ころぶ ★
小学校五年生くらいの頃、なぜか私はしょっちゅ転んでいました。
床の凸凹で転び、何もないところで転び、自分の足にひっかかり転び……
とにかくよく転んでいました。おかげで男子から「コケリアン」という失礼で可愛くないあだ名をつけられました。
中学生になりかなり収まったんですが、やっぱりまだたまに盛大に転んでいました。
雪の降った次の日、路上が凍っていたので気を付けて歩いていたのに、よりにもよって正門前で派手に転んだり。あれは痛いわ恥ずかしいわ、散々でした。
そんなコケリアンライフを送っていた私も大人になり、ようやく落ち着いたかと思っていた矢先……
私は機械部品を扱う会社に勤めていました。
いわゆる中小企業というやつで、お客さんからの日常的な受注や発注、簡単な部品の組み立てや納品のための梱包なんかは営業アシスタントである私たちが主にやっていました。
当時、その会社の中でも二番手くらいの大きなお客さんの担当だった私は、毎日受注発注と納品のための梱包を一人でこなさなくてはならなくてかなり疲弊していました。打っても打っても入ってくる注文、包んでも包んでも増える納品書……終業時間でまわりの子が退社していく中、一人倉庫で納品のための梱包を始める私。あの頃の私の退社時間は、だいたい午後9時から午前12時くらいでした。うぅ……もう戻りたくない。
そんなお疲れな毎日を送っていた私、その日も倉庫でいつものように納品のための梱包作業。
たくさんの段ボール箱に囲まれながら、小さな部品をさらに小分けにしたり納品書を貼り付けたり、小さなキャスター付きの椅子に座りながら黙々と作業をしていました。
作業場の倉庫はこんな感じです↓
で、やっと作業が一段落し伸びをしながら立ち上がったその時、うっかりバランスを崩してしまい、それを立て直そうと踏ん張った足が運悪く近くの段ボール箱にはまってしまったのです。
そして、ついさっきまで座っていた小さな椅子の上に逆戻り。しかも下手に抵抗したせいでうつぶせに。
それが普通の椅子だったらよかったんですけど、さらに運の悪いことにその椅子はキャスター付きで……
となりました。
私の体重を受け止めた椅子は、それを糧に壁まで迷わず一直線。さらにさらに運の悪いことに、作業後だったので障害物となる段ボール箱はみんな片づけた後だったんです。
一つだけ運がよかったのは、目撃者がいなかったことでした。いや、本当よかった。いつもは倉庫にいるおじさん社員に見られていたら、確実に事あるごとにネタにされてましたもん。
なんてことを、夜中に猫に構おうとして家の廊下で滑って転んで思い出しました。




