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23 『聖域(仮)』

 もっと街には軍人ばかりがいると思っていた―― ランクチ ュアは歩を緩めて、夕暮れに染まった人々を眺めた。皆、薄 汚れてはいるものの大事そうに籠を抱え、笑みを浮かべてい る。きっと支給された飯でも入っているのだろう。ランクチ ュアは、自分の横を駆けていった子供の後ろ姿に、残してき た家族を重ねた。彼らは無事貰えただろうか……


 竜を交えた戦争が百年を過ぎたころ、アチュア帝国は強敵 隣国のククへ停戦を持ち掛けた。

 街に軍人はいなかった。

 ランクチュアは外門を潜り、少し歩を緩めて夕暮れに染まった街並みと人々を眺めた。壊れた家はない。薄汚れてはいるが普通に建ち、何よりも人の顔に笑みが浮かんでいる。飯がちゃんと支給されている証拠だろう。皆、大事そうに籠を抱え、ランクチュアの前を横切った少年は、香ばしい匂いの道を作っていった。

 何と羨ましいことか。ランクチュアはギュウっと鳴いた腹を押さえ、残してきた家族のことを案じた。彼らは無事貰えただろうか……●


 世界が竜を手に入れてから五十年が経ったころ、激化した領土争いは竜の減少と疲弊により停戦となった。勿論、停戦すぐ後も国境にていざこざはあったが、そこから広がることはなかった。空には小さな鳥だけが飛び、驚かされることもあったが一応の終わりを迎えたことに誰もが涙し、夢を見、幼かったランクチュアもとび跳ねて喜んだものだった。

 しかし、アチュア帝国の王セアは黙ってはいなかった。


 竜の繁殖に成功――


 その知らせが届いたときのこと、ランクチュアは皆の顔を死ぬまで忘れはしないだろう。これから全てが始まり出すのだと思っていたところへの絶望感。誰が今さら竜に乗りたがるものか。

 国民は怒りに拳を掲げた。けれど、所詮人間に過ぎず、一つの街が竜に消えたのを見せられて口をつぐんだ。そして王だけが声高らかに叫び、国民を奈落へと突き落としたのだった。


「性別関係なく、年頃の男女は竜乗りに志願すべし」と。



∞∞∞

 こんばんは、こさじです。

 もう少し違う感じで書きたくて考えてて、続きも書いてみたら、最初に書いた●を変更しなければとなり、でもまぁ、何とかランクチュアを竜乗りへの道に進ませることが出来たかな。


 いやはや、それにしても書きたい場面に何を書いたらいいのか、どこまで自分の文章は伝わるもんなのか、悩みますね。


「これは、設定つらつら書いてきたから理解されるんじゃなかろうか?」


 と、悶々しすぎて続きがなかなか進まない。そして何故か堅苦しくなっていくような……っても、それは人それぞれに感じ方が違うのだろうけど、もう少し息を抜きたい気分になってしまう。堅苦しいものって、言葉を知らないとおかしくみえるよね。自分には手に負えない気がしてならない…


 人称のせいかな? 一人称にしたらいいのか?


 考え中です。


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