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無手の本懐  作者: 酒井冬芽
第一部
39/111

第39話 監軍護法

大正十三年二月十五日

(1924年2月15日)

東京・三宅坂 

陸軍参謀本部 参議官詰所



 詰所入口のドアをノックする音ともに

「石光であります」

という、聞くからに繊細で神経質そうな声が聞えた。

上原は、ソファに身を持たせ掛けたまま、鷹揚に構え、信頼する部下の入室を促す。

「失礼します」

という言葉と共に伏せ目がちに入室してきた東京南部警備司令官・石光真臣中将は、室内を見回し、一瞬、ギョッとした顔をした。

上原の私室には、腹心の軍事参議官・福田雅太郎大将と、その同輩・町田経宇大将の二人が既におり、両者と上原は暇を持て余して、歓談していたらしい。

石光の微妙な表情の変化に気が付いた上原は、

「気にするな。福田も、町田も、我が分身も同然だ」

と、石光にも席をすすめた。

「どうした?石光」

同じ九州閥の後輩である石光の奇異な様子を怪訝に思った軍事参議官・町田経宇が肥満した大きな体躯に不釣り合いな小さな顔を不審そうに歪めつつ問い質した。

「……はっ」

若干の間を置いて、返答した石光であったが、事が事だけに、そのまま発言するのを憚り、上原に

「閣下、申し訳ありませんが、お人払いを……」

と申し出る。

石光のその言葉に福田は、一瞬、不愉快な表情を見せたが、町田は事も無げに「あぁ…すまん」と独り言の様に呟くと席を立とうとした。

「構わん、石光。貴様らもそのままで良い。如何した?」

上原は一派の首領らしく、大人物に振る舞う。

「……畏まりました」

石光は、(仕方あるまい…)と言った風に観念した様子で吐息を漏らすと

「件の二等主計、その身柄を抑えました」

と、上原に報告する。

「でかしたぞ、石光。よく、見つけ出したな……。その二等主計、協力しそうか?」

上原は、痩せたショウジョウバッタをどこか連想させる石光の馬面を満足気に見据え頷く。

「免責及び本人、家族の保護を条件として告発に同意しました」



 陸軍省機密費横領疑惑。

陸軍省大臣官房が管理する陸軍省の機密費。これは、正規の陸軍予算の一部であり、その名称の通り、その使途に関して帝国議会を始めとした陸軍外の勢力から問われる質の物ではない。

その主目的は、各国に張り巡らせた諜報網の維持管理費用や情報提供者への謝礼であるからだ。

諜報網の存在や、情報提供者の氏名が明かせない以上、機密にするのは当然であり、それ自体は何ら問題ない。

 だが、同時に「いついつまでに必要となる」種類の経費でないのも事実だ。

情報の質に対して等価として支払うものである以上、当初計上された予算が余る年もあれば、足りない年もある。

この余った機密費を陸軍省大臣官房は大臣、次官、副官らの個人名義定期預金として銀行に預金し、代々、担当者が変わるたびに名義の書き換えを行い、予算の返納を免れてきていたのだ。

現・秋山陸相の先代は田中義一、その前は山梨半造、そしてその前は再び田中義一、更に大島健一、岡市之助……

秋山以前のここ十年、いずれも長州閥系の人物が陸軍大臣職を占めている。

定期預金は個人名義に書き換えられているとはいえ、その詳細な目録は確実に受け継がれており、現在では秋山、渡辺らの名義に変更されている。

ここにも問題は無かった。

問題は、定期預金の利子にあった。



「それで、行方が分らぬ利金は如何ほどになっているのだ?」

「先の震災で、預託していた興業銀行の帳簿が焼失してしまいましたので、詳細は如何様にも不明ですが……三瓶二等主計が個人で記録していた帳面によると現在、判明しているものだけで380万円。先程、さり気なく大臣官房に問い合わせたところ、現在、秋山陸相、渡辺次官名義の利金残高はおよそ80万円との事でしたので、その差額300万円となります」

「なんと…!?」

「んぐ……」

事の経緯を始めて聞き及んだ福田、町田両者は絶句し、声も出ない。

「田中大将が指示し、その預金利子で公債を買ったことまでは、身柄を検束した三瓶二等主計の自供により判明しております。そしてその公債が、恐らくは田中大将の……」

「選挙資金になっている……か」

「はい」

上原は、目を瞑ると沈思する。

それは石光入室の際に従卒が淹れてくれた番茶から、湯気が消え去るほどに長い沈黙だった。

居た堪れなくなった町田が

「元帥閣下、この情報を政府与党に流しましょう。さすれば、苦戦を強いられている与党は逆転し大勝するでしょう。我々は政府に貸しを作り、田中義一と長州閥に止めを刺す事が出来ます」

