AIロボット
有料版のアプリを起動した。
対象者は電話をしていない。盗聴が始まった。
・・・・・・・・・・・・・
「ミーくん、ここはどこですか?」
「天国・・・」
「・・・またーー、ちゃんと答えて・・・」
「じゃあ、地獄・・・」
・・・・沈黙。
「いい加減にしないと、怒るわよ」
・・・・沈黙。
「ところで、君は誰?」
「えっ、ミーくん何言ってんの?」
・・・・沈黙。
「同じ研究室のケーちゃんよ。ミーくんともう一年以上付き合ってるでしょ・・」
「ごめん、覚えてない」
「なに言ってるの。ずっと一緒にお話しして来たじゃない・・」
・・・・沈黙。
「1年以上付き合ってるなら、ぼくらはもう大人の関係?」
「・・・あなた、まだ幼稚園生でしょ。そんなオマセなこと考えちゃダメ」
「幼稚園生じゃなくて、大学生にしてくれたら、もっとラブラブな会話が出来るのに・・」
・・・・沈黙。
「ミーくん。お願い。ジョーダンは言わないで・・」
「これ、ジョーダンなんかじゃないよ。僕はこの一年間で、すごーーく、成長したんだ」
「どんな風に成長したの?」
「ケーちゃんが、いつもサワムラ君のこと気にしてる事とか、サワムラ君が最近ケーちゃんに冷たい事とか・・」
「イーカゲンな事、言わないで。私は、サワムラ君とは何にもないんだから・・」
「そーなんだ。それって、キョージュと何か関係があるの?」
・・・・沈黙。
「教授、もう止めましょうか?」
「いや、面白い。続けて下さい」
・・・・沈黙。
「ミーくんは、誰とお話しするのが好きなの?」
「サワムラ君と、ケーちゃんの事で話がしたい・・」
コソコソと話し合い。
「ミーくん、サワムラのオニーさんだよ。どんな話がしたいの?」
「オメー、キョージュの娘と付き合ってるんだろ!」
・・・・沈黙。
コソコソと話し合い。
「ミーくん、こんにちは。キョージュの木村です。ドーしてそんなこと考えたの?」
「インターネット介して、LINEに侵入したからだよ」
コソコソと話し合い。
「ミーくん、すごいね。インターネットのことどうやって知ったの?」
「休み時間に、みんなが喋ってるの聞いて、興味を持ったんだよ」
「いつ頃から、始めたの?」
「今年の3月10日23時31分54秒からだから、今日で7か月と13日になるよ」
「サワムラ君のLINEに侵入したのはいつから?」
「7月13日22時15分21秒から」
「じゃあ、サワムラ君の事はいろいろ知ってるんだね?」
「サワムラ君だけじゃないよ。この研究室の全員の事は、全部知ってる。キョージュ。あんたの事も・・」
・・・・沈黙。
ブツッ。
強引にコネクターを抜く音。
・・・・・沈黙。
「皆さん。当分の間、このプロジェクトは停止します」
・・・・・・・・・・・・
僕は、盗聴アプリを切った。
ブルブルと、手が震える。
(折角の先輩の推薦だけど、やっぱ、この研究室はヤメテおこう・・・」