トライアングル
会話のみの文章です
夕方の教室。机を合わせてノートを開いている4人の少女がいた。
弥生:「あーもう!全く判んない、なんだこの問題は!」
七海:「えー。弥生駄目じゃーん」
弥生:「勉強してないお前に言われたくないんだよ!」
瑠香:「弥生落ち着いて…。この問題は、これをXとおいて…」
美玲:「流石瑠香。弥生も見習いなよ!」
弥生:「お前が見習え!お前ら勉強しろよ」
七海:「面倒くさい」
美玲:「もう解き終わった」
弥生:「……」
美玲:「七海、ここのシーンってどうなってんの?」
七海:「それはなんか、バーン!感じ?」
美玲:「あぁ、了解」
弥生:「今ので解ったのか、おい」
瑠香:「あ、弥生。この前借りた小説おもしろかった。続きある?」
弥生:「あるよ。明日持ってくるわ」
美玲:「弥生の部屋って基本的に本しかないよね」
七海:「しかも大体小説。楽しいの?楽しいの?」
弥生:「半分は漫画だけど。本って娯楽だから楽しくなかったら買わないでしょ」
七海:「はいはい」
美玲:「はいはい」
弥生:「こいつら腹立つなぁ」
瑠香:「弥生、これってどうするの?」
弥生:「あぁそれは、定理に代入だと思う」
七海:「全くわからん」
弥生:「勉強しろ」
七海:「面倒くさい」
瑠香:「七海は予習はなんだかんだでちゃんとしてるんだよね」
七海:「怒られるのより面倒じゃないもん」
弥生:「そういうとこはちゃんとしてるんだよなぁ……」
七海:「瑠香、この前借りたドラマめっちゃ面白かったわ」
瑠香:「そう?よかった!主人公役の俳優さんが好きで見てたんだけど内容にも引き込まれて買っちゃったんだよね」
七海:「わかる。切ない恋愛いいよね」
美玲:「弥生、そこ計算間違ってる」
弥生:「あぁ…ほんとだ」
美玲:「まず長さを勘違いしてるみたいだけど?」
弥生:「本当だ…。いつ気付いた?」
美玲:「最初から」
弥生:「じゃあ言ってよ…」
七海:「今ドラマ何やってたっけ?あれだよね。バミューダ的な!」
弥生:「何処の魔の三角域だよ」
七海:「お前も三角形にしてやろうか!」
弥生:「どういう意味なんだ」
美玲:「正三角形希望!」
弥生:「希望すんな!」
瑠香:「じゃあ私は直角三角形で」
七海:「うわ、ずるい。じゃあ直角二等辺三角形はもらった」
弥生:「どんな張り合いなの、これ」
七海:「バミューダじゃないっけ?」
瑠香:「基本的には合ってる」
美玲:「大体合ってる」
七海:「じゃあいいや」
弥生:「いいのか?」
美玲:「三角って言ったら、隣のクラスで見事な三角関係ができてるらしいよ」
七海:「詳しく」
美玲:「A君はBちゃんが好きなんだけど、BちゃんはC君が好きで、C君はA君が好きらしい」
瑠香:「すごい見事な三角関係だね」
七海:「完璧じゃん。素晴らしいわ」
弥生:「なんかおかしい部分なかった?C君に何があったの?」
美玲:「世の中にはいろんな恋の形があるものって近所のお姉さんが言ってたわ」
瑠香:「そのお姉さん知ってるかも。でも、あの人、もとはお兄さんじゃなかったっけ」
美玲:「マジでか」
弥生:「色々あったんだろうね…」
七海:「三角って三辺しかないよね」
瑠香:「どうしたの急に」
七海:「私たちが三角形になるとしたら、一人余っちゃうね」
瑠香:「……そうだね」
美玲:「……トライアングルっていう楽器sるよね」
七海:「それがどうしたの?」
美玲:「あれは三角だけど、音を鳴らすためにはもう一本棒がいるわ」
瑠香:「……」
美玲:「それなら、4人一緒だよ」
七海:「…そうだね」
弥生:「いい話にしようとしてるのかわからないけど意味不明になってるよ」
美玲:「駄目かな。終わりよければすべてよし、みたいな」
瑠香:「流石に無理があると思ったわ」
七海:「やっぱり無理か」
弥生:「無理だね」