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運命の相手  作者: maiko
8/24

もやもやの理由

GWも過ぎ日常が戻ってきた。

GWの間も先輩とのたわいのないラインは続いていた。


先輩はGW中、部活だったらしい。

同じ合気道部の結城に聞いたら、先輩は鬼だと言っていた。

どんな練習だったのかは聞くのが怖かったから聞かなかったが、僕の話の先輩と部活の先輩とでだいぶ違うと僕をみてため息をついていた。


GWに話を戻すと、地元に帰って先輩にお土産を買ってきていた。

3人にお土産を渡してその場を後にした。


兄2人が同じ大学を卒業しているため、大学の制度について詳しい両親もお世話になっているペアの先輩へといってお土産を奮発して用意してくれいていた。

『景先輩。帰省のお土産渡したいんですけど、都合のいい日ありますか?』

『そんなのいいのに。』

『両親も張り切って用意してくれたんです。』

『明日の昼はどうだ?』

『明日は講義午前中に終わるので終わったらいつものカフェテラスでも良いですか?』

『了解。終わったら連絡して。』

『わかりました』

携帯をしまい自転車にのって自宅に戻っていった。


*****


次の日の講義は大地と僕の2人だけだ。

大地を見つけて声をかける。


「おはよう」

「おう。おはよう」

大地の隣の席に鞄をおろし授業の準備にとりかかる。


「お昼、広瀬先輩と食べるんだろ?」

「どうして知ってるの?」

「章先輩から連絡がきて、久しぶりに4人でご飯を食べようだってさ。」

「へー。」

どうやら先輩2人は一緒にいるらしい。

はじめての食事会依頼4人で会うのは久しぶりだ。


「この講義が終わったら先輩に連絡することになっているから一緒に行こう。」

講師の先生がきたため、大地に簡潔に伝え講義に集中した。


*****


講義が終わり先輩に講義が終わったことを告げ大地と一緒にカフェテリアに向かう。

カフェテリアにつくと先輩2人はすでに席を確保し座っていた。


「よう!こっちこっち。」

河野先輩の呼ぶ声が聞こえる。


この先輩達はセットでいることが多い。

有名な2人が一緒にいるためいつも目立っている。

先輩達の視線がこっちに向くと自然と周囲もこちらに視線を向けてくる。


「大地、なんかすごいね。」

「そうだな。色々と考えちゃいけない気がする。」

2人で視線の多さにおじけづきながら先輩達のほうにゆっくりと歩いていく。


ちなみに、河野先輩も景先輩がHPに紹介された次の週に記事になっていた。

奏も結城も章先輩のペアが大地であるとは知らないため、景先輩といつも一緒にいる綺麗な先輩として認識していた。

2人に大地のペアの先輩だと言おうかと思ったが、面白がるのが目に見えていたため大地のために黙っていようと決めた。

その時に河野先輩のペアがだれかって話題になっていたため、今日のことが噂になるだろうからすぐにばれるとは思うけど。


「先輩達早かったんだね。」

先輩達が座っている円卓の空いているところにそれぞれ腰かけて話しかける。

「俺たち今日は講義なかったからな。」

「講義ないのになんで大学きてんの?」

「色々やることはいっぱいあるんだわ。」

「ふーん。」

「昼飯まだなんだろ?」

「はい。」

「買ってきたら?」

「先輩たちは?」

「俺たちは大丈夫だ。ゆっくりお茶でもしているよ。」

景先輩に促されて大地とともに昼食を買いに行く。


昼食を買ってもどってくると先輩達はゆっくりとコーヒーを飲みながら話をしていた。

なんとも絵になる2人だ。

周囲も2人が気になるのかチラチラと視線を向けているのがわかる。

たくさんの視線が集まっているのに気付いているはずなのに、慣れているのか気にしている素振りがない。


いつまでのこのまま立っているわけにはいかずに元いた場所に戻り昼食を食べ始める。


「そういえば。先輩達って彼女とかっているの?彼氏でもいいけど。」

大地が唐突に話を切り出した。


「ごほっ。ごほっ。」

いきなりの大地の発言に僕は生きよいよくむせこんでしまった。

「大丈夫か?」

景先輩がびっくりしてハンカチを差し出してくる。

なかなかむせこみがおさまらずにごほごほしていると背中をさすられる。

「すいません。」

顔を真っ赤にしながら小さくつぶやく。

「おさまったか?」

「ありがとうございます。」

顔を覗き込まれ大丈夫なことを確認し先輩は席にもどっていく。


「大地、いきなりどうしたんだ?」

河野先輩はいぶかしげに大地に声をかける。

「この間のGWで実家に帰って妹にペアの話をしたら・・・。」


『こんなにイケメンな人たち初めてみた!

 前から思ってたんだけど、お兄ちゃんの大学のペアって最高よね!

