21話 魔導具交易
どうせ帰るなら何かを持って帰ろうと思い立つ。
結局、出さなかった乾電池を分解し、容器だけを使う。
それと言うのも、魔導具の動力にと閃いたからだ。
普通は魔石1個を使うが、容器に3個入るのだ。
もっとも、ゴブリンの魔石だけど。
しかもそれなら入れ替えが容易だし。
魔導具屋と色々相談して、画期的のお墨付きを得た。
そして杖状の魔導具の作成を依頼する。
長さが30センチぐらいで、中に魔電池を入れるように。
発動キーは何にするかと聞かれたので【カット】でお願いした。
杖を持って【カット】で3センチぐらいの火が灯るだけの魔導具だ。
5秒で切れるけど、柄が長いので需要があるかもと言われる。
特注で造れるだけ頼んでおいて、前金として白金貨10枚渡す。
馴染みの商会の関連なので、信用はかなり高いはずだ。
1本銀貨10枚で作りますと言ってくれた。
特注なのに定価の半分って良いのかよ。
その代わり、本店に肉を届けてくれと・・成程な。
半年で岩竜の肉を食い尽くしたようだな。
まあ、そこまで長持ちしないだろうが。
さて、次はギルドに依頼を出しておくか。
「え、ゴブリンの魔石ですか?」
「大量に欲しいので、単価銅貨10枚で」
「相場は普通、銅貨5枚くらいですよ」
「数の限度無しで大量に欲しいので」
「それならきっとたくさん集まりますよ」
「とにかく相場の倍でお願いします」
「どれぐらい必要なんですか」
「最低15万個」
「そ、そんなにですか」
「金はカードから抜いてくれ。かなりあるはずだ」
「あんまり置けないので引取りを時々お願いします」
「うちの警備に話しておく。あいつら元冒険者だし」
「元と言う事は休止ですか。となると最低でも中級の・・」
「ああ、元上級の猛者だ」
「それなら暫定じゃないですね。中級だと最長1年ですから」
「ああ、今は休止しているが、そのうちまた動くかも知れん」
「判りました。それではこれが引き換えの証明書になります」
「とにかく大量に可能な限りな」
「判りました」
よし、魔導具と魔石は何とかなりそうだ。
とりあえず手持ちの魔石は魔電池64本に化けたと。
杖の試作品も何とか作ったが、大量には無理だしな。
さて、向こうで売ってみて需要があるようなら・・
どれだけオタクが居るかが問題だ、なんてね。
見本を持って行ったから、そっくりになるはずだ。
どのオモチャ屋の製品より本物に近い品と。
どっかの催し物会場でデモンストレーションするか。
某国のモノマネ商品とは比べ物にならんぞ。
後は向こうで電池屋さんに特注しないとな。
ロット1つ使うのにどれだけ発注が必要かな。
まあ、杖が売れたらの話だけど。
さてと、商会に肉を卸して、色々買い集めるか。
「ほい、例の肉20キロ」
「ありがたいね、久しぶりなんだよ」
「冷蔵しても無理だったのか」
「ええ、ギリギリで3ヶ月でした」
「残りは塩漬けか」
「実は細切れにしてスープに入れましてね」
「贅沢なスープだな」
「そうなんですよ。従業員に大好評で」
「それでな、果物が大量に欲しい」
「今の季節だと、マイタンと後メランギがありますね」
「お、メランギがあるのかよ」
「どれぐらいですか」
「あるだけだ」
「くすくす、それでしたらかなりですよ」
「マイタンをメランギと同数で」
「ざっと、そうですね、白金貨25枚ぐらいかな」
「ワイバーン1匹でどうだ」
「あはは、それで良いですね」
「後はな、紫水晶はあるか」
「在庫は、確か7個ですか」
「全部欲しい」
「単価白金貨20枚ですね」
「ワイバーン7匹」
「くすくす、便利ですよね」
「錬金の人工水晶はあるか」
「手配すればかなり集まると思いますが」
「1ヶ月で可能なだけだ」
「単価白金貨5枚ですね」
「ワイバーンで払うぞ」
「どんだけ持ってんですか」
「とりあえず、今回の分を裏に出す」
「はい、お願いしますね」
マイタンは見た目ミカンのスイカ味。
メランギは見た目キューリでメロン味。
まあキューリと言ってもヘチマぐらいあるが。
丸齧りすると、まさにメロンの味がすると。
瓜の親戚のようなものだから判らんでもないが。
後はスイカぐらいの大きさのブドウとか。
あれは隣国の名産品だから無理だな。
後は何か無いかな。
紫水晶にはMP5000は入る。
そして大きさがリンゴぐらい。
人工水晶はボーリングの玉ぐらい。
それはMP15000ぐらい。
だが、天然になると50000は入る代物だ。
大きさは天然と同じでも、及ばないから安いと。
天然は白金貨数百枚で取引されている。
いわば廉価版だな。
有名な御伽噺にこんなものがある。
勇者召喚には天然の水晶珠を数多く連ねてと・・
かつてこの世界にも魔王が居たらしい。
むかしむかしの物語のようだけど。
それはともかく、人工水晶は主に、
錬金術師の練習用に造られるものだ。
作って壊してまた造る。
少し無駄が出るけど、練習には最適って奴だ。
結局、骨休めを半年やって帰る事にした。
そして造れた数の魔導具と魔石を回収する。
後は向こうで電池屋さんと相談だな。
魔石を入れて作ってくれると楽だが・・
「半年後に戻るぞ」
「あれ、どうしたの。何かあるの?」
「どうせなら貿易をしようかと思ってな」
「ああ、そっか、そうだよね」
「マイタン、売れるかな」
「あははっ、いけるかも」
「お前、ブログで紹介とかするか」
「それって餌撒き?」
「ああ、先に掃除があったな」
「どれぐらいの範囲なの?」
「お前が良いと言うだけだ」
「関連も含めると物凄い数よ」
「何だ、10万人ぐらいいるのか」
「その半分ぐらいかな」
「良いぞ、お前の為なら全部殺ってやる」
「えへへ、幸せだなぁ」
こいつも染まっちまったな。
自分の家族と一族郎党を殺す話なのに。
もっとも、家族は既にここにありってか。
まあいい。とりあえず、戻ってから決めるか。
セーフハウスの惨状で決めてやる、クククッ。
家に戻って姉妹達に、集落の場所を聞く。
どうやら隣国との境に近い森の奥とか。
後は奴隷商館に行ってみるか。
各地の商館を巡り、狐の獣人を求める旅だ。
姉妹を連れて見覚えのある子達を探す。
ミカにはダイチの世話を頼み、オレ達は
国中の奴隷商館を巡った。
高速移動なのにやけに喜んで・・
恐怖心とか無いのかねぇ・・
結局、5ヶ月で大きな町限定で8人確保。
後は揃って集落に行くだけだ。
生物も可能なマジックボックスとあって、
全員倉庫に入れて高速移動。
言われるままに近くまで飛んだ。
後は姉妹の道案内で・・なのに。
集落には誰も居なかった。
どうやら全員捕縛されたらしい。
近隣の集落に数人居たけど、親は不明のまま。
子供を逃がす為に・・もしかしたら・・
もういいと言うから家に戻ったんだが・・
可哀想な事になっちまったな。




