１４話 ワシの落札じゃ
「それでは白金貨５枚からスタートです」
「１０枚だ」
「１２枚でどうだ」
「ふん、２０枚。これで決まりだろ」
「ええと、黒金貨１枚でーす」
「な、何だと・・くそっ、こうなれば・・」
「いませんか、居ないなら」
「黒金貨１枚と白金貨２枚だ」
「えーと、黒金貨２枚でーす」
「うぬぬぬ・・おのれ、何処の者だ」
「さすがにもう居ないようですね」
「待て待て待てぇぇ」
「おや、まだいけますか」
「黒金貨２枚と白金貨１枚だ」
「えーと、黒金貨３枚でーす」
「おのれおのれおのれ・・」
「さすがにもう無理でしょう」
「かくなるうえは・・黒金貨４枚じゃぁ」
「はぁぁ、残念ですねぇ・・諦めますぅ」
「ざまあみろ、これで、ワシの落札じゃ」
伯爵様、あんなバレバレなサクラに・・
合いの手の奴、投げやりだったろ。
しかし、やり過ぎだろ、サクラさんよ。
コピー用紙がいくら珍しいからって。
２００枚入りをバラして５個。
それを木の箱に入れての競売だけどさ。
１０００枚の珍しい紙の競売だけどさ。
それだと１枚金貨４０枚だぞ。
４００万円あったらどんだけ買えるよ。
金が有り余っているのかよ。
まあいい、落札者と面談しますかね。
継続購入で割引してやりゃ良いか。
残りの９０００枚も買わせよう。
そうだな、半額にしてやりゃ良いか。
１枚金貨２０枚になるようにしてやれば・・
１万枚で黒金貨２０枚でいけるだろ。
「ありがとうございました」
「う、うむ・・それで、まだあると」
「９０００枚でございます」
「何と、それ程にあると申すか」
「つきましては、全部で２０枚では」
「ほお、半額にすると申すか」
「他にも珍しい品もございますし」
「ワシの専属になると申すのじゃな」
「宜しくお願いします」
「まあ、良いじゃろ」
「ははっ、ありがとうございます」
売れた売れた、パイプも出来た。
竜素材も欲しがってたし・・
そのうち竜の魔石だな。
商会も良いけど、貴族にも流さんと。
伯爵なら入手先は言わないだろ。
直接取引したら儲けが減るもんな。
(ほお、これが噂の美麗な紙と申すか)
(ははっ、１０００枚を黒金貨４枚で獲得致しますれば)
(ううむ、王宮の重要書類に欲しいがのぅ)
(利益無しで構いませぬ)
(良いのか、本当に)
(我は王国の敬虔なる民でござれば)
(して、どれぐらいあるのじゃ)
(はっ、１万枚にて)
(ならば半分良いかの)
(ははっ、承りましてござります)
(それでの、竜の牙は手に入らんかの)
(総出で探しておりますれば、今しばらく)
(隣国めが。討伐失敗しておいて牙を飾るとか)
(舐められてはなりませぬな)
(うむ、じゃからの、早急に入手したいのじゃ)
(今しばらく、今しばらくでござります)
(期待しておるぞ)
(ははっ)
数日後、商会からの使いで伯爵様が用事とか。
もう転売したのかよ、商売上手だな。
早速にも出かけると、竜の牙は無いかと聞かれる。
何でも竜の牙は強さのステータスとかで希少とか。
誰に転売する気かは知らんが、別に構わんさ。
ただ、ロックドラゴンより上の竜が望ましいとか。
中々贅沢な事を言う伯爵様だな。
翌日、またしても訪問する。
背中に布でぐるぐる巻きにした牙を背負って。
「ほお、それが竜の牙なのじゃな」
「上級と言われましたので」
「何じゃと、土竜では無いと申すか」
「火竜にて」
「うぬぬ、あの幻と言われる・・」
「優秀な狩り人を擁しておりますれば」
「黒金貨２５枚でどうじゃ」
「ははっ、ありがたく」
「決まりじゃな」
相場とか知らんから適当でいいや。
竜１匹に４本あるんだし。
まあ、入手方法を聞かれたけどな。
薬と魔法で眠らせて鋸で切ったって・・
納得してたから問題あるまい。
(どうじゃ、この牙は)
(我らの真似かの)
(ふふん、属性を調べよ)
(どうせ同じじゃろ、やれ)
(はは、それでは・・むむむ)
(多少大きいかも知れぬがの)
(あり得ぬ、このような、そんな)
(どうしたと言うのじゃ)
(ひ・・ひ・・火の・・属性です)
(そ、そんなバカな)
(ふっふっふっ、どうじゃ)
(うぬぬぬ、そのような・・はずは)
