表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界ツアー  作者: 緑山 五月
4/24

4話 近代兵器で冒険者

剣と魔法の世界のはずなのですが。


短機関銃の銃弾で崩れ落ちる生き物。


群れも掃射で全滅だ。


こういう場合は快感、とか言うんだったかな。


古い情報だからよく判らんが。


銃は例の幹部からのプレゼントだ。


組織を去るからと、奮発してくれた品。


言えば3丁とマガジン大量にくれたんだが・・


異世界に行くからと、横流ししたんじゃねぇのかよ。


それはともかく、これってゴブリンだよな、多分。


ええと、テンプレだと左耳だったかな。


けど、念の為に両耳と牙と角を取っておくか。


右耳だったら情けないし、他の部位でも悲しいからな。


ビニール袋は論外として、ここは紙ぶく・・いかんいかん。


紙が貴重かも知れない、ってのもテンプレにあったはずだ。


使い古しのタオルでいいか。


最初は新品だったんだけど、今じゃ雑巾だな。


衛生観念が無いのかどうか知らんが、そこら中どろどろだしよ。


ギルドのドアの取っ手とか、油でギトギトになってたし。


石の薄板に石墨みたいなので必要事項を記入したけど、


あれも妙に汚れていると思ったら、手垢でベトベトだった。


あんなの小まめに掃除しろよな。


おまけに読めないって、そりゃ読めないわな、日本語だし。


くそぅ、言語理解は良いが、書けないと意味が無いぞ。


んで、代筆費用も加算されて、借金が増えたと。





最初の時、オークを倒したと思ったら、頭の中に音が響いた。


レベルアップだと彼が言っていた。


あの時は石を全力で投げたが、即死してびっくりした。


身体強化の恩恵をまず感じたのはあれだったな。


それから街に行って冒険者とかになれたんだが・・


ならざるを得なかったと言うべきかも知れない。


身分証明が無いと言った時の門番は、胡散臭そうな目でオレを見た。


オークの血をナイフに付けておいた保険で助かったが。


襲われて荷物捨てて逃げたと言えば通じはした。


変な服とか言われて、旅の行商人から買ったと誤魔化した。


身分証明が無いと、街に入るのに毎回金が要るらしい。


身分証明について聞いてみると、冒険者になるのが手っ取り早いとか。


なので冒険者ギルドに行く事になったが、門番も付いて来た。


身分証明が無いとこういう面倒な事になるらしい。


金は毎回必要なうえに、監視付きとかやってられん。


なので仕方なく冒険者になる事にしたのだ。





それは良いが文無しだ。


門番が居なければ裏っぽい店で貴金属を売ろうと思ったのに。


文無しで冒険者になると、貸金契約で登録料を貸してくれるとか。


けど暴利なんだな、これが。


トイチならまだいい、トサンでもこの際構わない。


だけどさ、トジュウは無いだろ。


10日後に倍にして返せってさ。


しかも、登録に血を使うから、払えないと奴隷落ちってよ。


中々に厳しい世界のようだな。


こりゃ送った奴ら、軒並み奴隷になっているんじゃないかな。


冒険者になって換金しようと思ったんだが、証明部位は角だった。


耳、関係なかったよ、テンプレに騙された・・


なんでも角は錬金術の材料になるのだとか。


後は魔石だな。


だけど、ゴブリンの魔石は安いらしい。


オークの解体、やっときゃ良かったけど、今更だった。


そんな訳でマイナス銀貨30枚スタートの冒険者になった。


だけど、周囲から人が消えればこちらのものだ。


早速売りに行きましょう。


カエデの葉っぱの金貨はいくらで売れるかねぇ。





「見た事の無い金貨だな」


「遺跡で見つけたんだ」


「使えない金貨か、まあ、銀貨50枚で買ってやるよ」





そいつの足元に複数の穴が開き、軽快な音が響く。


殺しちゃうと罪人になって奴隷落ちになるから我慢だ。


だけどこの交渉手段は有効だったようで、金貨15枚だそうだ。


10枚売って150枚確保。


全く、足元見るにも程があるだろ。


通貨は100枚単位で繰り上がると彼に聞いた。


銅貨・銀貨・金貨・白金貨・黒金貨だそうだ。


テンプレだと銅貨が10円ぐらいのはずだ。


銀貨50枚は5万円相当で、金貨半分って事になる。


短機関銃交渉で30倍になるって事は、酷い商売もあったもんだ。


ともかく当座の金は出来た。


後は小物類に両替にと色々店を巡り、宿も1ヶ月借りた。


銀貨5枚って事は5000円相当か。


素泊まりならそんなもんか、田舎っぽいし。





