16 こさじ、竜の生態を考える
別に竜はしゃべらんでいいのよ。
となると、竜には竜の生活圏があって、大きな身体ゆえ餌場の縄張り争いが激しく、しかし鋭い牙や爪を持った自分たちが戦えばただでは済まない。もし縄張り争いに勝ったとしても傷がもとで死に至る……そういえば竜は治癒力も高いよね。う~ん、やたらデカイ生物ってだけでいいんだよなぁ~
・196年、世界にいくつか点在するといわれている『竜の島』を発見。
彼らの知能は低く、先人らの妄想たる噂話のようなことは微塵も見つからなかった。
竜は雑食であり一番の好みは肉らしく、巨大なバッフロー(バッファローみたいな)を角を気にすることなく丸のみ、少なくとも一日に十頭は食べている。
他の動物のように鳴くことはなく、時に飛来してくる赤色の竜を攻撃し、島に生息している同じ黄色に攻撃していないところを見ると、我々人間と同じ目を持っているのかもしれない。が、人間にはわからない臭いを発しているのかもしれない。今のところそんな素振りを見せていないので、視力説が優位である。……まさか、先人らの『念話』などということではあるまいな? 顔と顔を寄せあっているときもあるが、話しているように見えないのは私の疑心からか……
・210年、竜の餌付け計画を始めて10年、犠牲は出てしまったものの、人間を乗せて飛べるまでになった。まだまだ長距離は危ういが、餌をあげずにして従うようになったのは何という進歩か! これまでに助力して下さった方々、そして犠牲となり竜に食われてしまった仲間たちに感謝を述べたい。心より。
〈追記〉
つい先程、王宮より竜の戦投入への命が下された。早急に乗れる竜の増加をと言われたが…… 仲間を食った竜だけが言うことを聞くのは何故なのか……いや、深く考えないでおこう。私の役目は竜を見つけ、手なづけること、そして従わせることだけだ。今さら待ったはかけられない。我、○○家の汚名を晴らすだけである。
・226年、隣国◇◇と戦争が始まった。竜を手にした我が国に敗北などないと声高らかに王は境界へと向かったが、驚くべき報せが入った。
敵陣に、赤色の竜あり――
・284年、我が国の黄色の他に、赤色、青色、黒色、褐色の竜が発見された。今では南の外れ、☆☆国のみ竜を所有していない。
・290年、竜は我々人間に従っているように思えたが、彼らは彼らで生きる場を広げているのかもしれない。人間の力を利用して……
うん。




