現実世界に戻ってみた
見なれた天井だ。
我が家。
なんだ夢だったのか。
異世界転移?ははは。
あんなの夢に決まってるよな
相変わらず俺は元イジメられっ子のニートで
童貞で。
孤独死確定の社会のゴミで…………
ゴミで…………
ゴミで…………
なんじゃこりゃぁ!!
自分の身体のかたちが変だった
腹筋がバキバキに割れている
海外のモデルみたいにバキバキに割れている
足も変だ。やたら長い。長いだけじゃなくて無毛で、スベスベで、美しい筋肉がのっている
朝だよーっていつもどおり起立してる股間のかたちもおかしい
パンツの山が高すぎる
せいぜい高尾山くらいのサイズだったのに
チョモランマ級の高さになっている
思わずパンツをおろした。
俺は怖くて泣きそうになった
子供がお父さんの戸愚呂100%状態のイチモチを初めて見たときみたいな衝撃だ
エロマンガのなかでしかお目にかかったことが無いような巨大なものがそこにあった
俺は洗面所に駆け出した
鏡にうつる自分の顔を見て、がく然とする
誰だよ、こいつ
とてつもなく綺麗な男が鏡に映っている
俺なんかとは似ても似つかない、
ファイナルファンタジーの世界にいても浮くぐらい完璧な美形の男
俺といったら30前にしてもう中年を先取りしてるような、若ハゲ気味のクサそうなオッサンだったはずなのに。
あまりにも美しすぎて、しばらく見とれた。
抱ける!と変な角度で確信する
狂ったように自撮りした
どっかどう撮っても超絶のイケメンが映ってる
テンションが上がりすぎて
変態ナルシスト状態だった
裸でいろんなポージングをする
いつに日にか、彼女が出来たときに着せようと思ってひそかに買っておいたコスプレを押し入れの奥から引っ張り出す
メイド服だ。
女装してみた。
信じられないぐらい可愛いリアル男の娘が鏡に映っていた
加工なんか一切していないのに。そのまま2次元から出てきたみたいだ。
「コスプレ界の神になれる!」
いや、なってどうする。
あまりにも可愛いので、ずっと放置状態だったインスタグラムにコスプレ写真を投稿してみる
いや、正気じゃなかったんだ。夜中のテンション。
ちょっと、出かけてみるか……
なんとなく誰かに自分の新しい姿を見て欲しかった
そんな事思うのは生まれて初めての経験だった
□□
渋谷。
電車内ではフードをかぶってマスクをしていたのを、スクランブル交差点の手前で外した
「えっ」
1番、身近を通り過ぎようとしていた女の子が声をあげた
渋谷のスクランブル交差点が、止まった
自分を中心にして、津波みたいにまわりに衝撃が広がってく
世界中で顔が知られてるスーパースターが登場したみたいに、
いや。それ以上か。
イエス・キリストとか、ブッダとか、そのぐらいのインパクトなのかも知れない
これが、魅力値カンストの力なのか。
ほとんど、神の領域
俺が歩くと、その周りにいる人々が自然と道をあけた
スクランブル交差点が、ひらけていく
モーセ状態。
全員が俺を見つめながら、
道をあけていく
痛快、を通り越してだんだん恐ろしくなってくる
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