2話 異変
短いです。
最初は気のせいだと思った。
だけどそんなんじゃない。
嫌な気配とでも呼ぶべき存在が、周囲に増えつつある。
こんな事は今までに無かった事だ。
生命保険の奴だって、疑われはしたけど何とかなった。
誰が原因なんだ。
誰を送ったのが原因なんだ。
あの幹部か?いや、まさか。
馴染みの探偵に連絡し、特急料金を支払って依頼をする。
一番最近に送った女生徒の背景を依頼する。
返事は速報として、その日の夕方に来た。
やけに早いな。
詳細はそのうち送るが、有名な某代議士の娘・・って。
マジ・・かよ。
ゴクリとつばを飲み込んだが、やけに喉が乾く。
簡単な調査結果が書いてある。
一人娘で、それなりに有名な女学院の生徒だと。
ある富裕層の1人息子との見合いの話がある。
将来結婚するって噂とかある。
その富裕層の家の名前も、これまた有名な家だ。
政略結婚って話で持ちきりとか。
そんな有名人の娘の初めてを奪った上に、
誘拐したみたいな状態になっているってか。
終わった・・何もかも、これで終わりだ。
今はまだ関連ぐらいだろうが、身辺調査をされれば・・
ラブホテルの件もバレるのも時間の問題だ。
殺されるな、確実に。
早速、探偵に追加料金をたんまり送金しておいた。
経過も含めて詳細な情報を送るようにと。
時間が許せばだけどな。
まだセーフハウスの位置までは掴まれていないと信じるぞ。
セーフハウスはあるマンションの一室。
数年前に購入した中古のマンションだ。
名義を変えてあるので多少の時間稼ぎにはなると思う。
だが、相手が相手だ。長時間は無理だろうな。
だけどここには安全地帯がある。
穴の存在を知って購入したマンションだからだ。
ベランダの先にはオレにしか見えない穴がある。
最悪、あれに・・
染まるにつれて集めた物品をここに置いている。
文具や貴金属、雑貨に酒と。
しかしこれ全部とか持てないぞ。
持てるだけの品を厳選して分けて置いておく。
まだ探偵から続報は入らない。
現在の状況が知りたいのに、まだ来ないのか。
相性が良いからって、2週間も続けるんじゃなかったか。
信じてないオレが穴を使うとか、何の冗談だよ。
ピンホーン・・
誰だ、ここに来る客など居ないはずだ。
ピンポーン・・ピンポーン・・ピンポーン・・
しつこいな、何だって・・ガンガンガン・・
嘘だろ、もうバレたのかよ。
ガチャガチャ・・ギギギギ・・
ヤバい・・メチャヤバい。
分けてある荷物を抱え、思い切って穴の中に・・
頼むぞ、せめて人間の生息可能な場所であってくれよ。
バキバキバキ・・
せーの・・えいやっ・・
ネーミングセンスが無いのは仕様です。