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盗聴アプリ  作者: マーク・ランシット


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21/49

007は殺しの番号

 無料版のアプリを起動した。

 アプリ側が勝手に選択した電話番号につながった。相手の電話番号は表示されない。

 全く知らない他人の会話。胸が高鳴る。


 ・・・・・・・・・・・・・


「思うんだけどさ、最近の刑事ドラマって面白くないっしょ」

「そうそう、刑事なのにスゲー事件を舐めてる奴とか、これで解決、みんなハッピーって事件を、無理やりひねくり回して、被害者みたいな人間を犯人に仕立て上げるやつ・・・」

「あんなの完全犯罪でインじゃねって、思っちゃうよね・・」


 ・・・・・・


「・・視聴者の裏をカコーとしすぎて、なんかスッキリ感が無くなっちゃってるんだよね・・・」

「その点、医療ドラマは、敵が病気だから、それを退治してあげるとスッキリするよね・・・」

「・・ただし、ヒーローに仕立て上げるには、日本の医療機関のシガラミに捕らわれない奴じゃなきゃいけない・・」

「つまり、・・・ドクターバツ1とか・・、イリュー(チーム・メディカル・ドラクエ)・・、だよね」


 ・・・・・・・


「・・オレ、新しい刑事ドラマのアイデア思いついたんだよね・・・」

「え、どんなの?」

「・・・・・」

「なんだよ、勿体ぶらないで、言えよ・・・」

「だってさ、最近、盗聴アプリって流行ってるじゃん。もしかしたら、俺たちの会話だって盗聴されてるかも知れないじゃん」

「うそー-。それって、スゲーコエーんだけど・・・」

「まっ、いっか・・・、さっき何気に思いついただけのアイデアだから・・・」


 ・・・・・・・・


「・・NYPDで働いてた日本人がさ、日本に帰って来るわけさ・・・」

「・・トラベル・ナース的なやつ・・・」

「・・チゲーし、それとは絶対、チゲーし・・・」

「・・あんま、熱くなるなよ・・・」


 ・・・・・・・・


「・・なぜか、そのデカが、殺しの国際ライセンス(しかもゴールド・ライセンス)持ってて、いつでも、どこでも、人を殺していいわけ・・・」

「・・・それで・・・?」

「・・そいつ、警視庁捜査一課に配属される予定だったんだけど、間違って新宿歌舞伎町の交番に勤務することになるんだよね・・・」

「・・・・・」


 ・・・・・・・


「・・フツーの視聴者は、デカだから、イチオーは正義の味方って考えるじゃん。ところがそいつは、フーゾクで働いてるネーちゃんの弱み握ってヤッチャウわ、悪徳キンユー業者からお小遣いむしり取っちゃっうわ、遣りたい放題な訳・・・」

