存在する、今とは少しだけ違う時間軸



そのパラレルワールドの束を


スマホに保存されたムービーをながめるみたいに


上から一覧表示してながめる事ができるようになった


ながめるだけじゃなく、


その今とは少しだけ違う時間軸の束


パラレルワールド間を移動して


わたり歩く事さえも




パラレルワールドのなかには


色んな世界が存在した



俺がもっと世の中と上手く折り合いをつけていて、ちゃんと大学をでて、大企業につとめてる世界



ブラック企業に就職したはいいけど、心がぶっ壊れるまでこき使われて精神病院に入ってる世界



今とほとんど変わらないけど交通事故に遭って半身麻痺になって車椅子生活をしてる世界




ほんとに人生いろいろ



両親が出会うことなく、お互いに別々の相手と結婚して、そもそも俺が生まれなかった世界さえも



パラレルワールドの束のなかには存在した




俺はユキナを抱きしめたまま時わたりを開始した




《《俺が存在しない時間軸セカイにユキナを送り届けるために》》







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