自爆霊
無料版のアプリを起動した。
アプリ側が勝手に選択した電話番号につながった。相手の電話番号は表示されない。
相手は電話をしていない。盗聴が始まった。
全く知らない他人の会話。胸が高鳴る。
・・・・・・・・・・・・・
「皆さんこんにちは。新人アナウンサーのマーちゃんこと、近藤一郎です」
パチパチパチ。
{{あっ、こいつテレビ見てるんだ}}
「今日は最近話題になっている都市伝説についてパネラーの皆さんと一緒に議論して行きたいと思います。ゲストの皆さんを紹介します。まずは、サブちゃんこと大川A策さんです」
「・・・・・」
「あっ、いまどっちのキャラで行こうか迷いました?」
「チミは、若いのになかなか鋭いねー」
「はい。私もマーちゃんのキャラで行こうか、それとも近藤一郎のキャラで行こうか時々悩みますんで・・」
「・・それ、あんたの身内しかわかんねんじゃねーの」
「それから、次のゲストはレイバイ探偵で有名な、ジョウズカ・ヘタカさんです」
「Hola a todos, espero verlos hoy・・」
「ああ、それはスペイン語ですね」
「ソンダーヨ」
「さて、本日のテーマ。シン・都市伝説なんですが、サブちゃん。何かご存じですか?」
「盗聴アプリの呪いかな・・・」
「台本通りの回答、誠にありがとうございます。あの、ちなみにこれはマーちゃんキャラです」
「・・・・?」
「マンズ、ジョウズカさん。こげなトスでんせつば、聞かっシャッタことありんすか?」
「それが近藤一郎キャラ?」
「ンダ」
「うっ」
「ジョウズカさん?」
「だまって・・・」
「・・・・」
「オエッ」
「・・・・」
「ギョるぎょるぎょるぎょるー--」
「・・・・」
「フーーー」
「・・・・」
「オエッ」
「・・・・」
「ギョるぎょるぎょるぎょるー--」
「・・・・」
「います」
「盗聴アプリの霊?」
「自爆霊です」
「地縛霊ではなくて・・・」
「自爆霊です」
「どげなレーなんでごわんしょ?」
{{近藤一郎のキャラ、聞き取りずらいなー-}}
「マーちゃん。ちょっと想像してみてくなさんしょ」
{{ジョウズカさんにもうつってる}}
「いま、この小説を読んでいる人の顔をです」
「・・なんか、ニヤツイテますね」
「それから・・」
「・・まさかって感じで、顔をしかめましたヨ」
「それから・・」
「フンって鼻で笑いました。全体的に嫌な感じです」
「あっ、とどめにニヤリと思い出し笑いをしました。それも2回も・・」
「こんな人間が、スタバやマックや職場にいたら、周りの人間はどう思いますかね?」
「引きますね。いや、間違いなく引きますね。もしかしたら、恐怖すら感じるかも知れません」
「それです。それが自爆霊にトリツカレタ人間の姿です」
「・・恐ろしい・・」
「盗聴アプリを読んだ人間は、必ず取り付かれるんですか?」
「もちろんです。そもそもが、こんなタイトルの小説に興味を持ったところから、怪しい人間達なんです」
「いま、少数ではありますが、読者を敵にまわしましたよ。・・作者に責任は無いんですか?」
「マークに? あんなイーカゲンを絵に描いた様な人間に責任感なんてものある訳、ネーベショ」
「なんか、個人的に恨みでもありそうな・・」
「私が初めて登場した時の設定を覚えているでありんすか? アメリカ育ちの英語ペラペラでござんしたよ」
「・・・・」
「ところが今ではチャキチャキの日本人でがんしょ。一回目の私と今回の私は同一人物なんでゴンスかねー-」
「なんか、人格そのものが壊れてる気がしますが・・」
「・・それで、その自爆霊を除霊するにはどうすればよいのでしょうか?」
「それには一つしか方法がありません」
「どうすれば良いのですか?」
「マークが、自戒の念を込めて書いた小説を読むしかありません」
「新しい小説ですか?」
「そうです。明日から配信される様です」
「タイトルは?」
「瞬くんと生きた夏です」
「すいません。ちょっと聞き逃したのでもう一度お願いします」
「瞬くんと生きた夏」
「わかりました」
「で、この盗聴アプリは終わっちゃうんですか?」
「細々と続くことになるでしょう」
{{告知か? この回は、告知やったんか?}}
{{チッ、仕方ねーな。俺も読むことにすっかな・・}}




