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運命の相手  作者: maiko
19/24

景の思い④

*****


GW中、部活三昧だった。

たまにはストレス発散に部活で後輩たちをしごく。

稔の友達らしい部員が一人いるが牽制の意味も込めてしごいておいた。


そろそろ稔を食事に誘おうかと考えていたら稔からラインが届いた。

『景先輩。帰省のお土産渡したいんですけど、都合のいい日ありますか?』

稔の帰省のお土産を準備してくれたという。

ご両親からのお土産もあるらしい。ご両親に関しては少し罪悪感を覚える。

次の日の昼食を一緒に取ることを約束し携帯をしまう。


次の日、章に今日は稔とお昼を取るから一緒に行けないことをつげると章から突然の提案があった。

「久しぶりに俺も成美に合わせてよ。大地も誘うから4人で食べよう。大地にはもう連絡したから。」

2人で会えると思っていたため章を人にらみするが慣れているためかなんの効果もない。


講義が終わった後輩2人がカフェテリアに来る。

昼食の約束をしときながら空腹に耐えきれずに2人より先に軽食を取っていた。

後輩2人に昼食を食べているのを見ながらゆっくりコーヒーを飲む。


突然大澤が切り出した。

「そういえば。先輩達って彼女とかっているの?彼氏でもいいけど。」

「ごほっ。ごほっ。」

稔が隣で生きおいよくむせこんだ。

「大丈夫か?」

ハンカチを取り出し差し出す。なかなかむせこみがおさまらないようすに心配になり背中をさする。しばらくすると落ち着き話を戻す。

「大地、いきなりどうしたんだ?」

章も気になったのか大澤に質問を投げかける。

大澤の話を総合的に判断すると、大澤の妹は今はやりの腐女子といったところか。

章も同じように納得しているようだ。


章が先にこたえる。

「俺は今はいないよ。」

続いておれも答える

「俺もいないよ。」

俺の答えに対して章が修正を入れてくる。

「お前の場合、恋人はいないけど、好きな相手はいるが正解だろ。」

稔の反応が気になる。

「景先輩に好きになってもらったらどうな人でもOKしちゃうんじゃないですか?」

嬉しい返答だった。俺が告白したら稔もOKしてくれるのだろうか?

まだまだ答えを聞くのが怖い。

「こっちが好きでも相手がこっちを本当に好きになってくれるかはその人じゃないとわからないだろ?」

なんとなく話をはぐらかしてしまった。


4人で今度の休日について話していると稔は心ここにあらずでぼーっとしている。

ちょっと目を離したすきに手に持った水をこぼしている。

俺は慌てて稔の口元やこぼれた服をハンカチで拭う。稔はいつも可愛いな。

「先輩お兄ちゃんみたい。」

稔に兄が2人いるのは稔のことを調べる過程で情報を得ていた。

まさかお兄ちゃんみたいと言われるとは思わずに稔がニコニコと話すのを静かに聞いていた。

事情を知っているその光景をみていた章が俺の肩に手を置き苦笑しながら

「どんまい」

と、慰めてくれる。

俺はため息が出てしまった。


*****


昼にカフェテリアに行くと大澤が一人で食事をしている。

稔について問うと風邪を引いて講義を休んでいるとのことだった。

大澤の言葉に若干の引っかかりを覚えたが、稔が心配であり、様子を見に行くことを告げ足早にカフェテリアを後にする。


稔のマンションにつき稔の部屋の番号を入力し呼び出しボタンを押す。

部屋番号は稔を送っていた際に偶然ポストを除く稔が見えて知った。

稔の声が聞こえ、オートロックの扉が開く。

目的の部屋の前につきインターホンを押す。

扉が開きパジャマ姿の稔が部屋に招き入れてくれる。

不謹慎にも少し顔がほてり寝癖をつけたパジャマ姿の稔を可愛いと思ってしまった。


ここにくるまでに簡単な食事や冷却シートを準備してきた。

一人暮らして風邪を引くと何かと入用だろう。

食事について問うと稔が可愛いおなかの音を聞かせてくれた。

食事の準備をし、2人で食卓に座る。


週末に一緒に出掛けていて無理をさせていたのではないかと心配になった。

「確かにお医者さんには疲労からくるものだって言われました。新しい生活に慣れなくって体調を崩したんだろうって。」

案の定気づかないうちに無理をさせていたらしい。情けない気持ちになり、

「気づかないうちに無理していたんだろうな。気づけなくて悪かったな。」

と謝る。


稔が昼食を食べたことを確認し、片づけを始める。

片づけている間に稔は薬を飲んでいる様子が目に入る。

片づけを終え部屋に戻り、稔にベッドに行くように促す。

稔がベッドに入ると、ベッドサイドに腰かけて話しかける。

「お前が眠るまではここにいるからな。」

俺は稔が弱っているところに付け入り、甘い声で伝える。

どさくさにまぎれ頭をなでる。

稔はすぐに睡魔がやってきて寝息を立て始める。

「こうやって俺がそばにいることが自然なことに思えるようにしてやるよ。」

とそっとささやく。


どれくらいこうしていたのだろうか?

稔の頭をなでながらずっと顔を見つめていた。

もう日も暮れていた。稔が起きてびっくりする前に帰えるか。

次に会える時には元気な顔をみせてほしい。

稔が寝ていることをいいことに額にキスを残す。

「お大事にな」

コップに残っていた水を飲みほし洗って家を出る。

稔はまだ眠っていた。


*****


稔の風邪が治り日常生活に戻る。

もう体調を崩さないように見守ることとした。

きちんと食べているのか心配だという口実を手に入れて食事に頻回に誘うようにした。

お互いの用事のない日が一緒にいられるように予定をたてた。

夕食の食事代は俺が出していた。外食だとお金もかかると遠慮した稔が、稔の部屋で手料理をふるまってくれる日もあった。

稔も心を開いてくれているのかお互いに一緒にいることが自然になった。


ある日カフェテリアに行くと章にHPの記事を見せられた。

以前俺が取材を受けた新聞部のHPだ。

稔のインタビュー記事が載っていた。可愛らしい写真とともに。

「景はこれ知っていたのか?」

「知らない。」

「お前とのペアだって噂が流れてから稔も有名になったよな。見た目も可愛いし。

結構狙っている奴もいるっていう話だったから、ある意味このインタビュー良かったんじゃないのか?」

はたから見たら恋人ののろけでも言っているような感じにもとらえられる。

稔はそんなつもりはなかったみたいだが、みんなが恋人だと誤解をしてくれたらいい。


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