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プロローグ-Ⅰ

船に振られているとひどく吐き気がする。しかもその吐き気を一日中耐えなければならないという最悪な立ち位置にいる男と、仕事で来ているはずなのに以上にはしゃいでいる――――どうにかしてくれ、これでは船酔いの上に偏頭痛でも起きそうだぜ―――女が一人。どちらも全然似ていない二人だが、いちおう仕事の同僚で、その上恋人関係でもあった。といっても、その女、エミリア・ローズのストッパー役として選ばれたようなものでもあるのだが。

その関係に男、ジェームズ・ライトは深くため息を付いた。

「そんなに溜息をつくと、幸せ逃げちゃうよ!」

エミリアがやたらと陽気な声で言った。ジェームズは内心でもうとっくに幸せなんか逃げちまったよ、とつぶやいた。

「ため息をついた回数でも数えたのか。」

「もちろん、いまので10回目だよ」

おい、マジで数えてたのか!というかなんでそんなに暇そうなんだよお前は!つーか捜索はどうした捜索は!

――まぁ、俺もこうやって海を眺めているのだけど。

そう思い、ジェームズはまたしてもため息を漏らした。と、ふと、思い出した。――あ、捜索、早くしないと。そして、ジェームズの思考は少し前に遡る。


「つまりはこの人を探して欲しいのですね」

と、『ジェームズ&エミリア 探偵事務所』の所長ジェームズはいった。探偵事務所といっても、ローズの『趣味』で開設されたもので、ふたりとも本業がいちおうある。いまどきは、事件などはDNA検査やGPSを使って解決するので、こんな面倒なところへ来る物好きは殆ど現れない。しかし、このわざわざ現場に赴いくという『雰囲気』が好きなのもそれなりにいたりする。

この人も『物好き』なのだろうと、そう思っていた。ジェームズは、興味単位で聞いた。

「それで、なんでこんな所に来てまで、失踪者を探しに来たんですか」

これを聞かなければ今頃後悔はしていなかったかもしれない。

「彼は警察から追われている身なんです。」

え、まじですか。はやくも仕事を受け持った後悔をし始めた。なんでこんな仕事を持っちまったんだろう。でも、仕事受けちゃったからなぁ………

やや複雑な思いで、ジェームズは諸手続きを済ませてから、その女にいつもかけている言葉をかけ、臨時閉店とした。

それからということ、ジェームズは捜索でもちきりとなった。


いくつかの人に聞き込みを入れ、その結果出港間近の豪華客船、ウエスト・ミリガン号に乗船予定ということを聞き、そのことをエミリア相談したら、脳天気なこのバカ女は、「やぁぁぁったーーー!!!」

とかわめき散らし、おかげでなずめるのに一晩かかったりもしたが、それはまた別の話。

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