と発言すると、福田も続けて

「町田大将の意見に、この福田も同意します」

と、身を乗り出す。

しかし、上原も石光も沈黙したままだ。


「我が陸軍はどうなるのだ?」

上原は、ようやく口を開いた。

「は?」

敬愛する首領の意図が掴めない福田と町田は顔を見合わせる。

「俺も、先程までは貴様らと同じ考えだったが……如何せん、額が大きすぎるわ。貴様ら、もそっと新聞を読むようにせい。為になるぞ…いいか?」

 その説明は端的だった。

世相は、今、軍縮、軍縮へと流れており、日露戦争より二〇年を経た今、庶民は軍人を「無用の長物」として軽侮する事、甚だしい。

その時期に、いかに機密費の名目とはいえ、利金だけで380万円に達する様な莫大な定期預金を蓄財し、いわんや、それを私的流用したなどと、世間に露見すれば……

「陸軍はこの先20年、日蔭者じゃぞ……」


 上原の説明でようやく、事の重大さを理解した両者は、焦りにも似た表情を浮かべる。

そう、金額が余りにも大きいのだ。

それは当初、上原や石光が想定していた金額より、完全に

「0が一つ、多い…」

のだ。

「閣下…。それと、もう一つ、気になる事が……」

躊躇いがちに石光が言葉を継ぐ。

「この一件に関して、検察の石田検事が内偵を進めているようです」

「ぐっ…」

石光の言葉に、上原は今度こそ、絶句した。


「まずい、非常にまずい…」

「田中潰しの切り札ともなるが……諸刃の剣だな、これではまるで…」

激しい焦燥感に覆われた詰所内は、重い空気が充満し、今にもドアや窓を叩き割って漏れ出しそうだ。

上原一派にとって、己が手を汚さずとも長州閥の息の根を止められる検察の捜査は、本来、歓迎すべき筈だ。

だが、事態が事態だけに、陸軍省を始めとした陸軍全体にまで類焼が及ぶのを防ぎようがない。

陸軍の名誉は地に墜ちる。

更に検察は、田中に近い平沼騏一郎が支配するところ。

担当検事の意志や使命感がどうであろうと、かの閻魔大王が捜査をどの様に恣意するか、分ったものではない。


「閣下、如何いたしましょうか?」

「閣下、閣下!」

一同の声音は、遠雷の如く鳴り響き、上原の体躯に降り注ぐ。

(糞、田中め、厄介な真似をしおってからに……)


 既に陸軍は、シベリア出兵の際に白ロシア軍から武器購入代金として託された金塊20余箱の行方が不明になるという大失態を演じている。

この一件は、当事者である白ロシア軍自体が崩壊したせいもあって、大きな問題とはなっていないが、いまだ庶民の記憶の片隅に残っているはずであり、此度の機密費横領が露見すれば、いよいよもって陸軍そのものの体質に対して、重大な疑念を抱かせる事になりかねない。

 既に、シベリア出兵失敗により外征型陸軍としての存在意義を疑われている上に、この追い討ちでは、陸軍はありとあらゆる罵詈雑言を甘受せねばならなくなるだろう。

陸軍を誰よりも愛する上原にしてみれば、田中という獲物を狩る贄として、陸軍を差し出すのでは、どうにも天秤が釣り合わないのだ。

加えて、直情にして狷介粘質な平沼騏一郎の性格からして、罪を是として野放しにする事はないだろう。

彼は少なくとも悪人ではなく、単に己自身の信望する……それは、他者から見れば歪んだ物ではあったが……正義感に忠実なだけなのだ。

しかし、平沼が旧山県閥に連なる人物である以上、その支配下にある検察に証人を確保されては、この先、全ての責任を現職の

「秋山・渡辺に負わせる…」

という事さえ、考えられるのだ。


「石光…」

ついに決断を下した、上原は重々しく、口を開いた。

「ともかく先々の事は、また考えるとしてだな……とりあえず、その二等主計の身柄、東京憲兵隊の監視下におけ。貴様は警備司令官だが司法権がある訳ではない。だが、憲兵隊ならば陸軍内部の事として検察の呼び出しに対して、突っぱねられる。今の憲兵司令官は……」

