前世の話をした
私達が居たのは城の地下だったらしく、客室に行く途中の景色は前世で見た事がある場所だった。
きっと、王妃教育を受けに来たときに通ったのだろうなぁ~
そんな事を考えている間に目的の場所に着いたらしく、椅子に座った父の膝に乗せられた。
「娘が怯えるから部屋に2人っきりにしてもらえる?」
顔は笑顔だが圧を感じさせる父のご機嫌取りの為か、そそくさと人が退室していく。
父と2人っきりになった私は前世の話をするなら今だと思った。
扉の外に居るであろう人に聞かれたくない。ふと、前世の世界なら魔法が使えるのではないかと、前世で使えていた結界を使ってみたら問題無く使えていた。
「ねえ、パパに聞いて欲しい話があるの」
父の膝の上で向かい合わせにしてもらって、前世の記憶を今朝思い出した事。前世ではこの国に生まれそして冤罪により死亡した事。前世と今世は別のことだと思っている事。
父は疑う事も無く静かに私の話しを聞いてくれた。
全て聞き終えた父が何か言おうとした時、ドアをノックされた。
「王がお会いになるそうです。こちらに来るそうなのでしばらくお待ちください。」
少ししてやってきた王の顔は多少歳をとってはいるが、前世の私の婚約者だった人にそっくりだった。