19話 キツネ
しばらくのんびりすると皆に告げる。
今日はダイチとお昼寝だ。
縁側のような場所を作ってもらってある。
暖かな日差しは夏が近い事を表している。
ふわふわとしたダイチを抱いて、ふわふわと・・
あれ、この感覚は・・懐かしい・・かも・・
《悪いんだけど、もし良かったらまた手伝ってくれないかな》
628人で足りなくなるのか。
魂の移動か、消費してんのかな。
ソウルイーターみたいな感じに・・
オレ達は食わないでくれよ・・
《いやぁ、実に聡明だね。うん、もちろん食わないよ。それはそれとして、手伝ってくれるかい?》
それは良いが不満点がある。
クリア出来るならいくらでも。
《君は商売、僕も利益。それだけじゃ足りないのかい?》
そういう意味じゃ無い。
穴が1人で消えるのが面倒だ。
あれをこちらで制御出来ないか。
指定場所に出せるようになるとか。
オレが同行すれば何人でもとか。
後は送り先の指定も欲しい。
湖の上とかは困るんでな。
やれるなら家の地下に作りたい。
誘致して言葉習わせるとかさ。
そういう付加価値も付けたい。
だから穴の指定はあると助かる。
《いや、君を見くびっていたようだ。謝罪するよ・・ううん、そうだねぇ。ちょいと疲れるだろうけど、やれない事も無いと思うよ》
あれも何かのスキルなのか?
《まあ、スキルと言えばスキルかな。ただね、使用エネルギーが違うんだけど、それは僕が補填すれば良いだけの話だね》
使用エネルギー?魔力じゃないのか。
《おっと、そいつは悪いがシークレットだ。自力で知るなら詳しく教えるが、知らない者に教えてはいけない決まりなんでね、悪く思わないでくれよ》
それならそれでいいが、やれるんだな。
《発動キーで僕の力が流れるように設定しておこう。そしてゲートオープンとゲートクリアだ。送り先はイメージのままに》
知った場所に送れると言うんだな。
《話が早くて助かるよ。うん、それでよろしく》
判ったが急ぐのか。
《いや、やってくれるなら数年は構わないよ。それに、人数のノルマも無いからさ、負担無く送ってくれればいい》
渡れるなら用事も色々ある。
大量人員を送る用事もあるだろう。
魂だから即死でも良いんだろ。
《うん、構造体・・おっと、身体は別に壊れても問題無いよ。壊れても魂は残るからね》
千人から数千人ってところか。
別に多い分には良いんだろ?
《いやあ、実にありがたいね。そんなに送ってくれるなら、当分は休んでもいいよ。うん、好きに移動も許可するよ》
異世界交易でもやれそうだな。
《くすくす・・そういうのも面白そうだね。うんうん、構わないよ。何度でも自由に行き来するといい》
交渉成立だな、サンガさん。
《いや、僕はサンガじゃないよ。言わば彼の代理人って感じかな》
名前は無いのか、なんて呼べばいい。
《そうだねぇ・・うーん・・まあ、キツネと呼んでくれるかい》
思いっきり偽名だな。
《いや、そうでもないんだよ。そう、言わば通称って言うかさ。これでもあるじ命名の大事な・・おっと、余計だったね。とにかく、よろしくね》
ネーミングセンス酷いな。
まるでオレみたいだぞ。
まあ、納得しているなら良いが。
とにかくそのうち送る事になる。
ゲートオープンとゲートクリアな。
送り先をイメージに焼き付けて、
スキルで送れば良いと。
《実に聡明でありがたいよ。穴の種類指定も君の思うままでいいからさ、それでよろしくね》
複数の穴と、単独の穴を自由に設定か。
《そうそう、だから頼むね》