 お兄ちゃんにはわかんないだろうけど、ときめくものがあるのよ。

 このイケメンのペアがお兄ちゃんっていうのは妄想の邪魔ではあるけど、お兄ちゃんもイケメンの部類には属しているとは思うし。頑張って!!

 それに友達もすごくかわいいのね。これはいい旦那様ができそう!!

 とりあえず、みんなに恋人がいるか聞いてみてよ!彼氏だったらなお良しよ!!』


「って言われて。とりあえず聞いてみようと思って。」

大地がGWに実家に帰省した際に言われたというセリフをそっくりそのまま教えてくれた。

河野先輩は納得がいったようで

「だから彼女または彼氏なのか。納得した。」

「で?いるの?いないの?」

僕は理解が追い付かずにキョロキョロしてしまう。

僕に旦那様ってなんなんだよ!!


でも、先輩に恋人がいるのかはすごく興味がある。

今までこうして直接2人に恋人の有無について聞く人はいなかったのだろう。

周りも興味深々にこちらをチラチラとみている。


「俺は今はいないよ。」

河野先輩こう答える。

「今はってことは最近までいたってこと?」

河野先輩は笑って答えをはぐらかしている。でも、フリーなのは本当みたいだ。


「俺もいないよ。」

「お前の場合、恋人はいないけど、好きな相手はいるが正解だろ。」

景先輩の返答に河野先輩が修正をいれる。


そっか。

景先輩は恋人はいないけど好きな人はいるんだ・・・。

こんなにかっこよい先輩だ。相手がいないほうが不思議だ。

「景先輩に好きになってもらったらどうな人でもOKしちゃうんじゃないですか?」

僕は精一杯の質問を景先輩に投げかける。

「こっちが好きでも相手がこっちを本当に好きになってくれるかはその人じゃないとわからないだろ?」

その後、なんだか景先輩にも話をはぐらかされた。


「俺たちのことよりお前たちはどうなんだよ。」

先輩たちの話は終わったとばかりに河野先輩がこっちに質問を投げかけてきた。

「僕はいません。」

「俺もいない。」

結果的に4人とも恋人はいないとった結果になった。


「じゃあ遠慮なく遊びに誘えるな。今度の休みにどっか遊びにいくか?」

特別な予定がないとわかると河野先輩が休みの日の予定を立てようと話をかえた。


*****


3人は休日にどこに行きたいか、何をしたいかの話をしている。

僕は景先輩に好きな相手がいると知ってなぜかショックを受けていた。

僕の先輩。

あの時は僕のペアの先輩と否定をした。

だって僕のじゃないから。ペアなだけだから。

なんでショックを受けたのかわからずにぼーっと考え事をしていた。


「稔!稔!」

大地の僕を呼ぶ声で我に返った。

「えっ?」

「稔こぼしてるぞ!」

僕は水の入ったコップを持ったまま考え事をしており中身をこぼしてしまっていた。

「あーーーーー!」

僕の叫び声がカフェの中に響く。

「何やってるんだ」

と、景先輩がハンカチで口元やこぼれた服を拭いてくれる。

顔を真っ赤にしながら

「すいません」

と、つぶやく。

景先輩は苦笑しながら

「子供みたいだな。」

と、いう。

周りからもクスクスといった笑い声が聞こえてきて、なおさら恥ずかしくなってしまった。

甲斐甲斐しく僕の面倒を見てくれる先輩を見ていたら、過保護な2人の兄を思い出した。

「先輩お兄ちゃんみたい。」

「えっ?」

「僕、兄が2人いるんです。二人ともここの卒業生なんですけど、僕にすごく過保護なんです。」

「2人もお兄さんがいるんだな。似てるのか?」

「兄2人は父に似ていて、僕は母に似ているのであんまり似てないといわれます。」

「今の景先輩みてて兄を思い出しました。」

「そうか・・・。」

さっきのショックが一番上の兄が結婚したときに感じた寂しいという感情に似ているような気がした。

だからさっきもやもやした気持ちになったのか。

自分を納得させるように心の中でつぶやきニコニコを先輩に笑いかけることができた。


その光景をみていた河野先輩が、景先輩の肩に手を置き苦笑しながら

「どんまい」

と、親友を慰めていた。

僕は何で景先輩が河野先輩に慰められているかがわからずに頭に「?」を浮かべてその様子を眺めていた。


*****


「大地、なんで微妙な顔してんだ?」

「なんでもない。」


大地は景と稔をみながら微妙な顔をしていた。

景と稔がじゃれているのを見てなぜか心に引っかかるものができた。

何が引っ掛かっているのか、なんで引っかかっているのかがわからなくて微妙な顔になってしまった。


「で、土曜日はどこにいきたい?」

章先輩に話しかけられて心の引っかかりについて考えることを諦めた。

今度の土曜日は4人とも暇にしていたため、全力で楽しむのだ。





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