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独白

独白シリーズ1話目。シリーズといいつつ、次の話からは書き方が変わります

 

 独白。漢字で書けば格好良く感じるが、要するは独り言。

 この話は僕の独り言である。


 …………

 僕は少し苛立っていた。4月の中盤、高校に通い始めて2週間くらいだろうか。僕の高校では、今日までに部活を決めることになっていた。昨日まで

「俺は青春なんていらないぜっ!」

 とかなんとかいっていた友人が、今日の放課後になって何があったのか

「俺はバスケ部で青春と彼女の両方をゲットすることにした!」

 と、言い出し僕を30分近く待たせた挙句、「先に帰っててくれ!悪いな!」

 などとぬかしやがったせいだ。そのせいで僕はバスを2本も乗り逃してしまった。あの友人に彼女なんてできるわけがないのだからむだな足掻きだというのに。

 バスに乗った僕は、とりあえず小説を読むことにした。どうせ家まで30分はかかるのだ。あの友人が余計なことを言い出さなければ今頃家に帰れていたのに。僕は深くため息をついた。

 本を読みながら、別のことを考えるのは得意だ。ただ、考え事に集中しすぎると内容が頭に入ってこなくなるので二度手間になるのだけど。

 横を見ると、音楽プレイヤーを使っている男子学生が目に入る。この人の学校では持ち込みが禁止されていないのだろうか。無駄に横顔が格好いい。女子にモテまくってるんだろう。イケメン爆発しろ。

 小説に目線を戻し、少し考え事をする。音楽を聴いて時間をつぶすのと、小説を読んで時間をつぶすのは、どちらが楽しい時間を過ごせるのだろうか。もちろん好き嫌いによって変わるだろうが、目で追わないといけない小説より、流しっぱなしでいい音楽のほうが楽かもしれない。ただ、楽と楽しいは果たしてつながるものなのだろうか。まぁ、僕はどちらかというと読書のほうが好きなのでどっちが良かろうと読書をさせてもらう。

 学校は何か体育会系に優しい作りになっていると思う。体育祭では活躍できるし、球技大会だってそうだ。文化系には文化祭があるといわれるかもしれないが、体育会系は体育会系で楽しむのだし、あまり関係ないのではないだろうか。文化系にも運動好きはいるだろうが、運動嫌いな僕にとってはあまりにも不公平にしか思えない。とりあえずマラソン大会というものを即刻廃止すべきではないだろうか。


 少々考えすぎたのでまた横を見てみる。イケメン学生は音楽を聴きながら眠っていた。寝過ごすかもしれないということは考えないのだろうか乗り過ごせばいいのに。

 ぐだぐたと愚痴のようなことを考えていると、自分がのどが渇いていることに気付いた・帰りにお茶でも買うことにしようか。

 と、なると問題はどちらのバス停で降りるか、だ。手前のほうで降りると、種類がたくさん選べる。ただ、家に帰るまでの時間が長くなることになる。

 家の近くのバス停になると、種類がほとんど選べなくなる。さて、どちらをとるべきか・

 先ほどの通り、僕は運動が嫌いだし、重い物も持ちたくない。考えた結果、手前のほうでお茶を買った場合、その分少しだけ荷物の量が増えることになるので家の近くで降りることにした。

 バス停までもう少し、何を買おうか考えて時間をつぶすことにした。


 バスから降りて、少し歩くと自販機がある。そこに行くと先客がいた。この辺に住んでいるおばあさんであろう。おばあさんは自販機でモノを買ったことがないらしく、買い方を僕に尋ねてきた。友達を30分以上待ってあげるくらいの人間としての優しさは持ち合わせている。何を買いたいのか聞いて、買い方を教えて差し上げると、おばあさんは、すごいねぇ…と言っていた。お年寄りからの若者の評価が低いらしいのだが、ああいうのはどうやって集計されているのだろうか。

 おばあさんに手を振って歩きだした。かなり歩いたところで気がついた。お茶を買うのを忘れてしまった。ここまで来たら家のほうが近い。早くお茶を飲んでのどを潤したいところだ。少しだけ早歩きで家への道を急ぐことにした。

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