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日常の亀裂

今よりほんの未来の話、日本では人を喰う者と喰わない者といった人類の二分化が起こり、前者は鬼の姿を持つ者、「鬼姿身キシミ」と呼ばれていた。

戒斗は偶然出会った一人のキシミがきっかけで、思わぬ事件に巻き込まれていく・・・。

喫茶店の入口。ドアが開いて女性が入ってくる。


ウエイトレス「いらっしゃいませ」


女性客、無言でぐるっと中を見回し、奥で一人でコーヒーを飲んでいた女性の前に行く。


女性「・・・?何か・・・キャアッ⁉」


横に立った気配に気付き、顔を上げた瞬間に喉元に喰い付かれる。

周囲の客の悲鳴。

戒斗と裕士、突然の悲鳴に驚いて立ち上がり奥の席に目をやる。


戒斗「うわっ!」


裕士「バカ、何やってんだ。早くまとめろよ!出るぞ!」


二人、慌てて荷物を纏めると、次々に外に逃げ出す客に交じって店を出る。


戒斗「あ。お金・・・」


裕士「いーんだよ!ノコノコ戻ってやられたいのか!」


戒斗「あ・・・いや・・・」


裕士「ほら、行くぞ!」


裕士、戒斗の肩に腕を回し、強引に店から離れて歩き出す。


裕士「ちくしょう・・・。何だって店ん中まで入ってくんだよ、あいつらは?好き勝手やってんじゃねーよ!」


戒斗、裕士の顔をちらっと見上げるが黙って俯く。そのまま黙って会社に戻る二人。



(ナレーション)



「ここ三十年程前から、日本では奇妙な人類の二分化が始まり、それが今ではほぼ定着してしまっていた。端的に言えば、人を喰う者と喰わない者。喰わない者がこれまでの「人類」「人間」と同じ意味合いを持つのに対して喰う者は純粋に日々の生活の糧として・・・、つまりは猟奇犯罪や何らかの特別な信念などとは関係なく、「エサ」として人間を捕食していた。

彼らは外見上は普通の人間と変わらず、非常に無口ではあるが言葉も話す。

また、捕食に目覚める時期が大体17歳前後であるため、それまでの間きちんと学校にも行き、普通食も食べている。

その名残か、中には目覚めた後も普通食を食べる事が出来る者もいるが、大抵は食物として口にするのは人間のみとなる。

捕食可能年齢に達するまでは、どちらに成長するか分からないため、捕食者が17歳未満の子供を食べる事はない。

そもそも、何故彼らが人を喰い、何故そうなる者とならない者に分かれるのか。

一部では脳の神経回路に問題があるとも、食品に混ざった何らかの化学物質のせいだとも言われているが、はっきりとした原因はまだ解っていない。彼らは鬼の姿を持つ者、「鬼姿身キシミと呼ばれていた・・・。




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