11 小話『ナイトメア(仮)』を作るべし! そのⅣ
スッキリしなかったので、考え直してみました。
① あるところに仲の良い姉妹のお姫様がいた。姉の名前をナナイ、妹の名前を……メーアといった。二人はどこに行くに もいつも一緒で、「まさか嫁ぎ先も一緒かしら」などと、お城のみんなからからかわれるほどだった。
あるところってどこだよ! と突っ込むくらいなら、悪魔に繋がるような、ラストに繋がるような始まりを考えるしかないですよね。
* 「ねぇ、お姉様。あのお話を知っていて?」
庭のベンチに腰かけた妹のメーアが、ナナイに話しかけた。午後の教義の前、一時の休み時間にまさかそんなことを聞かれるとは思っていなく、いつもお洒落の話しかしない彼女にナナイは少し驚いた。
「急にどうしたの?」
ナナイは辺りを見渡して、ピタリとメーアの横にくっついて座った。そのせいでメーアに笑われてしまったが、彼女には充分わかったようだった。怯えるナナイの耳元で小さく話し始めた。
「そう、悪魔の祈りのお話よ」
「……メーア、駄目よ」
悪魔、で肩を揺らしたナナイにメーアは意地悪に誰にも聞かれていやしないと続けた。
「濁った闇夜にお願いすると、何でも願いが叶うのよ。何でもよ、 すごいわ」
「確かにすごいけれど…無事では済まないはずよ、神がお許しになんかならないわ。悪魔と取り引きなんて……」
「でも、神様は一番欲しいものを下さってはくれない」
ナナイはハッとした。
メーアは末の生まれのせいか、少しわがままだった。それに、ナナイとはそれほど年が変わらないのに、とても可愛がられているようだった。ナナイにはそう映っていた。きつい顔つきで内気な自分より、愛らしくほんわりとした雰囲気を持ち、また天真爛漫なメーアの方へ誰もが小さいときから相手をしている。皆、メーアを囲んで楽しそうにしているのだから。
ナナイはそんな彼女が一番欲しいものは何だろうかと、考えた。新しいドレスだろうか、宝石だろうか。靴は昨日頂いていたし、一体何であるのか。全てをナナイや他の姉妹以上に多く手にしている彼女が、悪魔にお願いしたいほど欲しいものとは―― ナナイは首を傾げてメーアを見た。
「ナアト様よ、お姉様」
ナアトはナナイの婚約者だった。 *
はい、と。
だいぶ変わっちまいましたが、気にしないでいきましょう。そして、ありきたり感も同じく。
ナナイは気弱な姉ちゃんに、きっと読書が趣味のはず。メーアは完全に横恋慕になり、目に入れたら痛くて仕方がない女へと化しました。涙は女の武器とばかりに使いまくるに違いない。
さて、①がこうなっても②はあまり変更しなくても大丈夫ですかね? 「あちらの王子様もメーアを気に入っているのだから」とナナイが悶々と悩む前に婚約破棄させられて、国同士の問題は「お宅の娘なら誰でもいいんだ」てことで裏で解決させ、ナナイの性格家庭環境上、渋々ながら納得するのです。
問題は、ナナイがこんなんじゃ真っ黒な小瓶に手を出さない! 何か彼女が逆上するような要素が欲しいところ。
ある日、嫁に行ったメーアからナナイへ手紙が届いた。そこには相談事があるから、ナナイにしか話せないと書かれていた。どうにか断ろうとしていたナナイだが、メーアは先に手を打っていたのだろう、父から必ず行くようにと釘を刺された。
で、行ってみたら、いかにナアトに愛されているかや最近体調が優れないので子供が出来ているかもしれないと聞かされた。
喜ばしいことだが、ナナイのなかで何かが崩れていくようだった。目の前の幸せそうに微笑んでいたのは、自分かもしれなかったのに……
ついでに、お腹の子供は「実は、好きな方が出来てしまったの。勿論、いけないことだとわかっているわ!でも、仕方がないのよ。……あの方を想うと幸せなの」とでも暴露させて、しまいには「どうして私にナアト様を譲ってしまったの? 好きなら嫌だと言えばよかったのに!」なんて自分を正当化させてみる。
よし! ナナイが闇夜にお祈りして、一気に小瓶を飲み干してくれそうです。
最後、子供と母親の会話しているのはそのままに内容を変更する。
*
「ねぇ、お母様」
「なぁに?」
「私のお父様は、お父様ではないの?」
「……どういうこと? どうしてそんなことを聞くの?」
「あのね、お願いをしたの。みんなが陰で私のことを話しているから、ばぁやに聞いたら教えてくれて……」
「それで?」
「綺麗な女の人がいきなり出てきたの! そして言ったのよ『神様は何もしてくれないからね』て…… 何だかお母様に似ていたわ」 *
この後どうなるんだろう感を残すには、もう続けちゃいけないような、けれど中途半端なような…
ま、復讐劇には前回よりは出来たと思う。それに自分の好みとしてはこちらの方が断然好きですので、スッキリした気分です。
ということで小話『ナイトメア(仮)』は、『悪魔の祈り』にタイトルを変えまして、作るのを終了します。




