62 小話『いざ参らん!その2』~あのあとが気になって~
偽物は揺れない――
あれから一月、やはり本物には太刀打ち出来なかった私は、罪に問われ城を追放された。
何故だっ!
あれほど「僕は大きさなんて気にしないよ」なんて真っ白い歯をキランと輝かせて言ってたくせに。王子はあっさり私を手放した。
そして、そんな彼のハートを射止めたのは、黒髪黒目の同郷、鮫島さんだった。ついでに言えば、彼女は同じ大学の噂の鮫島さんだった。
彼女は本物だった。ああ、確かにマシュマロぼよよんな走ったときの揺れ具合は紛れもなく。手をあげたあとのちょっと人目を気にしての修正も必要ないくらいの。
それでも私は、もしかしたらと諦めきれずに、皆の前であんなことをしてしまった――
むにゅん。
はあっ! なんてことっ! お前のものではこうはいかんだろうと、私の手のなかの彼女のそれが嘲笑っている! くぅ…くそったれがぁっ!
と、くわっと目を見開いた私はそのまま、王子の愛する鮫島さんへ対しての不敬で、真っ赤な月を背に街へと続く道をひとり歩くことになったのだ。
「…… 虚しい」
ついでにペッタンコの胸元も、さびしい…
きっと、あの侍女に違いない。羨ましそうに私の胸を見て、そっと自分の胸を撫でてたもの。いつの間にか消えて、運も消えたんだ。
幸い、同情してくれた鮫島さんが王子を宥めてくれて、「少ないけど」とこっそりお金を握らせてくれた。一体どこから? なんて思ったけれど、これからどうしようかと溜め息が出る。
金貨五枚。
これが大金なのかどうか、私って、夢にまで見た異世界へ来たくせに何もしていなかった。浮かれすぎてた。
食うには困らないだろうが、明日は? それに誰がハーパン、Tシャツに、足元スリッパの異世界人に手を伸ばしてくれるのか……
そう考えて、一気に血の気が引いた。
****
こんにちは、こさじです。
続きは書けない、思いつかない、壁高ぇ、とか言っときながら、何かあのあとを考えてしまい、開き直ると意外に楽しい。
ただ、こう… テンポというか、テンションといいますか、気分がすこぶるよくないと書いてる本人が話について行けないなぁ、て思った。
それと、どこかで道を外れてしまったら、「別に異世界じゃなくてもいいんじゃね?」になる恐れがデカイね。成り上がるにしても、パットの前にブラと、更には服装のことを考えなきゃ…
その土地にするにも、その関係にするにも、難しく考えなければいいのかもしれないが、その何での理由と最後に主人公をどうしたいのか決めておかなければ楽しんで書けないね。
第一、自分のコンプレックスを愛してくれる男を探すのに異世界必要か? あっちの世界でのトラウマでも作ればいいかな?
でも、ま、その部分について自分自身納得出来てないと、完結まで書けないわ。
気楽に書けそうなのに、書けなそうな、改めて難しさを感じた午後でありました。
【追記・セリフを考える】
「……虚しい」て、普段、出てくるかな?
どちらかといえば――
「……なにやってんだろ…」の方がすんなり、しっくりくるような。でも、もっと考えると――
「なんだかなぁ…」が一番いいよな気がする。