スタバじゃないのよフロバだよ2
無料版のアプリを起動した。
アプリ側が勝手に選択した電話番号につながった。相手の電話番号は表示されない。
相手は電話をしていない。盗聴が始まった。
全く知らない他人の会話。胸が高鳴る。
・・・・・・・・・・・・・
「お母さん、ここよ。これが今話題のフロバよ」
「私はスタバの方が良かったんだけどね・・」
「お帰りなさいませ、奥方様、お嬢様」
「二人、隣同士の席でお願いします」
「畏まりました。15番と16番の席へどうぞ」
「あら、カウンター席なのに、襖で仕切ってあるのね。これじゃあ、マリちゃんとお話し出来ないじゃない」
「大丈夫。小窓が付いてるから」
ススーー。
「ほら、私の顔、見えるでしょ」
「見えるけど、私の目の前には簾が掛かってるからなんか殺風景よ」
「カウンター手前のボタンを押すと、簾が上がって日本庭園がみえるわよ」
ポチッ。
スススススー--。
「あっ、ホントだ。素敵な庭園ね」
「注文できるのは抹茶のホットと、抹茶ラテだけなんだけど、今日は抹茶のホットにしてね」
「えっ、なんでだい」
「それは後のお楽しみ・・・」
「お嬢様。ご注文はお決まりですか?」
「はい。抹茶のホットをお願いします」
「お茶を立てる人をタレントの中から選べますが、どなたになさいますか?」
「あっ、はにわ男子のミーチーがいる。私、ミーチーにしてください」
「畏まりました。しばらくお待ちください」
「ね、お母さんは誰にしたの」
「まだ決まってないのよマリちゃん手伝ってよ」
「お母さん、ラストサムライに出てた俳優のファンだったわよね」
「そうそう。ひろゆきね・・。あれ、口の下に髭はやした人出て来たけど・・」
「お母さん。その人じゃないでしょ。真田広之でしょ」
「あっ、出て来た。まるで本人がそこにいるみたい。超カッコイイ」
ぺろぺろ。ぺろぺろ。
{{あれ、これは何の音だ。あっ、この女の子ミーチーが触ったお茶碗舐めてるぞ}}
べーろべーろ。べーろべーろ。
{{これは、隣のお母さんの舐めてる音かな? なんか、粘着性と執念がこもってる気がする・・}}
{{てか、いくら映像が本物みたいでも、実際にお茶立てたのはここの従業員だろ。それぐらい気づけよ・・}}
「結構なお手前で・・・。ぺろぺろ」
「結構なお姿で・・・。べーろべーろ」
「おかあさん。どうだった?」
「よかったよマリちゃん。こんないい男、目の前で見れるなんて、もう死んでもいいくらいよ」
「もう一杯頼んじゃおうか」
「もちろん、もちろん」
「すいません。もう一杯お願いします」
「お嬢様。残念ですが、茶道の作法ではおかわりは出来ません」
「そうなんだ。じゃあ、また来るしかないわけね」
「もし、もう一度ミーチーさんにお会いしたいなら、抹茶ラテを注文すると一緒に飲んでくれますよ」
「えっ、一緒に飲んでくれるの?」
「あの、一緒に飲むと言っても、ミーチーさんの飲むのは映像の抹茶ラテですが・・・」
「も、もちろん。それで十分です。また、ミーチーの笑顔がみれるならそれで十分です」
「お母さん。聞いてた?」
「もちろんだよ。私も、ひろゆき・・、じゃなくて、真田広之でお願いするわ」
・・・・・・・・・
ぺろぺろ。ぺろぺろ。
べーろべーろ。べーろべーろ。
{{なんだ、こいつら今度はなにを何を舐めてんだ・・・}}
ぺろぺろ。ぺろぺろ。
べーろべーろ。べーろべーろ。
{{まさかこいつら、液晶画面のミーチーと真田広之舐めてんじゃネーだろうな・・}}
{{サカリか? この母娘サカリの付いた犬の化身なのか?}}




