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風景
特別なことなんて何もないのに、忘れられない風景ってありませんか?
私にはいくつかの忘れられない風景があります。どれも何気ない日常のひとこまなんですけどね。
あれは小学生の時の夏休みだったでしょうか。
ちょうどお昼で家に帰ろうかと路地を歩いていた時――
ふとまわりを見ると、細い路地には誰もいません。いるのは私一人だけ。
降り注ぐ真夏の陽光、どこかの家から聞こえてくる微かなラジオの音、そしてうねるような蝉時雨。
真夏の太陽に照らされて白く浮き上がるアスファルトと、そこにおちる真っ黒な影。強烈なコントラストと無人の路地は、一瞬異世界に迷い込んだかのような錯覚さえ覚えました。
一人、なんだか妙にドキドキしたのを覚えています。
あなたには、忘れられない風景はありますか?




