お昼のニュース
無料版のアプリを起動した。
アプリ側が勝手に選択した電話番号につながった。相手の電話番号は表示されない。
相手は電話をしていない。盗聴が始まった。
全く知らない他人の会話。胸が高鳴る。
・・・・・・・・・・・・・
「お昼のニュースです・・・」
{{あっ、テレビみてるんだな}}
「本日の午前10時ころ、東京郊外にある烏賊鹿大学に隣国からミサイルが撃ち込まれました」
{{な、なに。隣国からミサイルって、戦争か、戦争になるのか?}}
「幸い、偶然その辺りを飛んでいたタナカマンと名乗る青年に掴まれ、発射地点まで送り返されたとの事です」
{{タナカマン? 偶然その辺りを飛んでいた? 何のことだ? もうちょっと詳しい情報をくれよ}}
「次のニュースです・・。八王子市のお玉動物園の地獄池で、カルガモの親子が楽しそうに泳いでいる姿が発見されました」
{{オイ、オイ。ちょっとお姉さん。隣国のミサイルの件、どうしたの。この際、カルガモの親子どうでもいいでしょう}}
「この地獄池には、恐ろしいワニやピラニアが生息しており、カルガモの親子の生存が危惧されています。近くの幼稚園、小学校の生徒たちが、カルガモ親子の救出を願って消防署を訪問し、要望書を提出しました。現場のマーちゃんを呼んでみましょう」
{{おーい。お玉動物園なら、飼育員いるんじゃねーのか。なに、消防署行ってんだよ}}
「はい。新人アナウンサーのマーちゃんこと、近藤一郎です」
{{オイ、オイ。近藤一郎のどこがマーちゃんなんだよ、このTV局、何かおかしくネーか}}
「ワニやピラニアがいるんだって、心配だよねー-」
「うん。僕、将来はタナカマンみたいになって、ワニとピラニアやっつけちゃうんだ」
{{おおー。この子、もうタナカマンのこと知ってるんだ}}
「あれ、タナカマンってどんなスーパーヒーローなの?」
「烏賊鹿大学の学生なんだけど、ヒーローって言うより、ヒールっぽいところがカッコいいんだよね」
{{なんで、こんなに詳しいんだ。おい、マーちゃん、ミサイルの件、この子に聞いてくれ}}
「現場から、マーちゃんこと近藤一郎がお伝えしました」
{{こ、こら。マーちゃんと名乗っとる一郎くん。おまえ、ジャーナリストだろ。もうちょっと深堀しろよ}}
「あっ、緊急ニュースです。隣国大使館の大使が、防衛大臣を公邸に呼びつけ、抗議を行った模様です。現場から、アラフォーの荒木四十代記者がお伝えします」
{{おっ、待ってました・・}}
「隣国の大使は、我々が無償でプレゼントしたミサイルを送り返すとは何事か、と無能防衛大臣を強く非難した模様です」
「それに対して無能大臣はなんと・・」
「我々が送り返した訳ではない。すべてタナカマンの遣ったことだ。抗議するならタナカマンにしてくれと、突っぱねた模様です」
「タナカマンというのは・・・」
「TV夕日の記者から聞いた話では、烏賊鹿大学文学部の3年生で、科学者である父親から驚異の人体改造を受けている、超スーパーサイヤ人クラスの人物だそうです」
「空を飛んだり、ミサイルを手で掴んだり出来るんですか?」
「大日本TVの記者からの情報では、可能だそうです。さらに体中に、好き好きセンサーやチョメチョメセンサーを埋め込まれていて、女性への評価をそれに委ねているそうです」
「そのタナカマンは、今回なぜこの様な行動をとったのでしょうか?」
「嫁売新聞の記者の話によると、空中での初xxxをやろうとしたところ、隣国のチープなセンサーがタナカマンに埋め込まれているセンサーに反応して追い掛けて来たため、怒って遣ってしまったと自供しているそうです」
「分かりました。それでは、カルガモ親子のニュースに戻りましょう」
{{ね、ね、お姉さん。カルガモ、そんなに好きなの・・・}}
{{てか、もっと自分で取材しよーよ。いま、インターネットで調べたら、全部のってたよ}}
{{・・タナカマンって、人間じゃなかったんだ。タナカマンのオヤジっていってた教授、防衛省に見積出したって記事見つけた・・・}}
{{てか、隣国のしたこと、このままでいいんかー--い}}
{{あっ、タナカマン、やっぱ人間だった。見積出したんじゃなくて、バイトの申請書出したんだ、こいつ、何か国防に目覚めたんじゃネーの}}




