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食べ物の恨み

 

 十二月――

 それは一年の終わりの月。

 そして子供の頃、一番好きだった季節。


 私は十二月生まれなので、この月は誕生日プレゼントとクリスマスプレゼントと二回プレゼントをもらえるうえに、ケーキも二回食べられるという幸せな月でした。


 ただ、この季節は風邪の季節でもあります。

 私も小さい頃は、冬といえば必ず一回は風邪をひいていました。

 あれは小学校二年生ぐらいの頃だったでしょうか……


 その年の私の誕生日ケーキは、ドレスを着た女の子の形のケーキでした。すみれの花の砂糖漬けやクリームで綺麗にデコレーションされていて、可愛いものが大好きな女の子のがいかにも好きそうなケーキです。

 だがしかし、私はそのケーキを食べることができませんでした。よりにもよって、誕生日前に風邪をひいたんです。それも胃腸の風邪を――‼

 そしてお医者さんから告げられたのは、一週間の乳製品禁止の非情な宣告。


 そりゃないよ! ずっと楽しみにしてたのに‼


 誕生日当日、熱に苦しむ私の目の前で消えてゆく私のケーキ。私は半泣きで母に頼みました。お願いだから、そのケーキだけはとっておいてくれ、と。

 しかしその懇願は受け入れられることなく、母は私の目の前でケーキをすべてたいらげました。あの時の母の笑顔とあの絶望感、未だに忘れられません。


 大人には些細なことですが、子供には結構なショックでした。食べ物の恨みって結構残るもんなんだなぁって、この季節になるとふと思い出します。


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