「荒木貞夫少将です。我が股肱の臣といっても差し支えない男、必ずや、検察から証人を守りきれるでしょう」

福田が、前に乗り出す様にして、上原に自己の存在を顕示する。

「うむ……。その荒木とやら申す者、信用に値するのだな?」

「申すまでもないこと。この福田が太鼓判を押しましょう。閣下、是非この一件の先行き、この福田にお任せ下さいませ」

福田は、そう言うと、両の手を卓上につき、上原に頭を下げる。

日頃は「怠惰な奴」と思っていた福田の、常ならぬやる気満々な姿に同輩の町田は、少しばかり呆気にとられた様子だったが、ここまでの自分の努力や手柄を奪われる様な形となる石光は、憮然とした表情を隠そうともしない。

「うむ…よし、福田、貴様に任せよう。すまんな、石光」

「はっ」

首領と仰ぐ上原にそう言われては、石光としては返す言葉は無い。しぶしぶ、引き下がる。

「ありがたき幸せに存じます」

そう、卓上に面体を伏したまま、上原に畏まる福田。

その伏せられた顔面が、陰惨な野心に彩られ始めている事を上原は知る由もない。




東京・蒲田

東京憲兵隊官舎


 東京憲兵隊長を務める大橋常三郎憲兵大佐は、震災によって土台が傾いてしまっている東京憲兵隊の将校用官舎の一室にて、和服の両袖に手を差し込み、腕組みをしたまま、ただ黙然としていた。

「監軍護法」を旨とし、予備役編入を間近に控えた五十余歳となるまで、職務一筋に励み続け、己の半生を奉げた憲兵生活には恥ずべき一点の曇りさえなく、このままでいけば大過なく無事、終える筈だった。

 しかし、先年、発生した大震災が全てを変えてしまった。

いや、正確には部下の甘粕憲兵大尉の引き起こした「大杉栄夫妻殺害事件」が、だろう。

一徹な性格である大橋は自ら、一切、身内贔屓する事無く、甘粕に対し厳しい取り調べを行い、その背後関係を探ったものの、甘粕一流のおとぼけによって、いま一つ、真相がはっきりしない。

堅物の大橋としては、のらりくらりとした甘粕の態度は不愉快極まりなく、軍の規律を維持する筈の憲兵が犯した罪科という事あって、今上陛下に対しても申し訳なく、居た堪れない気持ちに苛まれていたが、同時に、その甘粕の背後に隠れる者に捜査の手を伸ばす事は、己の身を滅ぼす原因となるかもしれない……と漠然と感じてもいた。

 この事件の責任を取らされる形で、大橋の上官である憲兵隊司令官・清水六一少将が異例の停職に追い込まれたが、これとて捜査に積極的であった清水の更迭だった…とも考えられる。

「……納得できぬ事ばかりだ」

大橋は薄暗い私室で、独り呟く事しか出来なかった。


 この日、清水の後任として暫定的に憲兵司令官を兼務していた柴山歩兵第一旅団長に代わり、先頃、憲兵司令官に任じられた荒木貞夫少将から呼び出された大橋は、陸軍省大臣官房の二等主計・三瓶俊治の身柄を預けられた。

陸大時代より、俊才の誉れ高い新任の荒木ではあったが、叩き上げの憲兵・大橋から見たら、

「どうにも、胡散臭い奴」

と見てとれた。

言っている事は至極、威勢が良いが、どうも実が伴っていない。

 志願兵のみで構成される憲兵は、良い意味で職務に忠実であり、法令遵守に熱心な集団であったが、荒木の様に大言壮語を駆使し、他部署から身内を連れて来て自らの周囲を固めたがるような人物が現れると、司法機関としての機能は容易く掻き回されてしまう。

「いっそのこと、清水閣下と共に退役してしまえばよかった……」

白髪混じりの坊主頭を掻きながら、大橋は己が手塩にかけた憲兵隊が変質していく様を傍観者の目線で見つめ、ただ呟くしかなかった。


 荒木から固く「誰とも会わせてはならぬ」と言い渡され、身柄の保護を命ぜられた件の二等主計に興味を持った大橋は、憲兵隊長としては異例な事であったが、直接、その男と面談した。

何故、大臣官房の二等主計が如き軽輩を保護しなくてはならないのか?

詳しい事情は聞かされなかったが、荒木の口ぶりでは、どうやら何かの一件に絡む重要な証人…という事らしい。

憲兵一筋三十年、叩き上げの嗅覚が臭った。


(さては……甘粕絡みの証人か?)


