表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
95/99

96 でぃす・いず・あ・ぺん

 第2外国語で専攻したのは、仏語であった。そのときの先生は「世界一美しい言語だ」と言っていたが、誰基準であったのか今もわからない。別に、何でもいい。

 で、さてさてと教えられたアベセデ…を駆使し、作り上げたのは、やはり英語のときと変わらなかった。

 そして、出された最初の課題は、『自分の部屋の状況を書いてきて下さい』

 ……自分が悪かったのかもしれない。いや、上にあるか下にあるか、はたまた隣にあるか、「これはお気に入りのペンです」しか書きようがなかった。

 だから私は、事細かく何の上に何があってとしつこく書いて提出した。幼い日の思い出の品であるとか、親友から貰ったのだとか、彼女とは今度会って遊ぶのだ、その日の思い出もまた一緒に並ぶことになるだろう… だの、書く術を持たず、心にしまって教卓にあげた。


 そんな昔話を思い出して、自分の書いた文章を読んでみると、日本語のくせにあの日の仏語を書いている。


 部屋の中央にはテーブルがある。

 テーブルの上にはグラスが二つある。

 テーブルの右側に本棚がある。

 本棚には漫画が並んでいる。私は漫画が好きだ。



 ―― こんなものを書きたい訳じゃない。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