とりあえず人心地ついたが、明日には返金しないとな。


倍返しに代筆で銀貨30枚か、酷いもんだ。


しかしこんな厳しい世界となると、あいつどうしてるかな。


あいつのせいと言えなくもないけど、憎めないんだよな。


あんな相性の良かった女は初めてだったし。


元妻より良かったとか、別れた妻には言えないな。


いかん、思い出したら抱きたくなってきた。


娼館を探すのも良いが、どうせなら専属が良いよな。


奴隷も存在している事だし、ここはひとつ・・いや、待て待て。


先に情報収集をしないとな。


町のレイアウトも知りたいし、どんな店があるかも必要だ。


初心者冒険者の仕事を何件かやり、一般常識を手に入れる。


町でのお使い、手伝い、荷物運び、などなど。


馴染むと同時に情報収集になる仕事だ。


そして街にも馴染んだ頃、薬草採取の依頼を受けた。





だけど何処に生えているのかが判らない。


そんな時、群生地があると教えてくれる奴がいた。


チンピラっぽい奴の情報だったのが不安要素だ。


無かったら無かったで処分すれば良いんだし・・


場所は森を抜けた先の河原とか、さすがにおかしい。


こりゃ連行してぶち殺すか。


なんて思って河原に行くと、ワニがいた。


いや、ワニみたいな魔物、リザードマンか。


四足で歩くリザードマンってのも変だけど、今はそんな・・


うお、意外と素早いぞ、こいつ。


食われそうになって、思わずピンを抜いて投げる。


食い物かと思ったのか口を閉じ、数秒後にくぐもった音。


頭の中にファンファーレが響き、口から血を流して倒れる相手。


当たり所が良かったのか、それともショック死か。


なんにせよ助かった、感謝だぜ、幹部さんよ。


手榴弾は残り1個しかないけど、これも保険だったしよ。




さあ、ぶち殺しに行くか、クククッ。


おっと解体して部位を取った後は証拠隠滅だ。


火薬とか破片とか、そんなのを見せる訳にはいかん。


ええと、魔法はイメージだったよな。


火葬場のイメージでやってみるか。


う・・イメージが沸かん、どうしてだ。


ああ、燃えている最中とか、見れないからか。


ええと、炎、炎、何か無いか・・ええと・・


あれか、しかしあれは、でも、他には、仕方が無いか。


解体した残りを纏めて置いて、かなり離れて魔法を使う。


身体の中から何かが抜けて、爆発的に燃える残物。


いやぁ、やっぱりこうやっちまったか。


花火の事故の映像を思い浮かべたんだが、拙かったな。


あれぐらいしか思い付かなかったんだよな。


もっと小規模な炎を何とかしないと、目立って仕方が無いぞ。


ええと、水のイメージは・・よし、あれでいくか。


うおおお、止め止め止め・・


ナイアガラはやばかったな、やれやれ。


雨も降ってないのに大増水になっちまったぞ。


下流に町があったらごめんなさいだな。


魔法が使えたのは良いけど、イメージを何とかしないと。


今後の課題だな。





それはいいが、オレのステータス、どうなってんだ。


魔法の記載なし、ステータス人並み、なのに規格外。


マスクデータとかありそうな気がしてきた。


そもそも、普通の隠蔽とかギルドには通用しない。


なのに騒ぎにならなかったって事はそう言う事だろう。


身分証明と引き換えに、ギルドに個人情報を売る。


本当は嫌だった理由がそこにある。


しかもなったらなったで1ヶ月依頼受けないと失効って・・


タダならまだしも金払って失効って酷いもんだ。


免許でも3年から5年だぞ、あれ、10年だったかな。


持ってないから知らんが、確かそれぐらいだ。


大抵は無免で借りて運転してたからな。


窃盗じゃないぞ、返したからな。


ただ、無断で借りただけだ。


ガソリン代にと万札を置いたんだ。


感謝してくれても良いぐらいだろ。





それはともかく、偽情報の主を捕らえてギルドに提訴。


証明部位でそいつは有罪となり、奴隷落ちで損害賠償。


職員と一緒に奴隷商館に行き、売った金の8割を確保。


残りはギルドの手数料だそうだ。


ついでに奴隷を買おうか。


最近もう、うずうずしてよ。


この身体、15才ぐらいだから余計だ。


若い頃ってこんなに本能が強かったのか。


さてさて、種族は問わない。


女で安いやつな。



トイチは10日で1割という非合法金融の利率です。

トサンは3割、トジュウって言葉があるのかは知りませんが10割です。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