「・・どの辺が、面白いの・・・?」


 ・・・・・・・


「・・・挙句の果てに、悪徳業社たちからミカジメリョウ取ってる反社組織と銃撃戦をおっぱじめるわけさ・・・」

「・・・・・・」

「・・・そんでもって、殺すわ殺すわ・・・、100人以上いたワル者たちが全員撃ち殺されるわけ・・・」

「・・・ジョン・ウィック的な・・・」

「・・チゲーし、それとは絶対、チゲーし・・・」

「・・あんま、熱くなるなよ・・・」


 ・・・・・・・


「・・・新宿の悪者たち、一網打尽・・・、スカッとするっしょ・・・」

「・・・一話で終わっちゃう訳だ・・・・」

「・・・そーじゃ、ネーよ・・・・・」

「・・・でも、悪人たち、全員死んでいなくなっちゃったんでしょ・・・」


 ・・・・・・・・


「・・・あまいなー、ゼンジローくんは・・・」

「・・・じゃあ、こんどはサラリーマンでも殺すわけ。。。」


 ・・・・・・・・・


「・・・第二話の舞台は大阪の通天閣の交番になるのよ・・・」

「・・・トラベル・ナース的な・・・」

「・・チゲーし、それとは絶対、チゲーし・・・」

「・・あんま、熱くなるなよ・・・」


 ・・・・・・・・


「シゲオー、夕飯出来たよ。ゼンジロー君も一緒にどおぞーー」

「あ、お母さんすいません。あしたから、中学最後の期末試験なんで、帰ります・・・」


 ・・・・・・・・


 私たちは盗聴アプリを切った。


「作る側の苦労を知らないシロートは、相変わらず好きな事言ってますね・・」

「そうかな・・・」

「え、プロデューサーどうしたんですか?」

「君はまだ若いが、日本を代表するドラマ、水戸コーモンの5大ヨーソを知っているかね?」

「・・いえ、知りません」


 ・・・・・・・


「①日本全国の旅。②美人の入浴シーン。③悪代官。④インロー。⑤大立ち回り&まいりました・・・」

「・・・・・・」

「実は、この5大ヨーソは、あの人気ドラマ、ドクターバツ1にもぴったりとあてはまる・・・」

「・・・まさか・・」

「①変わる病院、ただし出演者は同じ。②大門女子の入浴シーン&大股開き。③悪徳教授。④私、失敗しないのでというインロー。⑤絶対不可能な手術のシーン&マイリマシタとひれ伏す外科部長・・・・」

「・・・なるほど・・」

「あのシロートのアイデアにも、その5大ヨーソがしっかりと含まれているじゃないか」

「・・・ふむふむ・・、さすがですね・・・」


 ・・・・・・


「次回のドラマは、NYPDから日本に戻って来た、殺しのライセンスを持ったケージのストーリーで行こう」

「・・・あのー-、パクリですか・・・?」

「おまえは、言葉を知らんな・・・・」

「・・・・・・」

「視聴者参加型ドラマじゃないか・・・」

「・・・な、なるほど・・・」


 ・・・・・・・・・


「主人公は・・・」

「名前は、ゴルゴ十三じゅうぞう、天才的な射撃の名手にしよう・・」

「舞台は・・・」

「第一話の舞台は新宿歌舞伎町。

 フーゾク店の女性の入浴&ヌレバ。


 悪徳金融業者に泣かされる町民。

 借金のかたにナンバー1キャバ嬢にされる町娘オキヌ。

 新宿の高層ホテルの最上階で,「アーレー、おやめください・・」と泣く、オキヌの着物の帯を無理やりほどく悪徳商人のH58。


 500メートル離れたビルから、H58を射殺するゴルゴ十三。

 親分の仇を取ろうと、町民ともみ合う反社軍団。

 反社軍団のピストルに劣勢の町民。


 交番勤務のスケボー巡査とカクボー巡査にゴルゴ十三からライフルと殺しの仮免許が与えられ、ライフルの餌食となる反社軍団」


「・・・・なるほど・・・」

「平和になった新宿の街の夜明けを、オキヌとベッドで迎えるゴルゴ十三・・・」

「・・・・・」

「・・・そして、オキヌの肉体を楽しむだけ楽しんだゴルゴ十三は、何も言わずに去っていく・・」

「・・・・・」

「・・・待ってオクンナましと、十三の背中にすがるオキヌ・・・」

「・・・・・」

「・・俺の後ろに回るな、とオキヌの手を振り払う十三・・・」


 ・・・・・・・・・・・


「タイトルは、どうしましょう・・?」

「・・そうだな・・・007は、殺しの番号。全国交番巡り(仮)でどうだ?」

「・・・ちょっと、ダイレクト過ぎて、あの国あたりからクレームが来そうですね・・・」


 ・・・・・・・・


「それじゃあ、007@gmail.comは、殺しのメールアドレス、ヌレバたっぷり全国お色気巡り(仮)とでもしておこうか・・・」


 ・・・・・・・


「・・・テンコ盛りですね・・・」



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