お昼ご飯はまだですか?
有料版のアプリを起動した。
対象者は電話をしていない。盗聴が始まった。
いままで知らなかった現実が明らかにされる・・かも?
・・・・・・・・・・・・・
「正子さん。お腹空いちゃったわ。お昼ご飯は何時かしら?」
「おかあさん。お昼ならさっき食べたでしょ」
「あら、ほんと?」
「また、物忘れがひどくなったみたいですね・・・」
・・・・沈黙。
「でも、本当にお腹がすいちゃったのよ。お茶漬けでもいいから食べさせてくれない?」
「ダメです。お医者様から、食べ過ぎない様に注意されてるでしょ」
ゴソゴソ・・・。
「お母さん、冷蔵庫のなかアサルのはヤメテください」
「だって、本当にお腹が空いて耐えられないのよ・・」
「わかりました。じゃあ、今日だけは特別に3時のお茶に肉まんを付けてあげます」
「本当かい。そりゃーうれしいねー」
・・・・沈黙。
「正子さん。3時のお茶はどうしたんですか?」
「おかあさん。さっき飲んだでしょ・・」
「お茶は飲んだけど、肉まんは食べてないと思うけど・・」
「そんなことありませんよ。ほら、お皿に、肉まんの紙が残ってるでしょ・・・」
「あら、ホントだね・・」
・・・・沈黙。
ゴソゴソ。
「おかあさん。今度は何を探してるんですか?」
「銀行のATMカードがお財布から消えちゃったんだよ」
「それなら、私が預かってますよ。ほら、これでしょ?」
「あー良かった・・」
「でも、ATMカードなんて、どうするつもりなんですか?」
「もちろん、お金を送金するんだよ。さっき長男の次男坊から電話があって、どうしてもお金がいるんだって・・」
「あーら、それってオレオレ詐欺じゃないですか?」
「まさか、あれは確かに孫の声でしたよ。私に限って、騙されたりなんかしませんよ!」
「暗証番号を教えてくれれば、私が代わりに送金してあげますよ」
「そうかい。じゃあ、そうして貰おうかね・・・」
「暗証番号は何番です?」
「・・・確か、私の誕生日だったね・・」
「誕生日なら、11月13日ですね。1113ですか?」
「・・・確か、そうだったかね」
「お母さん、その番号なら違いますよ。昨日、買い物を頼まれた時に、遣って見たけどダメでした・・」
・・・・沈黙。
「それなら、亡くなったお父さんの誕生日だったかね?」
「それも違いましたよ」
・・・・沈黙。
「あー、思い出したよ。あんたの誕生日だった・・」
「お母さん。それって何番ですか?」
・・・・沈黙。
ピンポーーン。
「あら、お客さんだね」
「お母さんは、ここに居て下さい・・・」
ガチャ。
「どちら様ですか?」
「警察だ。カネオ・ホシコ。お前を不法侵入及び窃盗の容疑で逮捕する」
「何を言ってるんですか。私は次男の嫁の、今井正子ですよ」
「お前が正子さんに成りすましてこの家に入り込んだことは、複数の証言で分かっているんだ。なにより、こちらにいるのが本人の正子さんだ」
「えっ・・・」
・・・・・・・・・・
「本部、聞こえてますか?」
「ああ、そちらのお母さんの携帯経由でよく聞こえている」
「先程、オレオレいや、ワタシワタシ詐欺の現行犯で、カネオ・ホシコの身柄を確保しました」
「よくやった・・・。事件を未然に防ぐことが出来て何よりだった・・」
・・・・沈黙。
「・・・それにしても、最近のオレオレ詐欺は、世の中をナメキッタみたいに大胆になって来たもんだな・・・・」