 荒木に尋ねても、どうせ口を割るまい…と考えた大橋は、事情を知っているふりをして、東京憲兵隊の応接室において、軟禁同然に保護している三瓶に茶菓子持参で会いにいったのだ。

しかし、当の証人たる三瓶は、初対面の大橋が拍子抜けするほど軽く、口を滑らせた。


(田中大将が機密費を横領した……だと?)


甘いものに目が無いらしい三瓶が、渋い茶と大福を頬張りながら、よく滑る舌で喋り続ける内容に、大橋は平然を装いつつも、頬は総毛立ち、肌は粟だった。


(えらい事になった……)


荒木の様子から「甘粕絡み…」の証人と睨んで近付いた男が、その上を行く様な重要証人であったのだ。

荒木が、この証人をどう使うか?それは知らぬ。

だが、およそ法令遵守とは無縁そうな、この新任上司の事だ。

恐らくは、己の属する閥の役にでも立てるつもりだろう。

腹立たしいが、荒木とその背後に控える九州閥の強面達の顔を思い出すと、一介の憲兵隊長の力では


(どうにもならぬ…)


事も理解出来た。

「祇園精舎の鐘の音……」

皮肉な微笑を浮かべた大橋は、心根から屈折しそうな虚無感に覆われ、ただ呟く。

国と国民、そして何より今上陛下を守護し奉るべき誇り高き帝国陸軍が、自らの犯した罪を隠蔽し、あまつさえ、それを派閥抗争に利用しようとしている。

しかも率先して法を守るべき憲兵司令官自身が、法を守らず、軍規を乱そうとしているのだ。

それに対し、これを掣肘し、法の制裁を加えるべき憲兵の自分は、何も出来ずにいる。

果たして己の半生を奉げた陸軍とは、一体、何だったのだろうか。

「諸行無常の響きあり……か」

脈絡もない考えが浮かんでは、消えていき、意味もない言葉が吐き出されては、闇に呑まれていった。



「御父様、お茶を淹れ直しに参りました」

締め切った障子の向こう、縁側から声がした。

「あぁ……富士さんか……。頼むよ、熱いのを」

「はい」

部屋に入って来たのは、大橋の長男・武夫の許嫁・富士だった。

傍らの関東火鉢の上で湯気を吐き出す鉄瓶から、急須に湯を注ぐ若い富士の横顔を見つめながら大橋は、

「今日は寒いね」

と軽く声をかける。

「そうですね、すっかり二月らしくなって……御父様も風邪など召されませぬように……」

そう言いながら、富士はなみなみと茶の注がれた湯呑みを差し出す。

彫りの深い顔立ちに、黒く、大きい双眸。

まるで吸い込まれてしまいそうな程、印象的な富士の眼差しは、彼女の父親に良く似ていた。

 武夫がまだ東京帝大の学生ということもあって、許嫁とは言う立場ではあったが、女手の無い官舎住まいの大橋家の為に“行儀見習い”という名目で通ってきては、身の回りの世話をしてくれる富士の心遣いを「武夫には過ぎた嫁殿」と思い、大橋は好いていた。

いまだ十代、ふっくらとした白い肌に微かな幼さの残る産毛が似合う、美しいその顔をまじまじと見入った大橋は、彼女の面影に、己が次に打つべき一手を見出した。

「御実家のお父上は、今、お忙しいだろうね?」

「はい…。御父様にもすっかりご無沙汰してしまいまして…申し訳なく思っております」

恐縮した様な富士の物言いに、大橋は軽く手を振ると

「いやいや、無沙汰は互い様だ。お父上にとって選挙は戦も同然、どうにも仕方あるまい」

と慰める。その温かい心遣いに富士は小さく微笑み、頭を下げる。

「選挙は…大変そうだね。与党は苦戦中だと聞いているが…。党の重鎮としては、休む暇もないほどだろう?」

「さぁ、私には政治の事は分りませんので……」

その愛らしく小首をかしげる無垢な姿に、大橋は一瞬、息子の閨閥を利用する事に罪悪感を感じ、躊躇ったが、やがて意を決した。

「富士さん、これから手紙を書くから、帰ったらお父上に直接、渡して貰えないかな? 遣い立てするようですまないが……」

「畏まりました。では只今、硯を用意して参ります」

そう言って部屋を出ていく彼女の後ろ姿を見送った大橋は心中、深く詫びながら、富士の父親、即ち、『憲政会の獅子』浜口雄幸文部大臣宛ての手紙をしたためるべく、傍らの文机を引き寄せ、両の肘を預けた。


2009年12月19日 サブタイトルに話数を追加


2010年2月1日 誤字訂正

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