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運命の相手  作者: maiko
2/24

ペア?

ピピピピ。

何度目かの携帯の目覚ましのスヌーズ音で目を覚ます。


「うーん。」

一人暮らしを始めたからもう起こしてくれる人はいない。


「何時だ?」

携帯で時間を確認する。


「もう8時!早く準備しないと遅刻する!」

初日から遅刻したら大変だ。


一人暮らしのマンションは大学から近くにあり。

自転車で15分の距離。電車で行っても2駅ととても近い。


「洋服どうしよう。高校までの制服って考えなくてよくて便利だったんだなー。」

そんなことを考えながら着替え始める。

外は春のあたたかな陽気に包まれており、天気も快晴である。

春色のシャツにジーンズといった当たり障りのない恰好にし、鏡の中で笑顔をつくる。


「やばっ!もう出かけなきゃ!」

慌てて自転車のカギを握りしめて家を飛び出す。


*****


「はー。間に合った。」

時計は開始10分前を告げている。


「隣いい?」

席について携帯をみていたら突然後ろから声がかけられた。


「どうぞ。」

「ありがとう。」

僕より少し背が高めの、元気そうな感じの少年がニコニコして立っていた。


「俺、大澤大地。よろしく。」

「僕は成美稔。よろしくね。」

お互いに自己紹介を行い、初めての友人になるであろう彼は僕の隣の席に腰をかけた。


「オリエンテーションって何するんだろうな?」

「やっぱり大学の案内とか授業の説明とかかな?」

僕は大学でできた初めての友人とたわいない話をしながら教師が来るのを待つ。


大地も上京組みたいで、構内にある大学の寮に住んでいるらしい。

大学初日に長い付き合いができそうな友人に会えてホっとした。

これなら大学生活も楽しむことができるだろう。


オリエンテーションが終わり、大地とともに帰る準備をしていると前の席に座っていた2人が声をかけてきた。

「なーなー。これから俺達、構内にあるカフェテリアに行こうと思うんだけどお前たちも行かない?」

「えっ。」

「俺は結城奏。こっちは宮野祐樹。」

「行く行く!俺は大澤大地。」

「僕は成美稔。」


前の席の2人は同じ高校出身で2人で来ていたとのこと。

せっかくの新しい大学生活で、新しい友人を作りたく僕たちに声をかけてくれたみたい。

4年間も一緒に学ぶ仲間として友人が増えるのはうれしくなる。

奏は情報通であり報道部に所属する予定とのこと。髪を茶色に染めており、耳にもピアスがつけられている。身長は僕と同じくらいでありかわいらしい印象を受ける。

結城は合気道をしているらしくがっちりとした体形だ。身長は4人の中で一番大きい。

ツーブロックの黒髪が清潔に切りそろえられている。


僕たち4人は構内にあるカフェテリアを目指して歩き出した。

10の学部があるこの大学の構内はかなり広い。

たわいない話をしながらゆっくりと歩いていく。


カフェテリアは新入生でにぎわっていた。

僕たち4人は空いていた丸テーブルに座り話を始めた。

「そういえば。パートナーシップ制度って知ってたか?」

奏が突然、大学の制度について切り出してきた。

「有名だから聞いたことはあったけど、実際に内容を聞くと不安になるよな。」

と結城も続く。

「当たりだったら最高だけど、外れを引いたら2年間が地獄になりそう。」

と大地も言う。


この大学には「パートナーシップ制度」と呼ばれている制度がある。

1年生に対して3年生がそれぞれ1名つき大学生活やプライベートのサポートをしてくれるものだ。

「ペア」と呼ばれる相手ができる。ペアは上級生が卒業するまで解消されない。

相手の選出は大学が総合的に判断して決定しているとのこと。交流は強制的ではないが、多くのペアはそのまま上級生が卒業しても交流が続くことが多い。


「僕は兄2人がここの大学を卒業しているから色々話聞いていたよ。兄たちは今でもその時のペアの先輩や後輩と仲いいみたい。人によっては色々あるみたいだけど。」

僕は兄から聞いていたことを話し出した。

「ペアってどんなことするか聞いてるか?」

「兄さんは学部が一緒だったらしくて、試験とか課題の手伝いしてたみたい。プライベートでも遊びにいってたみたいだよ。」

「同じ学部の先輩だったらそんなメリットもあるのか。学部が違っても同じ講義とってたらレポートとか教えほしいな。」

「交流は強制ではないみたいだけど、いい先輩にあたるといいよね。」

「ペアの発表ってそれぞれメールで来るって言っていたよな?」

「1週間後くらいに連絡くるって言ってたな。」


その後はペアについての話から新生活のさまざまな話題に話が変わり、日が陰るまでの2時間近くカフェテリアで話をしていた。


「これからよろしく。」

と改めて挨拶をかわし今日はお開きとなった。



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