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悪夢

 

 夢――

 寝る時に見る、あの夢です。私は普段夢を見てもすぐに忘れてしまうのですが、たまに忘れられないような夢を見ます。


 あれはまだ私が小学校低学年だった頃。

 その頃の私は弟1号と同じ部屋で寝起きしていました。直接外に繋がる窓がベランダに接する小窓しかなかったため、昼間でも薄暗かったのを覚えています。

 ちなみに家の間取りはこんな感じでした。 私の記憶だけで書き起こしたものなので、歪でちょっと見にくいのですが。あ、下の公道に接している方が北になってます。


 1階間取り図

挿絵(By みてみん)


 2階間取り図

挿絵(By みてみん)


 ちなみに私と弟1号が使っていたのは2階の部屋2です。弟2号は両親と部屋1で寝起きしていました。

 で、この部屋2、薄暗いだけなら別に構わなかったんです。基本北向きで南は隣近所の家に遮られて日の光が入りにくく、家全体が薄暗かったですから。

 さて私たちが使っていた部屋、なぜかこの部屋に母が日本人形を飾っていたんですよ。しかも二体も! 子供の頃はそれが怖くて怖くて、夜寝る時や誰かと一緒な時以外はあまり近寄りませんでした。遊び部屋はもっぱら1階でしたし。


 私は幽霊は生まれてこのかた見たことありません。霊感なんて全くないし、心霊スポットどころかお化け屋敷にさえ近寄りません。心霊系の番組やホラーを見るのは好きなんですけどね。自分が実際に体験するのは絶対に嫌なんです。

 そんなビビりの私。そんな部屋で寝起きしていれば確実に影響を受けます。感受性豊かな子供だったんです。とうとうある日、その夢を見ました。



 いつも自分と弟が寝るために使っている部屋。

 窓の外は曇っていて、部屋は昼間なのに薄暗い。そんな部屋で私は一人、布団の上に座っていました。部屋の隅には机が置いてあり、本を置くであろう場所にはガラスケースに入った日本人形が二体。それはいつもの見慣れた風景。


 ――カタン


 微かな物音。それは机の方から聞こえてきました。早くなる鼓動を感じながら恐る恐る顔を上げると……

 視界に入ったのは、今にもガラスケースの中から出てこようとしている人形。

 逃げなきゃ! そう思うのに身体は思うように動かない。まるで腰が抜けてしまったように立てないのです。そうやって私がまごついているうちに、人形はとうとうガラスケースを開けて出てきました。

 しかも小さかった人形はいつの間にか私と同じくらいの大きさになっていて、腕を伸ばしながらゆっくりとこちらへ近づいてきます。

 もうパニックです。私は悲鳴をあげながら周りにあるものを手当たり次第に人形に投げつけました。そして枕を投げた時、それが人形の頭部に当たり――――


 ごろり、と人形の頭が落ちました。


 それでも人形はその歩みを止めることなく、両腕を私へと伸ばしながら近づいてきます。もはや投げるものもなく、私は壁を背にして悲鳴を上げることしかできませんでした。


 そこで私の恐怖は臨界点に達し…………目が覚めました。


 起きた時、今見たのが現実か夢かわからなくて、でも隣で寝ている弟を見て夢だったんだとホッとしたのを覚えています。


 あれは本当に怖かった。大人になった今でも忘れられないくらいには。

 


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