ユキナの告白
しかし、あの氷像いつになったら溶けるんだろう?
東京スカイツリーぐらいの高さの氷像が朝陽をあびて
水晶のタワーみたいに光ってる
ほら。俺がギャングとの戦いのときに最下級氷雪魔法がつくった氷像ね。
教室の窓からもはっきり見えるんスけどwww
突然、あらわれた謎の氷山とかいって全国ニュースになって
観光客が押し寄せてるらしい
テレビの取材クルーも殺到して
氷像のまわりにはお祭のときの屋台がたくさん出てるみたい
近くの商店街にも観光客がながれて地元の経済がめちゃくちゃ潤ってるらしい
まさか、異世界で身につけた異能が地元の経済を救うことになるとはwww
そうだ。観光客を呼ぶために次はドラゴン召喚してみるか
いや、経済のまえに地元が壊滅するwww
1人でニヤニヤしてたら担任にチョークを投げつけられた
ぜんぶマトリックス避けしてやった
見たか、異世界パワー。はっはっはっ
あれ?なんか能力ムダ使いしてない?
久しぶりになんのトラブルも無く、平凡な義務教育生活を満喫できると思っていたのだが………
□□
放課後。学校の屋上。
俺はユキナに呼び出されていた。
「わたし、やっぱりマサムネのことが好きみたい」
…………正気か?
嫌な予感を感じつつも、幼なじみのよしみで仕方なく来てみたら
やっぱりあなたが好きでしたって。
キツいって
色んな意味で
前フリが効きすぎてるって
あんな事があって、乗りかえようとするか?普通?
抱きついてくるユキナ
怖い、怖い、怖い
そっと引き離した
ひどく傷ついた表情
こっちが傷つくよ。大好きだった人に、こんな態度とらなきゃいけないって。
しんどいわ。
涙ぐんだ俺の表情を見て
脈ありとカン違いしたのか
ユキナはもう一度抱きついてくる
「ごめん。お前と付き合うとか絶対にありえないから」
そっとユキナの身体を引き離して、
ちゃんと伝えた。
顔をくしゃくしゃにして泣き出すユキナ
大好きだった幼なじみに、こんな言葉を伝える日がくるなんて…………
想像もしてなかったよ
前世ではさ
ユキナを傷つけるくらいなら、自分の人生を破壊して引きこもるほうを選んでたのにな
なんで告白なんかしてくるんだよ
お互いにそっと離れてけば、傷つかずに済んだのに
俺の誤解で、ほんとはユキナは林田なんかと付き合ってなかったんじゃないか?って
そんな可能性も考えた
でも、海水浴場で林田と一緒にいるところを目撃されてたり
夏祭りで手をつないで歩いてるところを目撃されてたり
ユキナが林田と付き合ってたのは動かしがたい事実みたいだ
そういう目撃情報をマメに伝えてくるのがクラスのほかの女子ってのがまた
魂胆が透けて見えて笑っちゃうけど
ひざをついて泣き崩れるユキナ
俺はそのまま立ち去ろうとした
「なんで、もっと早くその顔にならなかったわけ?」
背中に声をあびせられる
「なんで夏休みまえにその顔でわたしのまえに現れなかったわけ?」
「…………」
「ぜんぶ手遅れになってから、ほかの男のモノになってから、変身してきてさ。なにそれ、復讐のつもり?
カッコ良くなってからわたしの前でほかの女とイチャついて。当てつけてさ。
そんなにわたしの事、怨んでたんだ?」
なにも、言いわけする気力が湧かなかった
ただ、変わってしまった幼なじみの顔をながめた。
見た目、見た目、見た目…………
お前、俺の中身なんか何一つ見てくれないんだな?
「わたし、あんたの事、一生うらんでやる。絶対にあんたの事、あきらめてやらないから。ほかの女のものになんか絶対にさせない。あんたのまわりの女、全員殺してやる」
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