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盗聴アプリ  作者: マーク・ランシット


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14/49

お昼ご飯はまだですか?

 有料版のアプリを起動した。

 対象者は電話をしていない。盗聴が始まった。

 いままで知らなかった現実が明らかにされる・・かも?


 ・・・・・・・・・・・・・


「正子さん。お腹空いちゃったわ。お昼ご飯は何時かしら?」

「おかあさん。お昼ならさっき食べたでしょ」

「あら、ほんと?」

「また、物忘れがひどくなったみたいですね・・・」


 ・・・・沈黙。


「でも、本当にお腹がすいちゃったのよ。お茶漬けでもいいから食べさせてくれない?」

「ダメです。お医者様から、食べ過ぎない様に注意されてるでしょ」


 ゴソゴソ・・・。


「お母さん、冷蔵庫のなかアサルのはヤメテください」

「だって、本当にお腹が空いて耐えられないのよ・・」

「わかりました。じゃあ、今日だけは特別に3時のお茶に肉まんを付けてあげます」

「本当かい。そりゃーうれしいねー」


 ・・・・沈黙。


「正子さん。3時のお茶はどうしたんですか?」

「おかあさん。さっき飲んだでしょ・・」

「お茶は飲んだけど、肉まんは食べてないと思うけど・・」

「そんなことありませんよ。ほら、お皿に、肉まんの紙が残ってるでしょ・・・」

「あら、ホントだね・・」


 ・・・・沈黙。


 ゴソゴソ。


「おかあさん。今度は何を探してるんですか?」

「銀行のATMカードがお財布から消えちゃったんだよ」

「それなら、私が預かってますよ。ほら、これでしょ?」

「あー良かった・・」

「でも、ATMカードなんて、どうするつもりなんですか?」

「もちろん、お金を送金するんだよ。さっき長男の次男坊から電話があって、どうしてもお金がいるんだって・・」

「あーら、それってオレオレ詐欺じゃないですか?」

「まさか、あれは確かに孫の声でしたよ。私に限って、騙されたりなんかしませんよ!」

「暗証番号を教えてくれれば、私が代わりに送金してあげますよ」

「そうかい。じゃあ、そうして貰おうかね・・・」

「暗証番号は何番です?」

「・・・確か、私の誕生日だったね・・」

「誕生日なら、11月13日ですね。1113ですか?」

「・・・確か、そうだったかね」

「お母さん、その番号なら違いますよ。昨日、買い物を頼まれた時に、遣って見たけどダメでした・・」


 ・・・・沈黙。


「それなら、亡くなったお父さんの誕生日だったかね?」

「それも違いましたよ」


 ・・・・沈黙。


「あー、思い出したよ。あんたの誕生日だった・・」

「お母さん。それって何番ですか?」


 ・・・・沈黙。


 ピンポーーン。

「あら、お客さんだね」

「お母さんは、ここに居て下さい・・・」


 ガチャ。


「どちら様ですか?」


「警察だ。カネオ・ホシコ。お前を不法侵入及び窃盗の容疑で逮捕する」

「何を言ってるんですか。私は次男の嫁の、今井正子ですよ」

「お前が正子さんに成りすましてこの家に入り込んだことは、複数の証言で分かっているんだ。なにより、こちらにいるのが本人の正子さんだ」

「えっ・・・」



 ・・・・・・・・・・


「本部、聞こえてますか?」

「ああ、そちらのお母さんの携帯経由でよく聞こえている」

「先程、オレオレいや、ワタシワタシ詐欺の現行犯で、カネオ・ホシコの身柄を確保しました」

「よくやった・・・。事件を未然に防ぐことが出来て何よりだった・・」


 ・・・・沈黙。


「・・・それにしても、最近のオレオレ詐欺は、世の中をナメキッタみたいに大胆になって来たもんだな・・・・」

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