お堅いのがお好き
無料版のアプリを起動した。
アプリ側が勝手に選択した電話番号につながった。相手の電話番号は表示されない。
相手は電話をしていない。盗聴が始まった。
全く知らない他人の会話。胸が高鳴る。
・・・・・・・・・・・・・
「上田さんでしたね。本日はどんなご相談ですか?」
「はい。実はxxxx」
「上田さん。そんな小さな声では聴きとれないんですけど」
「すいません。実は、私のレイプの件です」
「れ、レイプ・・・。失礼ですが、あなたがレイプされたんですか?」
「はい。私がです」
「・・・大変失礼ですが、上田さん、レイプの意味はご存じですか?」
「も、もちろんです。私、寝込みを襲われて、無理やり手籠めにされてしまったんです」
「て、手籠めって・・・。て‐ごめ【手込め/手 ▽ 籠め】 1 手荒い仕打ちをすること。 力ずくで自由を奪い、 危害 を加えたり物を略奪したりすること。 2 暴力 で 女性 を犯すこと。・・・いう意味ですが、1番ですか、それとも2番ですか?」
「当然、2番です」
「ま、まさか・・・。あっ、これは失礼しました。それで、・・・犯人に心当たりはありますか?」
「はい。主人です」
「ご、ご主人に手籠めにされたんですか。・・・・大変恐縮ですが、何年振りくらいに手籠めにされたんでしょうか?」
「・・・最後のチョメチョメが、35歳の時でしたから、およそ41年ぶりでしょうか・・・」
「・・・と、言うことは、上田ウメさんは現在76歳ですね」
「はい。突然のことで、本当にびっくりしました。しかも3回も・・」
「さ、さんかい・・・・!!」
……沈黙。
「コホン。・・・ご、ご主人がその41年ぶりのチョメチョメを決行するにあたって、何か原因なり、兆候の様なものはあったんでしょうか?」
「恐らく・・、最近始めたインタラカンタラのヨウツベが原因ではないかと・・」
「い、インタラカンタラのヨウツベ・・・?」
‥…沈黙。
「あのー、もしかして、インターネットのYOUTUBEのことでしょうか?」
「は、はい。たぶん・・」
「その、ヨウツベはどんな内容だったんでしょうか?」
「忘れるといけないんで、メモして来たんですけど。こんな内容でした」
「どれどれ・・・。む、ムムム・・・。ちょっと読んで見ますね・・・。飲む男性ホルモン。ムスコ増大。ふむふむ・・・。1日3粒でバキバキ絶倫。・・・ふむふむ。82歳が年下妻と3回戦・・・」
「主人は、昔から生真面目な人で、やると決めたらとことん誠実に実行するタイプの人間なんです」
「ご主人のお歳は?」
「82歳です」
「つまり76歳のウメさんは、6つ年下の妻・・・」
「私が小学1年生の時に、夫は中学1年生でした」
「そういう淫乱的な水平思考は危険です。誤解を招くので止めてください」
「す、すいません。私、とても混乱していて・・・」
……沈黙。
「・・・ところで、本日のご相談の件ですが・・・。ウメさんとしてはどうされたいんですか?」
「あの薬を取り上げて、使えなくして欲しいんです」
「合法的な薬の場合は、少し難しいかと・・・」
「・・・初めのうちは、私のカラダで満足していたみたいなんですけど、このところそれでは満たされなくなったみたいで、障子のあちこちに穴が開くようになってしまいました。さらにおとといは、フスマにも挑戦した跡が残っていました」
「・・・・・」
「・・・茶飲み友達のフサエさんが来た時のことですが、股間を膨らませたサルマタ姿で現れて、フサエさんに求愛のダンスを繰り返しました・・。ちなみにフサエさんは85歳です」
「非常ーーーに危険な状況ですね」
「主人が性犯罪を犯さないうちに止めたいのです。先生、何とかお願いします」
・・・・・沈黙。
「インタラカンタラで調べたところ、その薬はこげ茶色の丸い形状ですね。においも大変キツイと書いてあります。ですので、この薬と入れ替えてください」
「体に悪いことはないですね?」
「大丈夫です。正露丸ですから」
・・・・・・・・・・・・・・・・・
俺は盗聴アプリを切ったつもりだったが、1週間もつながったままだった。
「先生、先日はどうもありがとうございました。おかげさまで主人は以前の状態に戻りました。しかも、正露丸のおかげで胃腸の調子もいい見たいです」
「それは、よかったですね。お大事にしてください」




