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盗聴アプリ  作者: マーク・ランシット


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39/49

スタバじゃないのよフロバだよ2

 無料版のアプリを起動した。

 アプリ側が勝手に選択した電話番号につながった。相手の電話番号は表示されない。


 相手は電話をしていない。盗聴が始まった。

 全く知らない他人の会話。胸が高鳴る。


 ・・・・・・・・・・・・・


「お母さん、ここよ。これが今話題のフロバよ」

「私はスタバの方が良かったんだけどね・・」


「お帰りなさいませ、奥方様、お嬢様」

「二人、隣同士の席でお願いします」

「畏まりました。15番と16番の席へどうぞ」


「あら、カウンター席なのに、襖で仕切ってあるのね。これじゃあ、マリちゃんとお話し出来ないじゃない」

「大丈夫。小窓が付いてるから」


 ススーー。


「ほら、私の顔、見えるでしょ」

「見えるけど、私の目の前には簾が掛かってるからなんか殺風景よ」

「カウンター手前のボタンを押すと、簾が上がって日本庭園がみえるわよ」


 ポチッ。

 スススススー--。


「あっ、ホントだ。素敵な庭園ね」

「注文できるのは抹茶のホットと、抹茶ラテだけなんだけど、今日は抹茶のホットにしてね」

「えっ、なんでだい」

「それは後のお楽しみ・・・」


「お嬢様。ご注文はお決まりですか?」

「はい。抹茶のホットをお願いします」

「お茶を立てる人をタレントの中から選べますが、どなたになさいますか?」

「あっ、はにわ男子のミーチーがいる。私、ミーチーにしてください」

「畏まりました。しばらくお待ちください」


「ね、お母さんは誰にしたの」

「まだ決まってないのよマリちゃん手伝ってよ」

「お母さん、ラストサムライに出てた俳優のファンだったわよね」

「そうそう。ひろゆきね・・。あれ、口の下に髭はやした人出て来たけど・・」

「お母さん。その人じゃないでしょ。真田広之でしょ」

「あっ、出て来た。まるで本人がそこにいるみたい。超カッコイイ」


 ぺろぺろ。ぺろぺろ。


{{あれ、これは何の音だ。あっ、この女の子ミーチーが触ったお茶碗舐めてるぞ}}


 べーろべーろ。べーろべーろ。


{{これは、隣のお母さんの舐めてる音かな? なんか、粘着性と執念がこもってる気がする・・}}


{{てか、いくら映像が本物みたいでも、実際にお茶立てたのはここの従業員だろ。それぐらい気づけよ・・}}


「結構なお手前で・・・。ぺろぺろ」

「結構なお姿で・・・。べーろべーろ」


「おかあさん。どうだった?」

「よかったよマリちゃん。こんないい男、目の前で見れるなんて、もう死んでもいいくらいよ」

「もう一杯頼んじゃおうか」

「もちろん、もちろん」


「すいません。もう一杯お願いします」

「お嬢様。残念ですが、茶道の作法ではおかわりは出来ません」

「そうなんだ。じゃあ、また来るしかないわけね」

「もし、もう一度ミーチーさんにお会いしたいなら、抹茶ラテを注文すると一緒に飲んでくれますよ」

「えっ、一緒に飲んでくれるの?」

「あの、一緒に飲むと言っても、ミーチーさんの飲むのは映像の抹茶ラテですが・・・」

「も、もちろん。それで十分です。また、ミーチーの笑顔がみれるならそれで十分です」


「お母さん。聞いてた?」

「もちろんだよ。私も、ひろゆき・・、じゃなくて、真田広之でお願いするわ」


 ・・・・・・・・・


 ぺろぺろ。ぺろぺろ。


 べーろべーろ。べーろべーろ。


{{なんだ、こいつら今度はなにを何を舐めてんだ・・・}}


 ぺろぺろ。ぺろぺろ。


 べーろべーろ。べーろべーろ。


{{まさかこいつら、液晶画面のミーチーと真田広之舐めてんじゃネーだろうな・・}}


{{サカリか? この母娘おやこサカリの付いた犬の化身なのか?}}

 

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