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盗聴アプリ  作者: マーク・ランシット


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ハラスメントの代償2

「こんにちわ、総務課のミムラです。大変ご無沙汰しております」

「ああ、ミムラさん。こちらこそご無沙汰してすいません。先月、主任になられたそうでおめでとうございます」

「ありがとうございます。すべてスズキさんのお陰です」

「私のお陰だなんて・・、私はただの営業アシスタントですよ」

「またー-ァ。いま、会社でスズキさんに逆らえる人は誰一人いませんよ」

「・・・・・・」


 ・・・・・沈黙。


「・・もしかして、今日の電話は、田上課長のことかな・・・・」

「はい。お礼と、スズキさんの知らない情報の報告です」

「・・・・・・」

「まずお礼ですが、田上課長を沖縄のやんばる支店に飛ばして頂いて、本当にありがとうございました」

「やんばる支店というか・・・、子会社のソーコ番だけどね・・・」

「いい気味ですよ。あの男は人事権を利用して、派遣の女性たちに相当ひどい事して来ましたからね」

「総務部人事課の人たちは気が付かなかったの?」

「みんな知ってましたよ。でも、常務のお嬢さんと結婚してたんで、仕返しを恐れて黙ってたんです」

「・・なんか、そのお嬢さんに浮気がバレて、離婚しちゃったみたいね・・・」

「またー-ァ。スズキさんって、ホントに口が堅いですよね・・・」

「・・・・・」


 ・・・・・・沈黙。


「・・社内のうわさでは、反社ヤクザのオニーさんがそのお嬢さんに電話して、ワシの女に手を出したらしーな。慰謝料2千万持って来んかい。オンドリャーーって・・・・」

「・・・そうなの?、怖いわね・・・」

「・・・・・」


 ・・・・・・沈黙。


「またー-ァ。ほんと、スズキさんのそんなとこ、憧れちゃうんですよね・・・」

「・・・これで、小指一本の約束果した事にして貰えるかな・・?」

「もちろんです。十分な上におつりが来ます」

「そう、それなら良かった」


 ・・・・・・沈黙。


「・・それにしても、日本でスズキさんほど盗聴アプリを悪用してる人・・、あっ、ごめんなさい。活用している人はいないでしょうね・・」

「・・そうかなあ。私の知り合いに聞いたところでは、探偵とか警察も活用してるらしいわよ」

「・・となると、私たちも気を付けないと危ないですね・・・」

「そうね。でも、私たちは大丈夫よ」

「どうしてですか?」

「・・・ごめんなさい。これは営業上の秘密なんで、ミムラさんにも話せないの・・・」


 ・・・・・・沈黙。


「・・私、ひとつだけ疑問があるんですけど・・」

「なーに?」

「田上課長にはキッチリとオトシマエをつけてくれたのに、スズキさんにセクハラをしていた永井課長には、何の対処もしないのは何故なんですか?」

「・・彼は営業能力も高いし、会社の稼ぎ頭よ。セクハラもなくなったし・・・、今では私を守ってくれてるわ・・」

「・・波風を立てない事で、永井課長にも会社の上層部にも恩を売った訳ですね。本当に利口な遣り方ですね・・」

「・・・・・」


 ・・・・・・沈黙。


「・・・ところで、私の知らない情報ってなーに?」

「・・やんばる支店に飛ばされた田上課長の最新情報なんですが・・・」

「・・・・・」

「倉庫を点検中に、台湾ハブに嚙まれちゃったらしいんです」

「台湾ハブ?」

「日本のハブに比べて毒性が強いらしいんです・・・」

「・・・それで?」


 ・・・・・・沈黙。


「・・・沖縄の人なら噛まれた時の対処法を知ってるんですけど、田上課長はそれを知らなくて・・・」

「・・・・もしかして・・・」


 ・・・・・・沈黙。


「・・・命に別状はなかったんですけど・・・」

「・・・・・・」


 ・・・・・・・・・


「左手の小指を切断したそうです・・・」

「・・・・まあ・・・」


 ・・・・・・沈黙。


「やんばる支店の人に聞いてみたんですけど、倉庫の中でハブに噛まれるなんて初めてのことだったそうです」

「・・・・・」

「・・・それで、ジョウヅカ・ヘタカさんに霊視して貰ったんです・・」

「・・レイバイ探偵の・・・?」

「はい。・・・すると、田上課長に食い物にされた女性たちの生霊いきりょうが・・・」

「・・・恐ろしい・・・」


 ・・・・・・沈黙。


「・・・会社には公表されてないんですけど・・・」

「・・・・・・」

「・・その台湾ハブ、左手を噛んだ後・・、田上課長の・・ナニも、噛んじゃったらしいんです・・」

「ナニ・・・何?」

「・・・もう一生、女性にオイタは出来なくなったらしいです・・・」


 ・・・・・・チン黙。

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