26 こさじ、竜の形態を考える
鳥かごのような島に生きていて、天敵もいなく雑食。襲われないということは肌質は硬くなる必要はないはずだ。そして相手を丸のみするなら歯は要らないような…歯が要るのは何故だろ?
歯がいる理由を考えるなら、まず好物のバッフローを考えなければいけない。バッフローが島で一番デカイ自分らを見ても微動だにしない植物なら、鋭い歯は要らないと思うし、メッチャ消化機能がすごかったらすり潰す必要もないはずだから、歯はないに違いない。食道までに運ぶ舌はあるかもしれないが。
けれど、相手が自分らを見て逃げる動物なら、一先ず取っ捕まえたいのでブスリと皮膚に刺さる歯――牙が欲しいところである。
となると、竜の腕は短いんじゃないかと思う。せいぜいメスの上に乗っかり、逃げないようにメスの背中を掴み交尾に勤しむだけ。でも、鳥に手はない。手がなくともさえずりやピョンピョン飛び跳ねるダンス、または旨そうな餌で誘い出すのだから、手がなければ竜のオスはメスに求愛することになる。無理矢理なら押さえ込む手と爪が必要だ。
竜の歯=牙はバッフローを取っ捕まえるために。植物は牙と舌を使えば食えるだろうし、バッフローを食道に運ぶためにも舌は必要かもしれんと考える。すると、ふとワニを思い出す。もし竜の口元がワニ仕様なら、恐らく鼻もついてくるはずだ。特に水中で生活する予定はないので、鼻腔が長くなりニオイに敏感そうである。
そして嗅覚が鋭ければ、視覚はあまり良くないのではなかろうか?
大きな身体で空を飛ぶ――
身体が大きすぎてバッフローを捕まえるのに不利なら、擬態を覚えるか、空を飛ぶしかない。バッフローが食われないために優れた赤外線感知を手にしていたら、彼らはヒエラルキーの最下層に位置しているんだ。竜一匹に一日最低十頭の仲間を食われしまう。だから種を守るために繁殖能力を高め、成長速度を抜群にし、牙から逃れ素早くなる。
すると、竜は巨体を隠すため空を飛び、優れた嗅覚でバッフローの位置を把握。……把握出来るのかな? それなら高い山から見下ろしてバッフローを探す。
島の中央に高い山。ぶつかった風におこる上昇気流。竜は大きな翼を広げて気流に乗り、凄すぎるまでに凄い嗅覚で森に潜むバッフローを捕まえる。だが、下降して口から突っ込むのか? 地面に刺さりそうである。というよりも、くちばしで充分だし、森に突っ込むのは竜の巨体では無理そうだ……




