11話 都市計画は誰がやった
王都に到着し、オレ達はひとまず宿に。
そして狐獣人の男の子の奴隷契約をする。
総勢、5人になったオレ達。
だから宿は中部屋を借りている。
小は1~2人、中は2~6人、大は4~8人とか。
部屋単位での精算なので、中は1泊銀貨50枚。
ざっと5万円の部屋か。
王都だから物価が高いらしい。
その分、風呂があるのがありがたい。
とは言っても、ただの洗濯場だけどな。
でかいタライと水が入るでかいツボだ。
ツボに満杯水を入れるのに銀貨1枚。
宿の奴隷達の仕事になるらしい。
宿はコの字の2階建てになっている。
んで、空いたところに井戸があると。
食堂も中央にあり、別料金になっている。
コの字の形の上と下に入り口があって、
上は質素な部屋、下は豪華な部屋。
風呂があるのは下の入り口だ。
2階は長期滞在の客の部屋らしい。
しかも、裕福な客専用になっているとか。
水は魔道具での給水になっているらしい。
洗濯場じゃない風呂があるとか。
水を沸かす魔導具があるとか。
その代わり、1ヶ月単位で金貨150枚だ。
そんなの誰が借りるんだよと思ったが・・
王都魔術学院の寄宿舎になっているとか。
地方貴族御用達とか、やっぱりそんなとこかよ。
他にも裕福な家庭からの生徒も居るらしい。
オレには関係の無い世界だけどな。
「いよいよ学園編ね」
「何の話だよ」
「あれ、違うの?」
「お前な、宿だけで月に金貨150枚だぞ」
「それっていくらぐらいなのかな」
「1500万円だ」
「うげ、何よそれ」
「学院は入学金が白金貨5枚」
「ええと、それって高いよね」
「5000万円な」
「はうっ」
「年間授業料が白金貨10枚だ」
「いちお・・なによそれ」
「5年間の授業らしいな」
「5億円とかどんな学校よ」
「貴族と富豪の子弟御用達」
「あるところにはあるのねぇ」
「行きたいか?」
「無理ね、諦めたわ」
なんだ、諦めたのか。
行きたいと言えば入れてやったのに。
盗賊の軍資金が金貨1427枚。
お宝を馴染みの商会に売ったんだが・・
色々あって査定も大変だったらしい。
んで、諸々込みで白金貨65枚になったと。
端数は小物と交換にしたんだけどな。
白金貨55枚で通えるってのにな。
まあ、諦めたのなら別に良いか。
浮いた金で家を買おう。
衛兵の詰所にでかい麻袋を4つ持参。
担げば注目を集めて嫌だったが仕方が無い。
首実検の後、手配書が何枚もあった。
どうやら国内を股にかけた盗賊団だったらしい。
国軍の出動まで考えていたとか。
そんな奴らの退治なので、特別褒章金も出た。
首が白金貨120枚の、報奨金が100枚だ。
どんだけ大物だったんだよ。
そんなのを中級試験の相手にするなよな。
調査不足だろ、ギルドさんよ。
国に対する奉仕とかで王都民の資格を得る。
王都に住んでも良いってお墨付きだ。
普通の平民は土地を借りて住んでいる。
だけど王都民は購入出来るらしいのだ。
早速、土地の物色に入るが、何と言うか・・
都市計画は誰がやった。
壁際まで家とか酷過ぎるだろ。
だから空き家が多いんだよ。
行き止まりの路地から門までとかさ。
コの字に移動しなきゃならんだろ。
路地がまた800メートルぐらいあるし。
コの字で2キロ歩くとか無駄だぞ。
壁際に道があれば良いだけなのによ。
どんな三流設計士だよ。
稼いだ金で壁際の空き家を纏めて購入。
廃屋だったので壊してもらって更地にする。
屋敷と周囲の家と、諸々の設計図を作成。
壁際に個人所有の道を作る。
それで街路と街路を結ぶ道が出来る。
不便だから空き家になったんだろ。
馬車がすれ違えるぐらいの道にする。
そして警備の為の詰所とかも設計。
設計事務所に勤めてた頃が懐かしいな。
つらつらとコピー用紙に設計図を作成。
この紙も売らないとな。
その為に多量に持って来たんだから。
全体図と、屋敷と詰所と各家の設計図。
総数10枚の設計図を大工ギルドに持参。
見せながらあれこれと質疑応答に入る。
土地代金は白金貨50枚だった。
だから残りの予算は白金貨235枚だ。
それだけあれば余裕だと言われる。
なので発注しておく。
かなり余ると言われたけどな。