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自殺転生の溜まりカフェ  作者: 神果みかん
2話【始まりのカフェ】
8/19

男性と涙

2話4部です。

座って、、、

彼に付いて行くと、席に案内された。


『すいません。少々お待ちください。』


そう言うと、少し遠くに座っている客の方に歩いて行った。


私は、カフェなどの商業施設に入った事が無い。


親が仕事で頑張っているのに、私だけ贅沢をしないと決めていたからだ。


カフェという存在は知っていたが、何をするところなのか見当がつかなかった。


『お待たせいたしました!お冷です!ご注文をする際には、私を呼んで下さいね!』


華さんが私にお水を持ってきたようだ。


妙に暗いけど、なんだか温かい雰囲気の店内で、居心地が良かった。


その時だった。


『その時どうすれば良いかわかんなかったんだよ!!!!』


私は、声のあった方向に目を向けた。


声を上げたのは、オーナーが対応していた中年の見た目をした男性だ。


先ほどから何やら話していたようだった。


なにやら喧嘩しているようだ。


私は、その喧嘩に耳を傾けた。


『お前に何がわかるんだよ!』


男性は、オーナーさんに水をかけた。


それでもオーナーは、笑顔でこう答えた。


『分かりますよ。嫌でも。』


オーナーから放たれた言葉は、妙に重みを感じた。


彼は続けてこう話した。


『その時生きることが辛くても、味方がいなくても、憎まれても、嫌われても、死にたくなっても、生きていかなければならないのです。』


そして彼は続けてこう話した。


『自殺というものは、これからの自分の可能性を捨てるということです。死んだら、何もかもが終わってしまうんです。』


次に口を開いたのは、中年の男性だった。


『そんなことわかってる。だけど、なにをすれば良いかわかんなかったんだよ!』


そして、オーナーはこう話す。


『あなたは、本当に考えたのですか?』


『ああ、考えたよ。』


『では、第三者に意見を求めましたか?』


『!?』


中年の男性は、目を丸くした。


『どうなんですか?答えて下さい。』


『え、いや、、その、、』


中年の男性は、オロオロとして震えている。


『あなたには、小学生の頃から女性の幼馴染がいたはずですが、その人には相談したのですか?』


『何故、それを、、、?』


中年男性の震えが一層増した。


『何故あなたは、幼馴染に助けを求めなかったんですか?』


男性は震えを止めて、話した。


『彼女には、心配をかけたくなかったんだよ。僕が初めて恋をした相手なんだよ。この気持ちを伝えるために、働いて、稼いで、彼女を安心させてあげたかった、、、、だけど、』


続くようにオーナーが話した。


『入った企業がブラック企業で、労働基準法を軽々と破り、休みも取れない、退職もできなくて、辛い現実から逃げるようにして自殺したと、、、そうですね?』


男の目は、喪失感のような目をしている。


『・・・はい』


私と似ている。自殺した理由は違うけど、私のようにつらい経験をしていた事が、目で分かった。


あれは、昔の私のような目だ。


『何が幼馴染だ、、何が恋人だ、、、』


オーナーが呟くのが聞こえた。


『くだらねぇ』


『は?』


『くだらねぇ。くだらねぇ。くだらねぇ!』


オーナーは、丁寧語が無くなっていた。


オーナーは、口を開けた。


『迷惑をかけない事のどこが恋愛だ!本当の恋人は、迷惑を掛け合うもんだろ?それでも、相手のことを信じる。2人で悩みを共有して共に助け合う。だって、パートナーじゃないか。人生、どんなことがあっても乗り越えていく一生の仲間じゃないか。1人で乗り越えようとしても登れない壁があるなら、ゆっくりでも良いから手を取り合って生きていく。それじゃダメなのか?最愛の人に悩みを言うのがそんなに怖いか?ならそれはもう、“恋愛ごっこ”だ!』


『!?』


男性は、涙を流していた。


その言葉は、私にも響いた。。。


私には、母親が居た。


なのに、笑顔を作って、辛さを隠して生きてきた。


あの時、話していれば何かが変わったのかな、、、と考えた


私は“親子ごっこ”をしていたのかもしれない。


私も涙が出てきた。


『もう1つ』


オーナーが席を立った。


『君に見て欲しいものがあります。』


オーナーは、テレビの電源を付けた。


そこに映っていたのは、


『さな!?』


男性は、画面に映っている女性の名を口にした。


『このテレビは、自殺をした人たちが元々住んでいた世界を映す事が出来ます。干渉は出来ませんが、声ぐらいなら聞くことが出来ます。聞きますか?』


男性が好きだった人が映っているのだろうと察した。


そして、画面の女性は、こう語った。


『けんちゃん、、、なんで自殺なんかしたの!?なんで私を頼ってくれなかったの!?辛かったなら言ってよ!!そんなに私が頼りなかったの!?』


女性は、泣き崩れていた。


『、、、ごめんよ、さな、、、』


男性も涙を堪えるのに必死のようだ。


だけど次の女性の言葉で、涙腺が崩壊する。


『ずっと好きでした』


『っ!?』


そして男性は、体が一気に脱力したように崩れていった。


決壊したダムのように涙が止まらなかった。


オーナーは、向き直ってこう言った。


『自殺なんて、なにも生みません。苦痛から逃れるために何もせず、行動をしない、考えもしないのは、ただの甘えです。神様が解決してくれるなんて、絶対にありません。人間は、誰だってチャレンジャーです。この荒波を超えた先に、ご褒美が必ずあります。実際あなたには、まだ選択肢が複数ありました。自殺なんてしなければ、想い人から、彼女になっていたかもしれません』


男性は、ずっと泣き崩れたまま動かない。


数分後、椅子に戻り口を開いた。


『オーナーさん、お願いします。さなと、お話をさせて下さい!!!!』


その言葉を聞いた瞬間のオーナーの反応が早かった。


『それは、なりません。死んだ人たちはもうあの世界には、干渉できません』


『頼むよ!この通り!』


男性は、椅子から降りて土下座をしていた。


オーナーが怒る、、、かと思ったけど、、、


『私だって、干渉できる方法があるなら知りたいですよ・・・』


彼は、笑っていた。


また、あの目だ


喪失感のような、そんな目をしている・・・


オーナーにも、そんな過去があるのだろうか、、、

次回は2話の5部です。

男性がとった行動は、、、?

お楽しみに。

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